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2582 飛行機の尾翼でV尾翼が在るんですが、これは通常の尾翼と比べればどんなメリットが在るんでしょうか?確かドイツ機で、V尾翼の機体が在りましたね。
タケ

  1. 尾翼が二枚しかありませんから当然
    1空気抵抗が少ない
    2rcsが小さい
    3材料が少ない
    などがいえます
    ヨーグモス

  2.  V尾翼(英語ではバタフライ・テイル)は水平/垂直方向の投影面積をより少ない面数で実現できるので抵抗が減らせるという話ですが、実効は気分程度のものでしょう。また尾翼まわりの構造が簡単になるとも言いますが、小型機のエレベーター・水平尾翼は左右ぶっ通しの一枚構造なので実質2枚と変わらず、むしろラダー/エレベーターのカップリングが必要なだけV尾翼のほうが複雑かも知れません。V尾翼が通常のTないし逆T型尾翼を駆逐しないのはこの辺が理由かもしれません。
     ただし軍用機、特に最近のステルス機では (1) でヨーグモスさんが挙げられている RCS(レーダー反射面積) 減少(および垂直面の回避)のため積極的にV尾翼を採用する傾向があるようです(F-117、X-32、プレデター、グローバルホーク等)。民間機でV尾翼といえばビーチクラフト・ボナンザ/モデル35が有名ですね。特徴あるV尾翼の高級感が売り文句の一つでした。

    ささき

  3. >確かドイツ機で、V尾翼の機体が在りましたね
     記憶が曖昧で申し訳ありませんが、Bf109Vという試作機のことだと思います(確か)。
     1.でヨーグモスさんが指摘されている1と3が目的だったはずですが、これといった省資源効果や空気抵抗減が得られなかったため、結局お蔵入りになったと記憶しています。
    T216

  4. V尾翼は一見、コンベンショナルな形式に対し表面積/材料重量とも減少させることが出来そうに思われますが、現実にはダッチロール不安定を回避する為、一定の投影面積を確保せざるを得ず尾翼表面積が極端に減らせる訳ではありません。 簡単な例として垂直尾翼高さ1、水平尾翼左右に各々長さ1、翼巾1のコンベンショナルな尾翼のモデルと等価な45°V尾翼の翼面積を考えると、コンベンショナルな形式と同一の水平・垂直投影面積を持たせる為には各々√2の翼長が必要であり、V尾翼の翼面積はコンベンショナルな形式に対し約0.943となることが判ります。
    ではこの5%強の翼面積減少、この対価として支払われなければならないデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか? このモデルを基に比較を行ってみます。

    1. 尾翼及び胴体後部により大きな力が掛かる為、高い構造強度が要求される・・・・今下げ舵を取る為、尾翼に2の揚力を発生させたい、とします。コンベンショナルな形式では左右の水平尾翼各々1ずつの揚力を発生させることでこと足りますが、例えば45°V尾翼の場合、垂直方向に1ずつの揚力を発生させるには尾翼面に√2の揚力を発生させねばならず、従って構造も応分の反力に晒されることになります。(この場合スパン長、揚力とも√2倍ですから方形翼、等分布荷重を仮定すると尾翼取り付け部に作用するモーメントは実に2.8倍にも及ぶことが判ります)

    2. 外乱による作用が複雑で、トリム操作が困難・・・・例えば水平方向からの外乱が加わったとしても、尾翼は水平方向のみならず垂直方向にも揚力を発生する為、トリムでの修正が難しい

    3. V尾翼の動翼(ruddervator、と呼ばれます。ヘンな名前(笑))操作系が若干複雑である

    上記1.と3.は直接重量の増加を招き、翼面積の若干の減少にも関わらずV尾翼はコンベンショナルな尾翼形式に対し重量的なアドバンテージが無い場合が殆どである、といわれます。

    これらを勘案してもなお翼面積/空気抵抗の減少が急務であるグライダーもまた、比較的V尾翼が多く使われる分野であります。
    みなと

  5. >4. 誤)尾翼取り付け部に作用するモーメントは実に2.8倍
      正)尾翼取り付け部に作用するモーメントは実に2.0倍 ですね。あ〜寝ます。

    みなと

  6. >3. 簡易ジェット戦闘機ハインケル He162 の発展型は後退主翼+V尾翼になる予定だったようです。
    ささき


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