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飛行機の形状についての質問です。 米国の戦闘機は最新のF-22に至るまで全て主翼+後方尾翼となっています。 それに比べてヨーロッパの戦闘機は、特に最近のものは ほとんどデルタ翼+前方カナード翼となっています。 米国にしろヨーロッパにしろ、戦闘機を作る会社は複数あるのに何故こうなるのでしょうか? 国民性?気候の違い?土地の広さ? もちろん、本当のことはその会社に聞くのが正しいのでしょうが、 もし、何か思い当たることがあれば教えてください。 アオキ |
- そうですね…。なぜかアメリカはその様な機体の開発にあまり熱心ではありません。デルタ翼(完全な無尾翼デルタ)機はコンベアF−106デルタダート以降採用されていません。更に、カナード+デルタの組み合わせも1990年代の初めに、”X−31A EFMD”を用いて飛行試験を行ったぐらいです。考えられる事としては、アメリカ機の設計が割と保守的である事が挙げられると思いますと思います。
YF−23A
- カットラスでこりたんじゃないっすか? って例えが古過ぎるな。
ふざけた話はさておき、新しい奴ではF-16を対地攻撃用に改設計したF-16XLってのがあります。クランクドアアローデルタというちょっと変わった翼型のデルタ翼機でしたが採用試験でF-15Eに破れ結局試作機の運命に終わりました。
この翼型を選んだのには翼面積を大きく取れて安定性が良くなるというのが理由(の一部)でしたが双発のF−15Eには及ばず、結局この安定性と搭載能力が決め手でF−15Eに決まりました。
烈風天駆
- 計画だけなら色々あったんですけどね。
一つは時代の流れでしょう。アメリカでは70年代(正確には60年代後半)から機動性を追求した戦闘機が作られ始め、その機動性重視の設計がやや遅れてソ連やヨーロッパなどに流れSu-27、Mig-29、グリペン、タイフーン、ラファール等になりました。後発で出てきたから、その分空力の研究などがすすんで機動性に有利なカナード付きの形態が生まれました(最初はクフィール?)。
それで、機動性重視なら合衆国の戦闘機もカナード付きになっててもいいんですが、70年代半ばから合衆国は世界に秘密にして一人で「ステルス」の研究を始めました。その結果、「カナードはステルスにとっては邪魔」となった(らしい)のでカナードは使われていないようです。
んで、「計画だけ」の話をするなら、
変形デルタ翼+カナードの「スーパーホーネット案」。現在のスーパーホーネットとは別物で(現在のは「ホーネット2000案」)クランクドアローの主翼にカナード付けたものでした。
クランクドアローだけなら、F-16XL。
デルタ翼なら94〜95年にかけてロッキードがUAEに提案したデルタ翼F-16。ATF計画ジェネラル・ダイナミクス案。X-32も一応デルタ翼か。
カナード付きは、JSF計画初期マクダネル・ダグラス案(X-36だね)。JASTのロッキード案もカナード付き。F-15STOL/MTD。
というのが有りましたが、すべて研究だけもしくはポシャった機体です。
「最新の戦闘機(第4世代)」というのでひとくくりにしちゃうけど、F-22とその他の機体は、実質1世代分くらい開きがあるんじゃないかなと思ってますが。
Sparrow
- >3 カナードについて航空機関係過去ログ171参照。カナードが必ずしも機動性向上の決め手、最善策というわけではありません。
またスウェーデンのグリペンがビゲンの後継機であり、同国の戦闘機がSTOL性を重視した翼形になっていることを考えると、それとクフィルやラファールのカナード・デルタを同列に論じて良いのか疑問がある。
なお、試験機でカナード付けたものは70年代以前からあるわけでして、例えば、60年代にソ連はMiG21の改良型として、主翼の前にカナードを付けたものをテストしています(F15の試験機に似たやり方)。
アリエフ
- とりあえず、カナードに関しては、スカンクワークス二代目工場長ベン・リッチの
言葉に「鳥は実に器用に飛ぶが、尾羽を羽の前に付けた鳥は見たことがない」と
いうのがあります。F-117を作った人間が言うんだから、保守的と言うよりは考え
方なんですかねえ?
