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最近ずっと答える側ですが、久々に素朴な疑問です(^^;) 1930 年代に流行ったタンデムエンジンナセル(Do18 など)は前面投影面積こそ少ないものの、後部エンジンは「前部ペラで加速された気流を更に加速する必要がある」ため実は推進効率が悪い、という話を読みました(ビル・ガンストン著「航空レシプロエンジン」より)。 そこで疑問なのは、二重反転プロペラはどうなのだろうという事です。またタンデムプロペラの効率が悪いのであれば、Do335 が「究極のレシプロ機」と呼ばれる程の高速を発揮できたのは何故なのでしょうか。 ささき |
- ・・・巨匠の疑問に、素人が書き込みます(笑)叩き台として下さいませ・・・
単純に、推進力を望めば・・・(その強度、エンジン出力、振動他の問題は、とりあえず保留)
プロペラ径を大きく、ピッチをきつく?、そして回転数を上げる・・・etcが考えられます。
いずれも、より大きな推力(プロペラによる負圧)を得る事が出来ます。
そして、>前部プロペラで加速された気流を更に加速する・・・というのは
→前部プロペラによる負圧(進行方向)を更に減圧(つまり加速する)・・・です。
さて、タンデムエンジンの場合、後部プロペラは、密度の低い(前部プロペラ後流)中ですので確かに効率が悪い、と言えるでしょう。
単体でも、[後部システムの推力>前部システムの推力]の関係にして初めて成立する形態だと思います。
いずれにしても、「一つのプロペラによる推進システムよりは、複数の・・・」という発想の中でのレイアウトです。
他方、二重反転プロペラというのは、前述「ピッチをきつく」という発想の中での、システムではないでしょうか?
物理的には二枚だけど、「一枚のプロペラ設計では不可能な特性を持った、一つの推進システム」だと・・・?
(お願い:博識博学の諸氏様・・・トルクとか、機体強度とか、速度上昇による空気の粘性・・・今は思慮の外です)
んでもって私の(根拠の無い)勘。
>・・・タンデムプロペラの効率が悪いのであれば
↑その効率の悪さを。ハード、特にエンジン、機体設計(機首で発生した負圧を、最小限の減衰で尾部まで流す?デザイン)
の進化等でカバー。
>・・・Do335 が「究極のレシプロ機」と呼ばれる程の高速を発揮できたのは何故なのでしょうか。
↑更に、速度追求型(いわゆる機動性は無視?)の機体設計により 達成出来た。
つまりDo335は、ジェット機も設計可能な技術ノウハウの中での、レシプロ機であり・・・
その推進システムとして、前述「・・プロペラ径を大きく、ピッチをきつく?、そして回転数を上げる・・・」
といった、単発エンジンによる効率増大を狙わず・・・
上記「一つのプロペラによる推進システムよりは、複数の・・・」というレイアウトを採り
周辺技術の熟成・進化もあって成功した・・・と?
長く書いてしまいましたが、要は、「タンデムプロペラ」そのものは、高速化の主たる要因じゃない、その一部かな?・・・と?
sinn
- 私的には
「二重反転プロペラは、プロペラ反転トルクの打ち消しが主」
と認識しています。
Jack&Betty
- 流体力学を学んだのはもう十数年以上前なのでよく覚えていないのですが、空気を後方に押し出すことによるのではなく、プロペラも翼と同じように揚力を生み出すことで機体を前に引っ張っているのではなかったでしょうか?
タンデム配置の場合、翼列の干渉などをどのように考えるのかよく判らないのですが、加速された気流による効率の低下はそれほど大きくないのではないかと思います。
二重反転プロペラも同様に考えて良いと思います。
航空機の場合と幾分意味合いが違うかとも思いますが、船のスクリューの後ろに自由回転する反転プロペラをつけることによって、推進効率を高め燃費をたしか1割近く改善することができたという話を造船関係の方の集中講義で伺った記憶があります。
波タカシ
- ・・・ひえ〜っ!?(汗)
>空気を後方に押し出すことによるのではなく、プロペラも翼と同じように揚力を生み出すことで機体を前に引っ張っているのではなかったでしょうか?
→全くそうです。プロペラブレード、それぞれの断面は揚力を発生します。そし>て、それは回転軸方向(つまり、通常?は進行方向)への推力、となります。
>反転プロペラをつけることによって、推進効率を高め・・・
→そう、例えば「多段式タービンブレード」を想像して・・・私が提示している意味での「効率」を思って頂ければありがたい・・・。
基本的には、同一回転数ならばピッチ角をきつく?することにより効率は高まるのですが(翼の迎え角の限界があるように・・・例にならないか・・泣)勿論、限度があります。抗力が増加して、強大な駆動トルクを要するからです。
あるいはピッチ角は程ほどでも、回転径の大きなプロペラならば、効率は高まるでしょう。しかし、その重量等から同様に強大な駆動トルクを要する・・・。
エンジンの高出力化により、そのトルクは調達可能になった・・・。
同時に、いずれにしても・・・プロペラ反転トルクが強大になる。
こうした過程をふまえた上での「二重反転プロペラは、プロペラ反転トルクの打ち消しが主」だと認識しています。・・・つうか重鎮の判断を待ちます・・?
sinn
- 勉強したのが相当前なので、オボロゲな記憶ですと、二重反転プロペラは、トルク打ち消しだけではなく、プロペラ推力発生による旋回流を整流してくれるはずです。旋回流は推力を14%程損失するので大推力が発生していればメリットは大きいです。2つのプロペラ間距離が中途半端なタンデムエンジンの場合は、旋回流は既に拡散してしまい、高速収縮流であるプロペラ後流をかき回してしまうので、効率が低下する。プフィルの様にたっぷり距離がある場合ですと、高速収縮流であった前部プロペラの後流も速度が低下していますので、問題なしだったと思います。
なんせ学生時代の記憶ですので、誤りあればご容赦の程
kazu
- 訂正します:旋回流は既に拡散してしまい、−−>旋回流は既に発生してしまい、
すみません
kazu
- >5. わかりやすい説明ありがとうございます。二重反転のように密着させた場合と Do335 のように離した場合にはタンデムのメリットの方が大きく、中途半端な距離だとデメリットのほうが大きいという事ですね。
ささき