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MBB−BO105(PAH−1)はローターのブレードを回転軸に直接取り付けずにハブを介していますが、何故わざわざこんなややこしく脆弱そうな方法を取ったのでしょうか。こうすることによって何かメリットはあるのですか? 竜田川 |
- メリット?有りますよ、宙返りが出来ます。>BO−105
ooi
- 回転軸に直接ブレードがついているヘリなど、そもそもありません。
ヘリコプター(オートジャイロも)の回転翼はローターヘッドと呼ばれる構造物を介して回転軸とつながっています。ローターヘッドには、操縦のためのピッチ(ブレードの迎角)変更のための軸のほかに、回転翼特有の問題である前進側と後退側の対気速度の差による揚力や抵抗の差を逃すため、上下(フラッピング)や前後(ドラッギング:低速・小型機では省略されることがある)にある程度自由に動けるような関節となる構造を備えています。
この関節の作り方としては、
・いちいちベアリング付きの回転軸を設ける(全関節型)
・左右のローター両腕とするシーソーの支点を回転軸に取り付ける(シーソー型)
・弾力性のある素材を介してハブとローターをつなぐ
(フレキシブル型、スターフレックス型等)
・ローター自身を弾性変形する素材で作り、ハブに直接固定する(リジッド型)
といったものがあります(シコルスキーの弾性(エラスメトリック)ベアリング方式のような複数方式の混合のようなものもある)。
ご質問のBo105ですが、これは世界でほぼ唯一のリジッド型ヘッドを持つ実用機(ピッチ変更(フェザリング)軸はある)で、ローターヘッドの構造としては最も剛性が高く、部品構成も単純なものです。ただし、ローターにかかった応力がもろにヘッドを曲げたり捩ったりしようとするので、チタン合金の削り出しで作った高級なヘッドでもあります。
結局、構造の単純さは素材と加工のコストによってチャラになってしまうのですが、反面、ローター操作による操縦の結果がダイレクトに機体に返ってくるので、非常に操縦反応性のよい機体でもあります。
Schump
- >メリット?有りますよ、宙返りが出来ます。>BO−105
>ooi
全関節型でも宙返り出来ますよ。スタリオンで宙返りをしてる写真を見た事が有ります。
kazu
- ローターを直接回転軸に取り付けたら、ヘリが地面を離れる前にローターが自身の発生する揚力に耐えきれず根元から上方に折れてしまいます。即ちローターは上下方向に柔軟である必要があり、これをフラッピング運動と呼びます。しかしローターがフラッピングしながら回転すると、角速度の不一致によってロータに前後方向のコリオリ力が発生するため、これを逃がすため前後方向にも柔軟である必要があります。これをラグ運動と呼びます。
伝統的なヘリコプターの場合、これらのローターの自由度をヒンジ(継手)で実現しています。ハブ部分はラグ・フラッピングヒンジを格納すると同時に、回転面内で連続してピッチ角を変更するスォッシュ・プレートとローターのリンクを含んでいます。ただ、近年は柔軟かつ強靭な新素材の利用によってヒンジを省略した「ヒンジレス・ローター」も増えているようです。
↓この一番下の写真でラグ・ヒンジとスォッシュ・リンクがわかりますね。
http://aerocraft.cc/bo105.htm
ささき
- なるほど、勉強になりました。ありがとうございます。
竜田川