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2680 F16の運用について教えていただきたいのですが、航空母艦で運用する艦上戦闘機としては運用が可能でしょうか?
閃空

  1.  もちろんF−16も艦載機として使えないことはないと思いますが、前に私が聞いた話によると、米海軍は空母艦載機に双発機を望んでいるようです。
     その理由ですが、もし陸上ならエンジンが停止しても不時着できますし、またその状況でパイロットが生き延びられる可能性も高いですが、(艦載機が主に活動する)海上では墜落は即命取りに等しいというわけで、安全のため2基のエンジンは必須、と考えられているようです。
    (ご存知とは思いますが、F−16は単発、つまりエンジンは1個だけです)
     事実としても、F/A−18が艦載機として採用されたのは双発だからですし、(少々違う分野ですが)海兵隊使用型のAH−1攻撃ヘリは、わざわざ双発エンジンに積み替えています。
    zono

  2. 今各国で運用している機体そのままですと、殆ど無理だと思います。
    ロシアの空母のように長い飛行甲板にスキージャンプを持っていれば、発進は可能でしょう(RATO等を併用しても良い)
    ですが降着装置と機体強度は「制御された墜落」と言われる着艦に耐えられるとは思えません。(一回や二回ならともかく長期運用は出来ないでしょう)
    これらの問題から現実的には運用不能と考えます。

    勿論、F-16をベースにした艦上戦闘機仕様を新たに作るなら、それはやる気と予算の問題です。不可能ではないと思います。

    SUDO

  3. zonoさま、SUDOさま、お教えいただきありがとうございます!
    SUDOさまのご指摘にある『F16をベースとした艦上戦闘機型』という設定での質問でした。
    zonoさまのおっしゃるとおり、洋上航空行動ではエンジン一基より二基の機体のほうが安全性は優れていると思います。

    スキージャンプ&長大な飛行甲板が発艦に必要とのことですが現用の米空母、例えばキティーホーク程度の飛行甲板長+スチームカタパルトでの発艦は、降着装置・機体強化を前提としたならば可能でしょうか?
    もしかしたらF16が艦上運用されないのも離着陸距離が長い(未確認です)ためという理由があるのかも・・・・・・。

    閃空

  4. YFの段階で16は一時、後にホーネットとなる17と張り合ってました。
    少なくとも艦載機型の開発自体はそう困難ではなかったでしょう。
    でも双発を望む海軍がF−18を選んだのはご存知の通りです。
    勝井

  5. かつて、F/A-18(YF-17艦上型)とともにF-16艦上型というものが、LTV社によって設計されました。まあ、結果はYF-17改造型が勝ったわけですが、F-16を艦上機化するに当たって、「着艦が困難である」というのも大きな理由の一つとして上げられています。
    戦闘機の主脚は重心より少し後ろに取り付けられるようですが(間違ってたらごめんなさい)艦上機では、着艦時の沈降率が大きいため、陸上機よりも主脚を後ろに取り付けます。YF-17改造案は主脚に「膝」を取り付けることによって、実質的にタイヤの位置を後方に移しましたが、F-16では設計がぎりぎり一杯で、主脚を後ろにずらすこともできず、「膝」を付け足すこともできず、お尻にスキッドをつけて誤魔化そうとしたそうです。が、そのために着艦時の操縦が非常に困難になり、海軍としては、到底受け入れられないとされたようです。
    また、当時の海軍の方針からも、政治的理由以外に海軍がF-16を採用することはありえませんでした。
    これは、合衆国海軍の話ですので、他の海軍が空母用にF-16を採用、運用することが不可能だとは言いません(現にLTVは艦上型F−16を設計しているわけだし)が、艦上機には向かないでしょう。
    Sparrow

  6. 補足:書いてる間に……。

    皆さん双発双発と連呼されてますが、NACFは当初VFAXと呼ばれており、空中戦用戦闘機を開発するためのものではなく、艦上戦闘機、艦上攻撃機を機種統合し艦上機の効率化を図るものでした。そのため、計画推進者のケント・リー(階級不明)は「上手くいけばF-14を喰ってやれ」と考えていたようで、空中戦用戦闘機として開発されたF-16は「BVR戦闘能力もなく対地攻撃も出来ない昼間戦闘機」で艦載機の機種を増やす邪魔な存在だったようです。また、レーダーシステムもF-16が戦闘機/攻撃機と別のブラックボックスに交換しなければならなかったのに対し、F-17はプログラム制御レーダーを搭載していました。
    F-16が採用されなかったのは、海軍の要求(小型戦闘機は要らない)を見抜けなかったというのが大きいのではないでしょうか。

    >降着装置・機体強化を前提としたならば
    上に書いたように、F-16艦上型は、
    着艦時にお尻を擦る可能性が非常に高い(ほぼ確実)。
    それを避けようとすると着艦時の操作が困難になる。
    ので、「降着装置・機体強化」程度ではとても艦載機として運用できないと思われます。
    Sparrow

