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2355  加藤寛一郎「飛行の真髄」講談社文庫版P116に、
「『ここがバックサイドです』
バックサイドとは抵抗速度曲線の裏側(バックサイド 原ルビ)、通常機は飛べない低速度領域のことを言う。」
 とあります。
 そこで疑問に思ったのですが、S/VTOLでない通常の固定翼機が着陸時にパワーをかけてアプローチする際も、やはりフロントサイド領域なのでしょうか? 高揚力装置などによってフロント/バックサイドの境界を低速側にズラし、抵抗増大分を補うためにパワーを注ぎ込んでいる、という解釈でよいのでしょうか?
 それとも、前記記述に反して、失速直前はバックサイドに入っているのでしょうか?
 よろしくご教示くださいませ。
はたの

  1. 「バックサイド」には複数の意味があるようですが、パイロットが普段使う言葉で「バックサイド」と言えば速度−抵抗カーブが逆転する速度を指します。
    http://www.allstar.fiu.edu/aero/airflylvl3.htm

     上記ページの Figure.11 を見て頂けばわかりますが、飛行機の速度がある値(通常は最大 L/D 比の滑空速度)を切ると水平飛行に必要なパワーが速度の減少に伴って増大します。この領域においては縦の操縦応答が変わり、速度調節を操縦桿・高度調節をパワーで行う必要が出てきます。パイロットはこの変化をマスターするよう、操縦訓練の過程で超低速飛行(スローフライト)の操舵を叩き込まれます。
     軽いセスナ 152 でも着陸時にはバックサイド領域を飛びます(滑空速度 67kts、着陸速度 55〜60kts)から、より重い戦闘機やジェット旅客機も着陸時にはバックサイドに入っていると思います。
     道明機長が「ここがバックサイドです」といった発言の真意はわかりませんが、US-1 のように重い機体が 70kts の低速で水平飛行を維持していることを強調したかったのだと思います。それを加藤氏が「通常機は飛べない領域」と解釈してしまったのは筆の走りすぎに思えます。
    ささき

  2. >ささき様

    丁寧なご回答ありがとうございました。もやもやが晴れました。
    はたの


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