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2388 一式陸攻はワンショットライターと呼ばれていたほど簡単に火災を起こし撃墜されていましたが、その原因の一つにインテグラルタンクを採用したからだと思っていました。ところが最近読んだ本には単純に防弾用のゴムの不足によるものでインテグラルタンクそのものの採用は間違ってはいなかったと書いてありましたが、防弾用のゴムだけで火災の起きづらい機体になるものなのでしょうか?
kyo

  1. 上記の追加質問で防弾ゴムは外側に着けるのと内側に着けるにでは性能に差が出るのでしょうか?確か翼の外側にゴムを取付けた機体があった気がしたもので…
    kyo

  2. 一式陸攻の脆さはインテグラルタンクと防弾装備欠如の両方が現因だとおもいます。翼のインテグラルタンクは被弾の可能性がある面積が大きいというだけで危険ですし、後に防弾用ゴムを取り付けた改良型の陸攻でも結局あまり効果はなかったと聞きます。また、防弾ゴムは榴弾(20mmクラス)に対して効果があるそうですが、徹甲弾には殆ど効果がないということなので、12.5mm弾に対する防御効果は疑問です。
    Vinegar-Joe

  3. >1
    たしか内側のゴムは穴をある程度に塞ぐ効果があって、外側のゴムは弾片に対する防御用だったと思います。
    Vinegar-Joe

  4.  当たり前ですがガソリンが燃えるには適度に空気と混ざることが必要で、空気のない密閉空間のガソリンタンクに焼夷弾が飛び込んでも爆発することはありません。ソ連機の中には排気ガスをガソリンタンクの加圧に使い、タンク空洞中の酸素量を減らすことで対弾性を狙った設計さえ見られます。
     ゴムは防弾ではなく、銃弾によって開いた穴をガソリンに触れたゴムが膨張して塞ぐことによってガソリン漏れを防ぐ(空気と混ざることを防ぐ)為のものです。英語では普通 Self Sealing Tank と書き、日本語では防漏タンクとか対弾タンクと訳したほうが近いように思えますが、「防弾タンク」という用語は当時使われていた制式な用語であるようです。
     海軍陸攻や陸軍重爆の戦記を読むと「被弾した翼から白いガソリンの尾を引いたかと思うとパッと焔に包まれ…」という記述が胸が痛くなるほど出てきます。外側にゴムを張ってもそれなりの効果はあったようですが、重量と空気抵抗を増大させ飛行速度を落とす欠点が大きかったようです。

    >インテグラルタンクの採用は間違いか?陸攻の撃たれ弱さは「ゴムの不足」が原因か?
     色々な要因が絡み合っているので一言では言い切れません…。生ゴムだけあっても適切な加工技術がなければ防弾タンクは作れないし、インテグラルでなくとも防弾タンクでなければ燃えやすいことに大差はありません(被弾危険面積は変りますが)し、陸攻の航続距離がなければ実施不可能な作戦もありましたし…。
     たとえば行動半径 1000Km+ (B-25 クラス) で良いのであれば陸攻はもっと撃たれ強い機体になっていたかも知れません。しかし手元に世界地図があればソロモン付近で島々から半径 1000Km の円を描いてみてください、あちこちの海峡に陸上航空部隊でカバーできない穴が沢山空きます。そこを埋めるため駆逐艦や潜水艦を増産しなければなりません。また陸上からカバー可能な範囲にしても、多機数を作らなければ必要な戦略配置が得られません。
     陸攻も戦略システムの一端に過ぎず、陸攻に防弾能力を持たせることで失ったものは他の何かで埋めなければならなかったのです。他の何かの不足を埋めるため陸攻は防御力を捨てなければならなかった、と言ってもいいでしょうか。どのみち日本の国力では埋められない大穴を必死に埋めようとしていたのです。
     (話が防弾タンクからずれてしまいました、ごめんなさい)
    ささき

  5. 日本の国力では埋められない大穴は防弾ゴム程度では埋まらない。

    ああ、勝手に変なふうにまとめてすみません。
    便利少尉

  6. 一式陸攻の防弾に関しては色々と複雑な事情があります。

    実際に行われた事は、十八年初頭から前線にある一式陸攻ほぼ全てに防弾ゴムの主翼タンク下面への貼り付けが実施され、効果を上げています。防弾ゴムはタンク下面に貼るだけでも効果はあったのです。
    そして、本格的な防弾タンクを装備する為、主翼そのものの再設計を実施したのがG4M3 30型シリーズなのですが、これは設計そのものが遅れ、少数の配備のみに留まっています。また当初計画されたG4M3用内袋式タンクは生産が停滞し、生産機には通常型の外張りの防弾ゴムを用いた防弾タンクが採用されています。内張りと外張りの差は、被弾貫通時の穴を塞ぎやすいか塞ぎ難いかの違いですが、末期の防弾タンクは外張り式でも12.7mmの連続被弾に耐えています。現存する紫電改の防弾タンクの外側に金網が張ってあるのは外張りゴムが被弾穴を塞ぎやすいよう変形を少なくして外張り式の欠点を補う為です。

    さて、これからが問題なのですが、戦時のみならず、戦後の戦記読み物にまであまりに欠陥機、ライター、等と悪評を立てられた一式陸攻の設計者にも言い分がありました。その反論はほぼ以下二点に集約されます。

    1.防弾装備を欠いたのは軍の要求の為だった。過酷な要求をクリアする為に考案したインテグラルタンク採用そのものには間違いは無い。防弾タンク装備の為に設計変更したG4M3は一式陸攻の本質的な長所を損なうものだった。

    2.防弾、防弾と言われるが防弾タンク装備には意味が無い。防弾タンクを装備しても、炎上するまでの被弾数が数発増えるだけだと思う。

    実際には防弾装備の検討時には会社側に技術者も加わっていたらしいことが判っていますし、翼下面に応急的に貼り付けた防弾ゴムですら効果が見られたのですからこの反論自体、よく検討しなければならないのですが、声高に欠陥機扱いされた一式陸攻について設計者の主張と心情はこういうものだったという事は覚えておいて損はありません。一式陸攻の防弾装備について触れた解説記事が何をソースにしているかを知ることが出来るからです。
    BUN

  7. 関係書籍 光人社NF文庫の「航空テクノロジーの戦い」P148から、「軍用機開発物語」P52に、判り易い解説があります。
    航空技術の全貌・上巻、原書房には堀技術少佐の回想がありますが、内張用の弾性がありガソリンに溶解しないゴム(合成ゴム)は開戦前の日本では製造出来なかった、出来るようになったのは戦争末期。
    一方シナ事変の終わりころには外張り式タンクで7.7mm焼夷弾連続3発、13mm炸裂弾1発被弾でも火災を発生せず、ガソリンの漏洩も著しく少ないタンクが出来た、とあります。こちらのゴムは厚さ8mm以上(アルミ板のまくれ対策)、スポンヂ状ゴム板で気泡が独立した物。
    外張り防弾のインテグラルタンクであっても被弾してもガソリンが漏れなければ火災は起きないのです。
    早房一平

  8. 防弾タンク製造のネックとなっていた耐油性合成ゴムのクロロプレンゴム(米国系)またはニトリルブタジエンゴム(ドイツ系)の開発は、終戦までにはなんとか目処がついていたのですが、日本の化学工業が貧弱な為、その原材料を量産する事が出来ませんでした。単純に防弾用合成ゴムが不足していたとは考えるのではなく、もっと基本的な面に目を向けてはいかがでしょうか。
    間借り人


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