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エクラノプラン(でいいのかな)スカパーで観て度肝を抜かれました。 なぜ実用化されないのでしょうか。 結局効率が悪いのでしょうか。 かわまん |
- エクラノプランは、2〜10mという超低空で飛行することで、翼と海面
に挟まれた空気によって得られる強い揚力を利用して、通常の輸送機以上
のペイロードと、通常の船舶以上の速力(500km〜700km)を持たせることを
ねらったものです。
問題は、この性能を経済的かつ安全に活かす場所、状況が少ないという
ことです。
なにしろ通常の輸送機以上に大きい機体が低空で高速を飛ぶのですから、
起伏の激しい場所、交通量の多い水域、悪天候下(高速艇よりは影響を受け
にくいが大型船舶よりは影響を受けやすい)で使うのは困難です。
また、燃費も通常の輸送機よりはましな程度で、従来の船舶よりも輸送費
が高くつきますし、さらに元々巨大かつ高速な機体の性能を活かすとなると、
短距離よりは中・長距離の移動で活用することが望まれます。
結果として、カスピ海やシベリアの大平原などの広大で地形・波頭による
障害が少ない場所であり、かつある程度天候の良い状況の元でないと、経済
的かつ安全に活用出来ないのです。
軍用で扱うにしても、チープキル(小火器による戦闘力の喪失)の危険性が
高く(巨体で低空を飛ぶため、被弾しやすい。また飛行高度に余裕がないので
被弾回避や被弾後の機体制御の回復も困難。)、またその撃墜による損害(積載
物資の損失も含む)も大きくなるなどの問題があり、導入は難しいでしょう。
アッサム
- 明快なご回答ありがとうございました!
当方飛行機好きなのですが乗るのは苦手でして
海外旅行もエクラノプランならなんぼかよかろうと思ったのです。
しかしお説を伺ってみると、てんでいいところなしですねぇ。
残念ですがあきらめがつきました。
皮マン
- >ゴミレス
エクラノプランの技術を応用して軌道上を高速で低空飛行するエアロトレイン
や、地下トンネルにエクラノプランを飛ばすジオプレーンなど、形を変えて日本
でも構想されています。
経済性、代替技術(リニアモーターカーなど)との競合の観点を考えると、これ
もあまり実現性は高くなさそうな気がします(笑)。
アッサム
- >ゴミレス2
では、なぜソ連時代のロシアがエクラノプランを開発したのか?
それは、広大で平坦な平原、湖沼を持つ国土において、急速かつ隠密
(地上レーダーに発見されにくく、また速い速度により人工衛星の食を
ついての移動が可能。)に展開出来る巨大なペイロードを持った兵器を
欲したからです。それに合致したのがエクラノプランであったのです。
しかし、冷戦終結、連邦崩壊、地域紛争の発生等の戦略環境が変化に
より、エクラノプランを有効に扱える状況がなくなってきて、実用化が
進まない状況に至ったのです。
アッサム
- 話題が若干ズレるのですが、今月の「世界の艦船」に掲載されているロシア軍のカスピ海演習の写真、ホヴァークラフトの奥のほうにちらっと”オリョーノク”のものと思しき垂直尾翼が見えているのですが。。。なんかのデモなんでしょうか。それとも拙者の見間違いですか?
悠
- WIGがなぜ実用化されないのか?それは誤解です。すでに揚陸型WIGオリョーククラス、ミサイル搭載型WIGルン、救難型ウタカは実用化されています。しかし、ソ連の崩壊により量産したくてもできないのです。
最近、カスピ海艦隊に”ルン”が現役復帰しました。オリョークは現在も保存中のようで、今月の世界の艦船に垂直尾翼のみを見ることができます。
ロシアWIGについては下記のサイトをご覧下さい。
http://www.se-technology.com/wig/
GO
- 地上効果という普遍的な力を利用しているにもかかわらず、
ろくに真似もされない理由はアッサムさんからいただいた説明でよく分かりました。
実用化といってもロシアでばかりというのは
「運用しやすい環境があるから」ということなんですね。
みなさんありがとうございました。
ところで最後になさけない質問をさせてください。
「エクラノプラン」ってどういう意味なのでしょうか?
皮マン
- экран=screen
план=plane
便利少尉
- >>6
をを、そうなのですか。ロシア機ファン的には大変ハァハァなことですな
悠