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H-2A・3号機の打上げも無事成功し、2つの衛星も今のところ順調に軌道を 巡っているようで、嬉しい限りです。 H-2Aのエンジンは国産で、各国のロケットエンジンと比べても 遜色の無い優秀な物のようですね。 ところで、疑問なのですが、ロケットエンジンは国産できるのに なぜ、戦闘機用のジェットエンジンは国産できない、しないのでしょうか? ロケットエンジンよりもジェットエンジンの方が設計や製造が 難しいのでしょうか? それとも、単に“金”や“ヤル気”“採算”等の問題なのでしょうか? 詳しい方にこのアタリの事情をお聞きしたいと思います。 コスモゼロ |
- 本格的な戦闘機用ジェット・エンジンの国産開発に関しては、今のところ実用に耐えうるレベルにはまだ到達していないようですが、技本等が中心となって研究開発は続けられているようです。
あと、この手の話には同盟国にして航空大国のアメリカがいい顔をしないという政治的事情もあるようです。
ちなみに、練習機用のジェット・エンジンに関しては、石川播磨重工業が開発したものが使用されています。
詳細は他の方のフォローを待ちます・・・
ブラック・タロン
- モノ作りの立場から言えば「F-1 のエンジンより乗用車エンジンのほうが(ある意味)難しい」という事ではないでしょうか。技術的にハードルが高いとはいえ、限られた条件下で必要な緒元を満たせば任務をこなせるロケットに対し、ジェットエンジンは氷点下の北海道から酷暑の沖縄まで耐用年数間を働き続けなければなりません。どの部品を何百時間で交換すべきか、故障の兆候はどのようにして現れるのか、それを未然に防止する為にはどのような整備をしなければならないのか、整備教育を徹底する為のマニュアルはどうあるべきか、こういったノウハウは長年の経験と失敗の蓄積がなければ得られないと思います。
ささき
- >2. 整備面の話ばかりになってしまいましたが、設計の面から言えば例えばベアリングの製造公差がわずかに違っただけで耐用時間が数倍変わったり、燃焼室形状のごくわずかな違いが燃焼ガスの温度分布を発生させタービンブレードの寿命に影響したりという難しさがあると思います。これらを総合してコストと性能と耐久性のバランスを見極める所にノウハウがあり、これは一朝一夕には得られないだろうと思います。
ささき
- ささき氏の話とダブリますが数分間もてばいいロケットエンジンと数百時間下手すれば数万時間もたせなきゃならないジェットエンジンでは設計の段階から違うと思います。また、民生用のロケットエンジンなら国の予算もある程度付くと思いますが、戦闘機用のジェットエンジンの開発となると予算的に難しいものがあると思います。
またエンジン開発は、その後のフォローも大事です。技術大国日本なら設計や製造までなら大丈夫だと思いますが、その後のアフターケアはそれなりのノウハウが必要なので困難なのではと考えます。
jas1
- いろいろな意見が聞け、勉強になりました。ありがとうございます。
一瞬で燃え尽きるロケットエンジンと燃え続けなければならない
ジェットエンジンの運用上の違いという事だと理解しました。
記憶が正しければ、確か、海自の次期哨戒機には国産のジェットエンジンが
搭載される計画で、また、この機体から派生して民間旅客機を開発する計画も
あるとか、、、
武器輸出の厳しい日本では戦闘機を作ったとしても輸出は
出来ませんが旅客機なら売れますので、航空大国米国としては
こちらの方が面白くないかも、、、
米国から横ヤリが入るかも知れませんが実現してもらいたいものです。
年末にかけ、H-2AとM-Vロケットの打上げが計画されています。
共に成功することを・・・
コスモゼロ
- 高度な技術の固まりであるジェットエンジンを独自開発したとして、
そこにはすでに他社が特許として権利確立した技術が沢山入ってしまうと思います。
これらを排除するには、それ以上の工夫をして、場合によっては大きな回り道をする必要もあるでしょう。
大量に生産できて、開発費用を合理的に償却できるなら良いのですが、たぶん、難しいと思います。
kazz
- いま技本にて開発中なのが推力5t級のアフターターバーナー付きターボファンエンジンXF5-1です。これは戦闘機用エンジンの研究開発として現在試験が進められている技術実証エンジンで、予定では技術実証試験機に搭載される事になるそうです。これがそのまま戦闘機用のエンジンとして搭載される事はないでしょうが、このエンジンの一部を使ったものがMPA用エンジンの一つとして開発中だそうです。
507
