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三菱のF1やT2の横操縦は、スポイラーを使っているそうですが、エルロンを用いる方法に比べ、どのようなメリットがあるのでしょうか? ブルー |
- 例えば右ロールするときエルロンは左翼の揚力を増加、右翼の揚力を減少させるわけですが、高速で大きなエルロンを使うと「持ち上げ側」の翼が過大な揚力に耐え切れずにねじれ変形し、機体が意図した方向と逆にロールする「エルロン・リバーサル」を起こす危険があります。スポイラーはロール側翼の揚力を減少させるだけ(反ロール側の揚力は増加しない)なのでリバーサルの危険が少ないです。
ささき
- エルロンがないぶん、主翼後縁全幅にわたってフラップを設けることができます。
これによって小さな翼幅・翼面積の主翼に離着陸時の大きな揚力と良好な横操縦性を同時に持たせることができるのです。
T-2系列以外にこの手法を採った機(小さなエルロンを併用するものを含む)としては、同じ三菱のMU-2、ジャギュアなどがあります。
Schump
- >1
そういえば、ジェット輸送機では、主翼の構造重量を軽くするために、捻れ変形を起こしにくい(=耐えなくていいから軽く作れる)スポイラーを使う例が多いですね。
Schump
- これはメリットというより特性の違いかもしれませんが、エルロンを用いたロール制御の場合、旋回時、揚力の大きい円周外側の翼の抵抗により機首を外側に向けようとするモーメントが生じ(アドバース・ヨー)、これを相殺する為に方向舵を旋回方向に使う必要がありますが、スポイラー制御(のみ)による機体の場合スポイラーの抵抗により機首を内側に向けようとするモーメント(プロバース・ヨー)が作用する為、強い横風や推力の不均衡を修正する場合を除いて、旋回時に積極的に方向舵を使う必要がありません。 スポイラー制御のデメリットとしては、基本的に機体の抵抗を増やして制御する為、離陸直後/着陸進入時/片発停止時等におけるセーフティーマージンが少なくなる点が挙げられます。
みなと