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ユンカースJU287の主翼は前進翼なんですが、これは何で採用しているのでしょうか?後退翼なら翼端のスピードを遅らせる効果も在るし、上反角効果も高い筈なんですけど・・・。 タケ |
- 「後退角なら翼端のスピードを遅らせる効果も在る」と言う意味は分かりません。
理論的には後退翼でも前進翼でも、音速に近付いた時の抵抗を遅らせる効果は同様にあります。
それで当時は実際に後退翼にどのような利点があるのか、前進翼にどのような欠点があるのかも暗中模索、
実際に造ってみなければ分からないような時代だったわけです。
戦後の技術発達史から見れば正解は後退翼だったのは明らかですが、
いまの目で当時の技術を見て判断しようとしてはいけません。
それと、上半角効果は高ければ良いというものでもありません。
実際多くの後退翼機が、後退翼の上半角効果を打ち消すために、
わざわざ下半角を付けているくらいですから。
便利少尉
- 機体の速度が音速に近づいたとき(遷音速状態)、機体表面(特に主翼上面)では機体の対気進行速度より高速な気流が部分的に音速を越えて衝撃波が発生します。レシプロ機でも急降下によって遷音速に突入し、振動が起きたり機体が安定を失ったり操縦不能に陥るなど危険な現象が起こることは知られていました。ドイツでは主翼を斜めにすることで衝撃波発生を遅らせる効果があることを発見しましたが、後退翼は気流が翼端方向に流れて翼端失速を起こしやすく、補助翼の効きが悪くなりスピンに陥ると回復が難しい悪癖を持っていました。前進翼なら翼端失速の危険なしに衝撃波発生遅延の効果を得られるはず…という見込みに従い、将来の高速ジェット戦闘機の為のデータ収集用に作られたのが Ju287 だそうです(だから流用品の寄せ集め)。しかし前進翼は剛性が余程高くなければ風圧に負けて主翼が変形してしまいます。Ju287 の主翼も時速 600Km/h 前後で危険な兆候を示し、遷音速飛行実験まで至ることはできなかったようです。
ささき