  7. 訂正
    (小型戦闘機は要らない)→(単能戦闘機は要らない)
    Sparrow

  8. 勝井さま、Sparrowさまご教授ありがとうございました!
    勝井さまのご指摘で知りましたが、FA18ホーネットと艦上機のシェアを争ってたんですね。艦上機型の開発も無理ではなかったようで安心しました。Sparrowさまがご指摘の主脚の位置ですが、艦上運用するためには機体の長さを主脚取り付け用に縦に伸ばせば可能かなぁ、思っているのですが・・・?
    私が思う『F16の艦上機型への改修もしくは艦上機型の設計』は機体の延長ということになりそうです(もちろんそれに伴った機体バランスの調節+『膝』主脚の採用なども必要ですね、それからこれは日本の次期支援戦闘機の自己開発を諦めF16が採用されたという設定を念頭に起きました)

    私がF16を艦上機型に、とこだわるのはF14と比べた場合、調達価格が40%少なくて済むという話を聞いたことがあるためです。それからここのページhttp://www7.plala.or.jp/iyo-343/e-ri_an/weapon/kouku-ki.htm
    で、『F16は空戦に優れているが優秀なFCSを搭載しているため、対地兵装も携行可能である』という記事を読みました。
    素人なので恥ずかしい質問なのですが、攻撃機と戦闘機でブラックボックスを積み替えねばならないというのはFCSを積み替えるということと同義なのでしょうか?

    みなさん、とても博識でレスを読んでいるだけでとても楽しいです。
    そのためついついみなさんに頼ってしまい、いけないなーとも思ってしまいます<m(__)m>


    閃空

  9.  防錆対策もお忘れなく。
    ザイドリッツ

  10. ザイドリッツさま、ご助言ありがとうございます!
    錆対策は機体表面に対策用塗料を塗ったりするのでしょうか?
    閃空

  11. >8. 現在の艦載攻撃機には対艦ミサイルの運用能力が不可欠ですが、対艦ミサイルは非常に高度な FCS を必要とします。単なる対地攻撃用(機関砲・爆弾・ロケット、LBG、マベリック程度の中距離 AGM)の FCS では代用できないでしょう。
    ささき

  12. >8
    胴体の延長だけでは、お尻を擦らなくするのは難しいでしょう。でも、脚を長くするにしろ、膝をつけるにしろ胴体の延長は必要そうですが。
    あと、問題になるのは着艦時のアプローチスピードですね、LTV艦上型F-16はこれでも不合格くらってます。主翼、アスペクト比の拡大が必要でしょう。もしかしたら、操縦性確保のためにフラッペロンではなく、フラップとエルロンも分離しなくてはならないかもしれません。
    キャノピーも海軍の要求を満たしていないので、変更の必要があります。
    と、ここまでやってしまって、どれだけ既存のF-16と共通性があるか?F-14よりお得になるか?ちょいと疑問です。実際、F/A-18の調達価格はF-14と大きな差があったわけではないので、フェニックスシステムがある分、F-14Dのほうがいいかもしれん(日本が採用するということね)。もしくは、F/A-18の方がコストが低くて(量産による)得。

    っと、忘れてた、そうですブラックボックスを交換するというのは、FCSを丸ごと(アンテナ、アンテナ支持機構などは除く)交換するということです。当時はまだ、プログラム制御レーダーが一般的ではなく、F-16の小さい機首に搭載することも出来なかったため、このような方法になったのでしょう。F/A-18もかなり無理して押し込みましたが。

    >11
    それはまあ、対艦型のAGM-65マベリックもありますし、AGM-84Eはウォールアイの誘導システムを流用してますから何とかなるのでは?
    Sparrow

  13. またやってら、えーすみません、補足

    >FCS
    あくまで、艦上型F-16開発当時のお話です。
    現在では、F-16はもちろん、F-15、F-14もプログラム制御式のFCSを搭載しており、何か機能を追加することは、ソフトウェアを追加するだけで可能です。
    Sparrow

  14. >Sparrow様

    追加質問で何なんですが、江畑謙介氏の著作の中にはF/A-18は
    国防総省の文民と政治家が嫌がる海軍に無理無理押し付けられたのだと
    いう記述がありますが、そういう背景があったのでしょうか。

    F/A-18を採用しなければ、F-14の調達数が増え、A-12もキャンセルされなかった
    かもとは思いますが。。。

    AP1

  15. たしかに、そういう背景です。現在のF/A-18は議会に押し付けられた面が強いでしょう。
    だた、VFAXの構想は空軍のLWF(後のACF)より先にあったので、ケント・リー海軍中将(当時)が計画を進めていた限り、何らかの機体が出来ていたと思います(事実VFAXに対し初期予算が出されている)。その後、議会によってLWFに相乗りさせられ、計画名がNACFに変わりました。
    議会の横槍がなければ、VFAXはより大型の機体になり、リー海軍中将の思惑通り、戦闘機と攻撃機を兼ね、当初トラブルが頻発していたF-14を完全に喰ってしまい、F-14キャンセルという事態も無くは無かったのではないでしょうか。
    議会の横槍が、VFAXを小型のF/A-18にし、F-14の存在意義が失われることはなく、結果F-14を救ったという見方もできます。(むろん海軍の大部分の人間はF-14の信者だったのですっぱりF-14が消えるとは思えませんが、予算獲得は困難になったでしょう。BやDは造られなかったかも)