- 実用性や商品化まで含めた開発の厄介さからしたら、
民間旅客機用エンジン>戦闘機用エンジン>ロケット・エンジン
になるのでしょうが、たいていの一般人は不等号が反対向くと理解しているでしょうね。
便利少尉
- ジェットエンジンはできなかったからロケットエンジンで頑張った、と
言えると思います。
戦後、10年間、日本は航空機の開発を禁じられましたが
この時期は丁度レシプロからジェットへの移行期でした。
一番大切な時期に、日本は開発ができませんでした。
そして、開発が許可されたとき、欧米との差は決定的になっていました。
ロケットエンジンに関しても欧米との差は大きいですが
世界的に見ても実用ロケットの歴史は航空機に比べればまだまだ短く
欧米に追いつくのは可能だと推測されたと思います。
H-2AのLE-7エンジンは極めて高性能のエンジンであり
スペースシャトルのメインエンジンに匹敵します。
彼らの推測は当たったのです。
アオキ
- >ジェットエンジンはできなかったからロケットエンジンで頑張った、と
>言えると思います
ある意味、言えると思います。
「東大ロケット」着手時の糸川英夫の初期構想は、固体ロケット推進による
太平洋横断用弾道飛行機でした。
昭和30年頃、日本はジェットエンジンの技術で立ち遅れており、
さりとて液体燃料ロケット技術でも立ち遅れており
(ドイツV2の技術供与を受けなかった)。
固体燃料ロケットで勝負を掛けるしかないと、糸川氏が思ったのがきっかけです。
(ただし、当時の日本の固体燃料ロケット技術もおくれており、
コンポジット推薬が開発できていなかった。)
個人的には、なぜ日本のロケット技術がジェットに比べ進んだかというと、
それは技術的な問題ではなく、
東大ロケットが
「開発費を掛けずに、ニッチ的手法(無誘導固体ロケット)で成果を上げた事」
で、文部省に出しぬかれた科学技術庁が
「面子上、世界的に主流の液体推進ロケットで東大を上回る成果」
を出さざるを得なくなり、
結果として世界水準の液体ロケット技術が出来たと思っています。
エロチカ番長
- ・・皆さん日本の液体ロケット技術が意地とメンツで出来たように書いていらっしゃいますが、
実際には日本の液体ロケット技術はNASAの技術です。
科学技術庁推本部からNASDAが出来るときに、初代長官になった島秀雄(新幹線作った人)が、
「ワタシが長官になるのはやぶさかではないですが、その条件としてNASAから技術導入を乞うこと」とし、
それまで推本部、東大共に純国産技術に凝り固まっていた上層部を一括し、
日本のロケット技術を一気に50年進めたと言われています。
H2Aのエンジンもその直系ですから、優秀なのはある意味当たり前なんです。
まぁ東大グループはいまだに純国産技術にこだわり固体ロケットのみで突き進んでますが・・
3号電探
- >11
解釈の違いと言ってしまえばそれまでですが。
H-2シリーズのLE-7シリーズもアメリカの技術を継承していると言えるでしょうか?
アメリカからは液体水素燃料のロケット・エンジンは供与されていないと思いますが。
便利少尉
- >・・皆さん日本の液体ロケット技術が意地とメンツで出来たように書いていらっしゃいますが、
>実際には日本の液体ロケット技術はNASAの技術です。
米国のロケットも旧ソ連のロケットも、元はドイツのロケット技術から出発しています。
だからといって「米国/旧ソ連のロケット技術はドイツの技術です」
とはならないでしょ?
もちろん、基礎は米国の技術でしょう。
しかし、Nロケットはともかく、H-2以降を見ると、いまや日本独自の技術といっていいと思います。
アオキ
- んーどうなんでしょう、やっぱり液燃ロケットで大事なのはポンプの制御技術だと思うんですよね、
で、H2Aは確かに燃料に液体水素を使ってるところにオリジナル性がありますが
極論すると、燃料が違うだけでポンプ技術は大して変化してない、なんてことは?
ココの部分詳しくないので詳しい方宜しく。(あ、自分で話題出しておきながら・・)
3号電探
- ロケットエンジンはとにかく、ポンプについて。
プラントの設計に係わった経験から言うと、燃料(流体)が違うと別のポンプです。配管からして違います。ものによっては全く別の「技術」になります。
プラントの設計から言うと、(ジェットエンジンも、おそらく同じ事になると思いますが)独自に新しい設計を行なえるなら、その技術は自分の物になった、独自の技術になったと考えて良いと思います。
ロールス・ロイスとエアバスのエンジンを共同開発できる以上、戦闘機用のジェットエンジンを作れないのは採算の問題が大きいかと想像します。
タンジェント