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2682 金星発動機装備の零戦が試作のみに終わったのは何故でしょう? 正直言って誉発動機装備の他の戦闘機より総合的に良い結果が出せたと思えるのですが
古賀稔也

  1.  零戦と金星発動機の関係に関しては議論ボードの過去ログをどうぞ
    http://www.warbirds.nu/BBS/c-board/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=15;id=

     試作に終わったのは開発着手時期が遅いので戦争が終わってしまっただけです。
     開発着手が遅れたのは、その時期でないと可能性が無かったからです。

     まず金星発動機は同世代の栄に比して1割程度馬力が大きいのですが、つまり大して性能が上がるわけではないのです。発動機換装の手間も考えるとあまり大きな魅力はありません。
     零戦54/64においては最終型の水メタを使った金星が用いられてますが(1500馬力級)同世代の栄も水メタを用い1200〜1300馬力を発揮しています。この水メタ栄は零戦にも搭載予定でした(53/63型)ですが開発人員の都合がつかず、従来と実質同じの1100馬力発動機として運用されてしまいました。
     水メタ栄は隼3型で実力を発揮していますから、実用化できなかったのは発動機よりは海軍側の開発リソースの不足なわけで、つまりこの時期に水メタ金星を搭載する事を思いついても、同じように人員が居なくて作れません。
     大戦も終わりに近づいた時に金星搭載を行うのは中嶋の発動機生産が誉に全面転換するからです。中島が栄も作ってくれるなら別に54/64は無かったのではないでしょうか?>それこそ水メタ栄にしても54/64と実質的に性能は変わらないでしょう。

     また誉搭載戦闘機は性能面において零戦を凌駕しています。誉の稼働率問題は栄や火星でも同時期に起きてますので、発動機だけではなく生産管理や整備運用能力の影響も大きく、言い換えるならどれを用いても大差は無いものと考えられます。下手に早期に無理をして金星零戦を作って配備したら初期トラブルと戦況悪化に伴う支援能力の低下から史実の誉装備機と同様の事態になったでしょう、そしてその不調金星零戦は誉装備機よりも低性能なんです。
     この事が水メタ栄を予定していた零戦53/63が人手不足から水メタを諦めた遠因でしょう。実用化できたら多少の性能向上は得られるのですが、手間取るようなら総合的にマイナスが大きいという訳です。

    SUDO


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