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レシプロの双発戦闘機とジェットの双発戦闘機の意味合いの違いを教えてください。(レシプロでは鈍重なのにジェットでは双発の方が高性能) フェイス23 |
- >ジェットでは双発の方が高性能
そう言えるんでしょうか?設計段階において機体の要求性能、大きさ、形状とそれに見合うエンジンとを比較検討する中で、単発にするか双発にするか決まってくるのでは?J85双発のF5Eの発展型として造られたF20(全く売れなかったけど)は、F404単発になってますが。
そりゃ、特定のエンジンの単発より双発の方が推力は倍になり、機体の重量、容積を大きくすることができますけどね。
アリエフ
- レシプロ双発戦に鈍重な機体が多いのは事実ですが、これは双発が単発に対して
低性能であることを示しているわけではありません。
空中戦に限って言えば、ライトニングのように大きな出力を生かして一撃離脱に
徹することで単発戦と戦えます。
大体の事は上でアリエフさんが書いてくれてますが、現在のジェット双発戦で
制空戦闘ができるのは、対空戦闘の主兵装がミサイルだからです。
WW2時の戦闘機は御存知のとおり機銃で空中戦を行っていたため、
機首に装備していた機銃を敵機のほうに向ける必要があり、そのため小型で
運動性の良い単発戦が空中戦の主役である事ができたのだと思われます。
対して、現在のジェット戦闘機は多少運動性が悪くとも、ミサイルが
勝手に敵機を追っかけていってくれるので(もちろん例外はあります…
特にレーダーホーミングミサイルの場合)、前述のようなネガは出にくいと
考えられます。
また、双発にすることでペイロードに余裕ができる事からより高性能の
(んでもって重い)レーダーやよりたくさんの兵器を搭載できるようになるわけです。
より遠距離で探知できるレーダーとそれを活かした大量のミサイルを携行できる
機体の方が有利なのは分かっていただけると思います。
爆弾とかも沢山積めますし。
時代や技術的な背景によってその時代に求められる戦闘機の理想像は
変化しつづけていると思います。
意味合いの違いというよりは、その時代に求められる能力とそれを
実現するための技術力の結果がフェイス23氏の言っているような違いを
生み出しているのではないでしょうか。
”&”
- エンジン一基あたりの推力と抗力が段違いだからです
双発レシプロは馬力が倍になるのと同時に重量も大きく増えます
戦闘機レベルですと重量も倍ぐらいになって。更には空気抵抗も大きくなります
P-38のような上手く設計した機体でも加速能力・速度は何とか稼げても重たいので小回りが効かなくなります
対してジェットの場合は(上手く設計すれば)そのマイナスがそれほど大きくはなりません
重量当たりの出力が大きいこと(機体重量の増加と出力増加で出力増加の知恵息が引き出しやすい)
エンジンが小さいこと(機体中央に並べておくことも可能で空気抵抗がさほど増加しない)
馬力が大きいので巨大な主翼を持たせても問題が小さい(気体が重くても運動性が稼げる)
以上のような(上手く設計すれば)利点も引き出しやすいのです
SUDO
- 浅学なものですが、SUDO氏と近い考えを持っておりました。
便乗質問ですが、
WW2当時の双発戦闘機の操縦系統は機力操縦になっていたのでしょうか。
P−38のエルロンに、途中から機力による操縦装置が付加されたような
話を聞いたことがあるのですが、これを言い換えるとそれまでは人力操縦
が普通だったという意味合いのようにも受け取れます。
もしそうであれば、より大型の双発戦闘機の運動性発揮に不利だったよう
に思われます。
SAW
- ジェットエンジンには「2乗3乗則」というものがあります。
ジェットエンジンの出力は、吸入空気の量にほぼ比例します。つまりはおおむねエンジン直径の2乗に比例します。一方、エンジン重量はエンジン直径の3乗に比例します。ゆえに、相似形で大小ふたつのエンジンがあった場合、小さいほうが(相似比の1.5乗倍だけ)出力重量比が高くなることになります。つまり、ジェットエンジンでは同出力なら単発より双発のほうが有利になりやすいのです。
ただし、小さいエンジンは工作の誤差の影響を受けやすいとか、部品が薄く・細くなるために無理が効かない(回転数・吸入空気速度・タービン温度等々)ため、この法則は必ずしもうまくは働かず、特にファン回転面の面積が加速・燃費性能に大きく寄与するターボファンではあまり意味をなさなくなってきています。また、エンジンが多いことによるシステムの複雑化も運用上の問題になります。