    A-12は開発時期もずれがありますし、A-12自体に設計上の無理や重量超過などトラブルがあるので結局キャンセルになったと思います。A-6の最大搭載量をウェポンベイに納め、AIM-120用ウェポンベイも造るというのだから、すごい。飛ぶのか?
    F/A-18が無ければ、A/F-Xはキャンセルされなかったわけだから、JSFが無くなりますね。艦載機はVFAXとA/F-Xなる。
    Sparrow

  16. >15追加
    AP1様、これって議会の横槍でYF−17からF/A-18を造ったが、F-14信者により採用されなかったということですか?
    それなら、F-14の予算は増えてたかもしれません。
    (それなら艦載機はSTC-21とAST-21もしくはA/F-X)
    Sparrow

  17. >Sparrow様

    江畑氏の記述に関する件は15のご説明で了解しました。
    自分の疑問は16でご回答頂いたとおりです。ありがとうございました。

    F-18E/Fと言えばF-4及びF-15(非MSIP)の後継機として、お台場の某商社筋が
    随分熱心に空幕に売り込んでいるみたいですが。。。

    AP1

  18. >11.
    最近のF-16にはAGM-84が搭載可能ですし、ノルウェー空軍の機体は元からペンギンが搭載できます。
    一般的に、現在では空対艦ミサイルの運用能力を追加することは、それほど難しいことではないです。
    (N)

  19. >18
    ペンギンは赤外線誘導の比較的短射程のミサイルです。
    それに昨今のF−16は電子機材をグレードアップしたから出来たわけで
    20年前にはそれが出来なかったと言う事では無いかと思います。
    SUDO

  20. 今更なんですが、光文社の「世界のジェット戦闘機」によると、米海軍の現役パイロットの細君にご主人が乗る機体は単発が良いか双発がいいかアンケートを採ったところ圧倒的に双発の指示か高かったとあります。
    なんというか、当時のF/A-18採用のロビイストが喜びそうなネタですが、奥さんにまでアンケートを採る辺りがアメリカっぽくて面白いですよね。
    VAIN

  21.  10> さま付けなんていいですよ(笑)。
        私が持っている本の中で防錆対策について触れているのは、一九九〇年の古い本しか無いのですが、「普通の陸上機の運用状態なら、防錆性が強いクラッド板の機体外面に出る部分は、そのまま防錆処理なしでOKです。飛行機で無塗装のピカピカの所はクラッド板です。艦上機や水上機、海のそばで使われる飛行機ではクラッド板でも防食のため塗装した方が良く、海軍機が迷彩でなくても全面塗装しているのはこのためです。」としかありませんね。その他の防錆対策としては、海軍機にしか使用されていないような防錆金属があると読んだ記憶があります。


        後、あんまり考察していませんが、主翼を折り畳み式に(参考:F−16C・Dの翼幅は、九.八メートル。F/A−18Eですが、折り畳み時の翼幅は、九.三二メートル。)、着艦時の機首前方の視界を良くするため、機首を短く、アプローチ速度を下げ低速時の舵のききを良くするため、フラップやスラット、主翼や尾翼を大きくしなければならないかもしれません(YF−17⇒F/A−18への変更点はどれが当てはまったのか私は知らない)。


        それから皆さん。たまたま本を調べてて気付いたのですが、

         艦上機=もっぱら空母に搭載運用されるもので、基本形態は一般の固定翼陸上機と全く同一である。
         艦載機=その艦上機の基本形態を備えていない他の全ての軍艦に搭載、運用される航空機を総称する。例:水上機。

       らしいです。
    ザイドリッツ

  22.  検討当時にわかっていたのか、他機種との比較においてどうかはよく知らないのですが、そして後には改修されたようにも聞きますが、ある一時期、洋上を低空飛行してペリカンとぶつかって(厳密になんと呼ぶべきかよくわからないところの)風防が壊れて落ちる事故が毎年何機かあったようです。アメリカのバードストライク関係の報告書に特筆されてました。1キロのトビでさえ大事なのが十キロ以上のペリカンじゃあ無理もない気はしますが。
    はたの

  23. >22
    対バードストライクのキャノピーの強度規格ですが、当然のことながら空軍より、大型の海鳥と衝突する危険性のある海軍のほうが厳しいです。
    空軍では中型鳥(1.5ポンド)で8羽合計12ポンドまでとなっていますが、海軍では中型鳥を2.0ポンドと規定していますので、8羽合計16ポンドまでとなっています。
    なお、機種ごとによって規定速度が違うようで、F-15Dは重量1.5kgのと鳥の衝突に250ktまでですが、対地攻撃用のF-15Eは500ktまでとなっています。
    Sparrow


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