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初期の零戦11型に搭載された栄エンジンは、公称通りの性能が出ない等現地部隊での評判は悪いものだったらしいですね・・・大戦末期の「誉」エンジンなら分かるのですが、大戦初期に作られた栄エンジンに何故この様なトラブルが在ったんでしょうか? タケ |
- 実施部隊に配属されて中国大陸に渡った零戦一一型に載せられていた栄一二型は、製造番号一桁から二〇数番などの極初期の生産品だったりします。しかも、初めて日実用機体に搭載されてから日を経ておらず、ある程度の初期的故障は止むをえません。本来なら十分このあたりがこなれるまで実用実験を繰り返すべきなのですが、用兵上の要求によりその終了を待たずに漢口に派遣されてしまっております。
同様、栄二一型も初期にはトラブルが続発し、信頼性を確保できずに困っていた時期が相当あります。
トラブルがあったのは何故かといわれれば、機械とは初期的故障を潜り抜けて実用品になってゆくという性質のものだから、いうことなのかもしれません。
片
- 問題提起含みにもう一点指摘しておくと、初期の零戦はAMC未装備です。
また誉についても、完璧に作動するAMCが完成しなかったとされています。
片
- あの、片さんつかぬことをお聞きしますがAMCとはなんなのでしょうか?
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- オートマチック・ミクスチャー・コントロール、自動混合気調節装置です。
飛行高度に対応して混合気濃度が適正となるように自動的に調節します。
初期のA.M.C.未装備の零戦ではこの操作を手動の高度レバー(A.C.)で行っていましたが、栄は適正濃度域が狭く、飛行中は常時A.C.レバーを操作し続ける必要がありました。常にクネクネと左手の操作をし続けなくてはならないため「栄のA.C.をマスターすれば掏り師になれる」といわれたほどです。
つまり、栄はシリンダー内での燃焼条件がなかなか難しいエンジンだったのです。
混合気が濃過ぎても薄過ぎても以上燃焼となり、筒温過昇の原因となります。
誉のA.M.C.が何故完成しなかったのかは今後の研究課題ですが、意味合いからすると、適正な燃焼条件が定め切れなかったのではないかと思います。ある意味、誉は初期的故障をついに拭い去れなかったということなのかも知れません。
片
- ちなみに申し上げておきますと、金星や火星にはA.M.C.は不要でした。
そう思われがちな、長距離飛行のための燃料節約装置では本来ないのです。
あくまで中島の栄系発動機の燃焼条件の困難さを補正するための装置です。
中国大陸へ送られた零戦一一型が発動機の筒温過昇を引き起こしたため、カウリングに冷却用の穴を開けた、という記述を見かけますが、筒温過昇の原因は冷却不良ではありません。だいいちカウリングに穴を開けた十二空機の写真など見ないでしょう? そうではなく、あれは多分カウリング前端の気化器吸入口の開口面積をいじったのです。空技廠の松崎大尉の手記を読むとまさにそのようなことが書いてあります。
以前の零戦の解説書では「初期の零戦はオチョボ口であった」と書かれていたのをご記憶の方もあるかもしれません。一見オチョボ口のようですが、あれは後に標準化された吸入口よりも開口面積が大きいのです。この一見オチョボ口形が消滅したのは、漢口での現地改修でと考えるべきでしょう。初期的故障の改善の一例でもあります。
片
- 思いつきで質問して申し訳ございませんが、
実戦部隊で誉21型及びハ45-21は1800馬力に制限されていたということを
聞いていますが、これってひょっとして誉のA.M.C.の未完成に関係あるのでしょうか?
(別スレたてるべきだったかな?)
P-kun
- え〜と、学研の紫電改買って読んだんですが・・・
おもいっくそかいてありましたね。
前略
「最近ようやく実用の域に達し、かつ「NK9H」(誉21型)としても使用可能と
なりたるも、2速時気化分布不良により筒温過昇気味にして、
かつ電気系統能力不足とあいまって不調となり高高度性能に不安あるをもって」
紫電にてAMC実験中とありますが、これが最後まで完成できなかったということでしょうか?
まともに調べずに書き込んで申し訳ございません。
P-kun