レシプロエンジンでは、連続燃焼ではないため、そもそもの出力重量比が低いため、クランクケースや補機等の共有による軽量化が効く多気筒化によったほうが、多発化より全体としての出力重量比を高めるのには便利です。
Schump
- 例外的存在ですが機体の前後にエンジンを取り付けたタンデム式双発機があります。この方式だと機体断面積を単発機並みに小さくでき、空力抵抗の問題はかなり解決します。「双発戦闘機」ドルニエDo335はDB603×2基で最高速度約760km(高度6400m)を出しています。
アリエフ
- >6
フォッカー D23、立川キ94原案のようなビーム双胴串型もありますね。二基のエンジンで二重反転ペラを同軸駆動(川崎キ-64、ダグラス XB-42)だとか双子エンジン(景雲、フィッシャー XP-75、ハインケル He119)といった例もあります(爆撃機・偵察機も混ざっていますがご容赦を)。しかし技術的なハードルが高く、戦力化されたものは皆無でした。
ささき
- 別に質問者ではないのですが、「種種の理由により、ジェット戦闘機の場合は、レシプロ戦闘機と違い、双発機でも単発機と同等の運動性を確保しやすい。」という理解でよろしいのでしょうか。
あと、現代においては「双発機の方が価格が高くなる可能性が高い。」とか「双発機の方が、ペイロードが大きく、兵器や電子機器機器の搭載が有利なる可能性が高い。」みたいな要素が戦闘機の開発や採用に考慮されるという理解でもよろしいのでしょうか。
SAW
- >4 便乗質問ですが、WW2当時の双発戦闘機の操縦系統は機力操縦になっていたのでしょうか。
P−38の油圧ブーストは特殊な例で、4発のB−17やB−29でも人力操縦の筈です。
6発の Me323 ギガントは舵が重いことで悪名高く、速度が付くと殆ど操縦輪が動かなくなってしまい、主としてトリムタブで操縦していたという話も聞きます。
ささき
- 私も便乗質問ですが、ラバウル烈風空戦録の双戦は、技術的にどうなのでしょうか
なかやま
- >8
求められる性能を満たすには双発の方が都合がよい機体がそうなっている。
ということだと思います。F-15とF-16のように…。
”&”
- 単純に考えて、
全離陸重量=構造重量+燃料重量+推進系統重量+システム重量+武装重量
です。単発戦闘機と同じ重量配分で双発戦闘機を作ると、「武装
重量を倍」持てます。
通常は武装要求というのは「かくかくしかじかをいくつ搭載せよ」と
いう形で要求されます。つまり、同じ武装要求で作るなら、単発戦闘機に
対して双発は武装重量比約半分で成立すると言うことになります。
この余裕分はジェットならば簡単に有意になるのでしょう。
レシプロの場合は
・プロペラの逃げを考慮しなければならなく、エンジンを左右に
離さざるをえなくなるのでロールが遅くなるだとか、
・空気抵抗に大きく影響する正面投影面積がエンジンナセル×2+
胴体で単発に比べて倍以上に増えちゃった
だとかによって簡単に相殺されかねない物なのだからでしょう。
SADA
- 派生回答。
WWII当時の出来立てジェットエンジンは、エンジン一機当りの出力においては同時代レシプロエンジンに全然敵いません。
高々度における出力低下が相対的に少ない程度のシロモノです。
てな訳で、ミーティアもMe262も、馬力を稼ぐ為に双発にしたのです。
papagei
- >10 ラバウル烈風空戦録の双戦
川又氏の「双戦」については断片的な事しか知りませんが…1000hp 級のエンジンを二基、可能な限り小型の機体に押し込めた例には Fw187 ファルケ、ウェストランド・ワールウィンド、グラマン XF5F などが実在します。性能的には同時代の単発機にくらべ速度と上昇力に優れていたものの、それが空戦で圧倒的な優位差になる程でもなく、費用対効果で見ると得ることなし、と判断され不採用あるいは少数生産にとどまっています。栄双発で小型機を作っても同じような結末を迎えたでしょう。また双戦の開発元は中島飛行機という設定になっていたと思いますが、同社が「2000h の誉を二基可能な限り小柄な機体に押し込めて」作った天雷の辿った末路を見ると、あまり期待できそうにはありませんね。
ささき
- レスを下さった方。
ありがとうございました。
SAW
- >10
ありがとうございます。
なかやま