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キ-102試作襲撃機が試験飛行中B-29を迎撃し、エンジンを吹き飛ばして撃墜か撃破かしたそうですが、これは試験飛行中にたまたま会敵したのでしょうか、迎撃テストだったのでしょうか。こういうケースは他の試作機でも行われていたのでしょうか。キ-102は200機以上出来ていたそうですが、もし実戦配備されていたら活躍できたのでしょうか。 ビギナー |
- モデルアート社刊の「日本航空機辞典・上巻」によれば
20年春、キ-102乙の大部分は、民間操縦士の輸送部隊の手で沖縄台湾方面に送られ、一部は比島反撃戦に参加すべく、空中輸送の途中、敵の夜間戦闘機に補足され、レーダーを持たない本機はほとんど全機撃墜されたという。
(中略)
軍の制式機名は与えられなかったが、事実上制式機として扱われた。短期間ではあるが、一応戦力となった機体である。
と、あります。
話が逸れますが、1/72スケールのキ-102のキットがあったと思います(^^;
穂積
- キ-102 乙の機関砲「57mm ホ-401」は屠龍の 37mm ホ-203 を拡大したもので、自重 150Kg(このクラスの砲としては軽いです。ドイツの BK-5 50mm が 500Kg、モスキートのモリンズ 57mm が 800Kg 以上あります)、57x121R 弾(弾頭重量 1500g)、初速 495m/s、発射速度 80 発/分、装弾数 17 発。
初速の低さはドイツの MK108 30mm(400m/s)に匹敵し、秒間 1.3 発の発射速度では対空火器として不適です。余程接近して一撃必殺を狙わないと当たらないでしょうが、密集編隊で防御蒲生を張られたり護衛戦闘機が付いていては返り討ちに逢うでしょう。B-29 撃墜の武勇伝は運良く単機行動の敵機に遭遇したのではないでしょうか?
1500g の弾頭重量は対地対艦攻撃に役立ちそうですが、発射速度が倍のドイツ BK3.7(Ju87G シュトルムフォーゲルの武装)でさえ「一降下に1、2発しか撃てない」と言われていましたから、やはり一降下一発くらいしか撃てないと思います。ちなみに BK3.7 の初速は 800m/s もあり、P-39 に積まれて「低初速のションベン弾でぜんぜん当たらん」と悪評だった 37mm M4 が初速 500〜600m/s です。
キ-102 乙には「襲撃機」という勇ましい名称が与えられていますが、速度 600Km/h に満たない機体では護衛戦闘機と対空砲火を突っ切って上陸部隊に痛手を負わせることは非常に困難だと思います。もし実戦投入されても夜間の散発攻撃となり、反復攻撃で 57mm 砲を有効に使えるような状況は得られなかったのではないかと思います。
ささき
- 光文社の「日本の陸海軍機」によると、キ-102は迎撃テストにおいてB29一機を脱落させています。また、「実戦を兼ねた飛行試験」とも書いてあるので、他の機体でもあったと思います。なお、キ-109(四式重爆「飛龍」に八八式高射砲を積んだアレです)は、訓練飛行中にB29の編隊が来て、迎撃テストに切り替えた例があります。
キ-102もご多分に漏れず、エンジン系統のトラブルに悩まされていますし、57ミリ砲もささきさんのご指摘通りですが、劇的な活躍ではなく「屠龍より良い」くらいの活躍だったら出来た思っています。
12式戦爆
- 37mm砲装備のキ102甲で黒江少佐が、57mm砲装備のキ102乙で並木少佐が
B29の迎撃に出撃し、黒江少佐のキ102甲で1機撃墜したと言う書籍もあるようです。
jas1