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2693 零戦の7.7mm機銃はプロペラの後ろにありますが、あれを発射する際にプロペラに中ったという話しは聞いたことがありません、どうしてでしょうか?
木佐

  1. 同調装置というものがあり、プロペラとプロペラの間の瞬間だけ弾が発射されるよう機銃の発射タイミングが調整されています。ただしエンジン回転数が極端に変動したり、機銃が過熱発火(コックオフ)してしまったり、冬季フィンランドのように極冷気温条件の場合は同調が狂ってプロペラに穴を開ける事故が起きることもあったようです。金属プロペラは強度が高いので、7.7mm 程度の穴なら2、3個開いても耐えたようですが。
    なお、この同調装置は第一次大戦時に開発され、ドイツ軍が最初に実用化しています(フォッカー E-I)。それ以前のごく短い時期、フランスではプロペラ裏側にクサビ状の防弾板を張って無同調の機銃をプロペラ圏内発射していた事もありました(モラーン・ソルニエ MS-N, MS-L)。
    ささき

  2. 操縦席から発射の操作をしても、エンジンの回転をカムで拾い出した同調装置が通過するブレードとブレードの間で引き金作動器をピアノ線で突かない限り発射されないようになっています。
    BUN

  3. また同調機銃発射時の回転数の制限は1500回転/分以上とされています。
    BUN

  4. ささきさんの書かれている、
    > 無同調の機銃をプロペラ圏内発射していた
    これは、当然ながら弾よけ板にあたる銃弾も多いわけで、どうしてもペラから
    エンジンにも負担がかかって、不時着したのでドイツ側にも秘密が知れた、
    さらにそこから発展して、同調メカニズムに思い至るにあたり、フォッカーの
    発想は、子供の頃から親しんだオランダの風車への石投げが源泉といった話を
    読んだ記憶があります。およそ30年ほども前の記憶ですが。(^^;
    MB

  5.  同調装置自体はWW1前に発明されて特許もとられていますが、当時はまだ「前方向け射撃」の必要性自体が認識されていなかったため無視されていたのを、モラン=ソルニエを見たフォッカーが調べ出してきたのだそうです。
    Schump

  6.  ゴミレスご容赦。

     ささきさん曰く、
     「ただしエンジン回転数が極端に変動したり、機銃が過熱発火(コックオフ)
    してしまったり、冬季フィンランドのように極冷気温条件の場合は同調が狂っ
    てプロペラに穴を開ける事故が起きることもあったようです」 

     これは私の祖父から聞いた話です。戦時中我が家には海軍の零戦パイロット
    が下宿していたのだそうですが、ある日、基地から帰宅したパイロットが祖父
    に、「おじさん、今日はペラを撃っちゃったよ」と言ったそうです。何らかの
    原因で同調が狂ってしまったのでしょう。
    ハムサンド

  7. 保管状態が悪い(高湿度)実包を使用したために、弾丸の初速が遅くなってプロペラに命中し、跳ね返って主翼に穴をあけたという事故の記録があります。
    chuukichi

  8. >6
    坂井三郎氏もなにかに「7.7ミリであれば1発でペラが吹き飛ぶことはないが、20ミリではそうもいかない。」という意味のことを書いておられたような記憶があります。
    SAW

  9. ↑零戦の武装に関して、20ミリはプロペラ圏外に装備されているのを説明する部分だったような気がします。
    SAW

  10. >9. 零戦のエリコン系 20mm はオープンボルト API 発火という機構上発射操作→発火の遅延時間が一定しておらず、同調させるのはほとんど不可能だと思います。20mm 級を同調させたのは陸軍ホ-5(飛燕/五式戦)、ドイツ MG151/20(Fw190 主翼付け根)、ソ連 ShVAK および B-20(La-5, La-9)、NS-23(La-7)といった例がありますが、いずれもクローズドボルト発火です。
    しかしオープンボルト発火の同調機銃が皆無だった訳ではなく、ドイツの 7.92mm MG17 はオープンボルトでありながら同調機銃でした。強力で安定した品質のバネがあって初めて実現できたものだと思います。MG17 を国産化した陸軍 98 式固定機銃は発火タイミングの不安定に悩まされ、遂に実用化できずじまいだったようです(同じメカニズムの旋回機銃、MG15 に相当する 98 式旋回機銃は実用化されています)。
    ささき

