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数日前に公開された、三菱重工業の名古屋航空宇宙システム製作所(愛知県豊山町)で復元されたロケット戦闘機「秋水」ですが、これは1961年に日本飛行機(横浜市)の工場敷地の地中から発見された未完成機をベースに復元されたものだそうです。 ジュラルミン製だと思うのですが、残骸状態の写真でも、それ程腐食していないように見えました。 国内に埋められている他の航空機も案外腐食していないで復元できるのではと期待しているのですが、いかがでしょうか。 みや |
- 回答ではなくてすみません。便乗質問です。
この「秋水」の写真を見ました。色が緑黄色なのは史実の色なのでしょうか?
オレンジ(試作機色?)のイメージが強いのですが・・
Jack&Betty
- 鉄や木製の機体なら復元(レストアも含む)は可能ですが、秋水等のジュラルミン合金を使用する機体は難しいと思われます。ジュラルミンはアルミニウムを元にした合金です。アルミニウムは軽量で強度は高いのですが、成形が難しく、大きな損傷が出た場合、修復は不可能に近いと思われます。腐食も激しい場合は同様だと思います。しかし、秋水の場合は高高度用の特殊機体という位置付けが強いと思うので、恐らく他に各地で生態保存されている機体は各々の程度によりますが復元は可能だと思います。僕個人としては、震電の実物が見てみたいなぁと思っています。
X−マン
- 日本が戦時中に使用していたジュラルミンは銅が多く含有されているため腐食しやすい、というのをどこかで読みました。
さて、戦争終了後に廃棄処分にされた飛行機ですが、飛行場跡地はすでにかなり開発の手が入っていると思われます。
そのような場所で工事の影響を受けずに残っている機体がどの程度あるか、という疑問が残ります。
”&”
- 回答ありがとうございます。
ジュラルミンはアルミの一種だと聞いたことがあり、アルミは表面に一旦酸化幕
が出来ると、鉄と違って内部まで酸化が進まないなどという記述を見かけたので、
質問いたしました。
1 については同感です。機体を図面などを利用して復元された皆さんなので、
塗装についても間違いないのだろうとは思いますが、一般的な海軍機の塗装色
をイメージしていると、ちょっとこの色は本当だろうかという疑問を感じます。
みや
- 「秋水」って翼は木製じゃなかったでしたっけ?
ROCKS
- 小生、浅学のため実際の秋水の機体については知りませんが、上記工場の敷地
から発見された機体の写真を見ると、翼がありませんでした。機体は銀色をして
いましたので、ジュラルミン製だと思いますが、翼はおっしゃるとおり木製だったかもしれません。
土中にある間に木製部分が腐食してしまったと考えると、写真と符号します。
木製にすれば、原料の調達も、工作も簡単で、切迫した当時の状況にぴったりだったのでしょう。
みや
- アルミニウム自体は、金属の中でもイオン化しやすい元素ですが、みや様のご指摘のようにアルミニウムの表面に酸化物の皮膜を形成し、その皮膜が安定な環境化では腐食しにくくなり、水の環境下ではおおよそpHが5〜9で皮膜が安定で、そこでしかアルミニウムは耐食性が期待できないということです。
pH以外にも腐食に影響する要因(環境、熱処理、合金元素など)は、たくさんあって、ぬれた木材(とくにぶなの木)との接触は良くないと古い腐食の教科書に載っていて、一部木製の『秋水』の場合どうだったのだろうと思いました。
アルミニウム合金に添加する合金元素は、多くが機械的な性質(強度など)を改善するために添加し、合金元素によって耐食性が向上することはありません(ないことはないけど、ほとんどの文献で否定的な表現のように感じます)。
アルミニウムに添加する合金元素のほとんどが、アルミニウムより腐食し難く、色々理屈があってアルミニウムを腐食させる要因となります。逆にいうと、普通は、純アルミの方がアルミニウム合金より耐食性が優れているということです。
そのため、当時の日本のジュラルミンが銅の含有量が多く、腐食に悪影響を及ぼすことは十分考えられます(銅の含有量は腐食の速度に影響するけど、腐食しないということはないと思います)。が、一方で、銅はアルミニウムと化合物をつくることで強度特性の向上効果があって、強度優先で合金の設計をした可能性も考えられます。(ジュラルミンは銅を添加して強度を向上させた合金です。)
結局、土に埋まっている航空機がどうなっているのか、色々な条件に耐食性が影響され、一概に言えないと思います。
それにしても、復元した『秋水』の黄緑色、私もオヤと思いました。
masaki ogasawara