  11. ↑文意から充分に読み取れるとは思いますが…一応蛇足の程を。
    飛燕(の一部)/五式戦,La-5, La-9,La-7の20mm銃装備位置というのがつまり機首な訳でして。
    20mmとなると機首に積むのは非常に条件が厳しいですね(サイズ、重量
    烈風天駆

  12. さらに蛇足。疾風=キ84の乙も胴体に20mmですね。隼3型の乙とか。これらもホ-5でしたか。その後の世代の30mm級は、同調可能だったのかしらん?
    MB

  13. >12 ホ-155 もブローニング系クローズドボルト発火のメカニズムですから、原理上同調できたはずです。ただ機首に大口径機関砲を積むスペースがないこと、同調が狂った場合ペラが吹き飛び空中分解する危険を考えれば現実的ではなかったとも思います。
    ささき

  14. ちょっと遅れて一言。 もうすぐ次のページに移る前に!!
    >5.同調装置自体はWW1前に発明されて特許もとられています。

    スイス人 フランツ・シュナイダーのドイツ特許NO.276396(1913年7月公告)です。
    オランダ人 フォッカーはドイツの為に、それを無断拝借して、戦後裁判沙汰になっています。

    しかし、そこに至る前に、当初、ドイツ軍も入手したモラン・ソルニエ機の”プロペラ裏側にクサビ状の防弾板”式を
    真似た物を試作、発射実験までしていますが、ここで問題発生。
    独軍の7.92mm弾は、スチール被甲且つ、航空機用15%増装弾(V-Patrone) だったので、貫通力が強く、
    プロペラ回転力に影響を与えない程度迄の防弾板なら貫通してしまいました。 対するフランス8mm弾は、
    銅被甲・通常弾だったので、この乱暴な方式が成り立っていた訳です。
    で、ドイツ軍部は、フォッカーに相談して、同調装置が実用化されました。


    >10.オープンボルト API 発火という機構上発射操作→発火の遅延時間が一定しておらず、
    同調させるのはほとんど不可能だと思います。〜〜MG17 はオープンボルトでありながら同調機銃でした。

    ・オープンボルト・ファイアー = 同調不可能。 と言うのは、安易かも知れません。
    ・オープンボルト・ファイア&非ロック機構 = 同調難。 てあると私は認識しています。

    恵式や、サブマシンガンに代表されるオープンボルト・ファイアーは、構造シンプル化として非ロック機構にする代わり、
    (主に)重いボルトと(副で)強めのスプリング&ストローク長で、ガス圧に抗する訳ですが、空戦機動中の高G環境では、
    重いボルトの慣性が変化して、発射タイミングがずれます。 →同調不可能。
    非現実的ですが、等速水平飛行中の発射であれば、安定した射撃は可能です。→同調可能。

    対して、MG17は、オープンボルト・ファイアーですが、ロック機構付きショートリコイルであり、
    ボルト重量を過大にする必要も無く、むしろ高発射速度を得るために、短ストローク&リコイルスプリングが、
    極端に強くなっている筈です。 空戦機動中の高G環境でも、発射タイミングがずれる要素が少ない物と考えます。
    日本において、旋回式MG15が国産化可能であったものが、固定式同調MG17で国産化に失敗した理由は、
    このリコイルスプリングの製造能力の差であると考えます。
    MG17は、MG15より発射速度が150〜200発/分増加させており、その分スプリング力は、更に強い筈で、
    その僅かなスプリング力UPの物を製作するのが、当時の日本の冶金工業力では、難儀だったのでしょう。

    以上 長文失礼。私見でした。
    軌跡の発動機?誉


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