小笠原
- スウェーデン、フランスの場合は超音速機の開発経験の大半がデルタ翼機である事も影響していると思われます。
人見 忍
- >4
グリペンについて調べたところ、
離陸距離 400m
着陸距離 500m(軽荷)
必要直線距離 800m
となっていました。
ビゲンの必要直線距離500mからは大きく緩和されています。
また、運用に関してはビゲンは強化道路でしか運用できませんでしたが、グリペンは機体を軽量化することによって通常道路から離着陸でき、柔軟な運用ができるため、そんなにSTOL性は追求されていないと記憶しています。
他の機体では
ミラージュF1
離陸距離 450m
着陸距離 500m
ミグ29
離陸距離 240m(!)
となっていました。
これを見る限り、とりたててSTOL性に優れているとは言いがたいのではないでしょうか?
それと、ミグ21改造のカナード付き実験機ですが、超音速時の揚力中心の後退に対応するためのもので、超音速時は一定角度に固定され、それ以外の時は操縦に影響が出ないように気流に流されるままというものだそうです。そうなると、カナードでも70年代以降に出てきたものとは、別物だと思います。
カナードなら何でもいいなら、人類最初の動力飛行機がカナードでしょう。
Sparrow
- 米国のF-16やF-18はストレーキ等でカナードに匹敵する効果出してるんですから
尽きる所、主翼+尾翼の一般的なスタイルと、デルタのどっちが良いかというだけで、一長一短でしょう
欧州機って言っても、サーブもダッソーも昔からデルタやってたんでそっちの経験が豊富で有る事も大きいでしょう
反対に米国やロシアは無尾翼デルタの戦闘機の経験が少なく、反対に通常型の経験が豊富
こうなると新型機の開発費が高騰し、失敗が許容されなくなってきてるご時世ですから、自社にとって無難な方を選びたくもなるでしょう
SUDO
- >グリペン
凄いですね。スラストリバーサーないのにビゲンと同等の着陸距離なんて(強化道路上でのデータだと思いますけど)。機体の軽量化、機体後部のスピードブレーキと着陸時にカナードをスピードブレーキ替わりに使っているのが効いているのかな?
強化されてない道路でも800mあれば運用できるのか。
これで10t級エンジン、APAR積んだらかなりの戦闘機になりますね。
ガンヘッド507
- 航空機設計理論の新しさの問題だと思います。
1> X−31Aはアメリカのユーロファイター支援の理由が大きいと思います。あれだけ似てるしね。
3、8> 「カナード機の前翼は普通の機体の尾翼より小型であり、一部では前翼の利きが良いためにそうなると思われているが、実はエリア・ルール上の制約のためである。細い機首に、小さいとはいえ前翼を張り出すことは、ここの周りの空気抵抗を増すことはエリア・ルールによって明らかで、しかもパイロットの前方視界は悪くなるし、小さいためにその利きには限界がある。
尾翼形式ならば、設計者が重量の増加さえがまんすれば尾翼の大きさは無制限に大きくできるし、利きも前翼形式に勝ることはなくても同水準まで持っていける。
またカナードは、主翼が前翼より先に失速するという特徴があるが、それがいやらしい事態を招く恐れがある。
仰角が極大になって主翼が失速すると、主翼の空力中心はぐっと前へ出てくるが、こうなると前翼の力をいっぱいに使っても機首が下がらなくなることがある。これは空気力学的にいう「ディープ・ストール」といわれる現象で、機体は機首を上げたまま高度をどんどん下げていき、回復することが困難になる。
現代戦闘機では仰角を極限まで大きくして格闘性能を上げるよう要求されることが多いが、これは問題である。もちろん実際にはFBWの力を借りて仰角が限界を超える前に機首を下げさせるようにするが、これで戦闘機の機首上下動の速さ(ピッチ率)が悪くなることは明らかである。」 戦車マガジン出版 ミリタリー エアークラフト ステルス戦闘機 Vol.2 YF−22&YF−23より抜粋。
3>X−32には問題があり、JSFに採用されて量産されれば、尾翼を追加する改良をする予定でした。また、F−15 S/MTDは、当初の目的はSTOLだけで運動性の向上は目的でなく、カナードが付けられたのは、ベクタードスラストノズルを下にカナードを上向きにして揚力の釣り合いを取るためだったような・・・。
あと、みなさんXFV−12を忘れちゃいけません(笑)。
ザイドリッツ
- 回答ありがとうございます。
>3
ステルスとの関連はおもいつきませんでした。たしかに
あのデルタ翼はレーダー波をおもいっきり反射しそう。
>10
結局は尾翼のほうが機能が上という事でしょうか?
そうすると、デルタ翼のほうが無理がある?
ヨーロッパのデルタ翼は機能というより「今までがそうだから」
なんでしょうかねぇ。そういえばロシアも尾翼方式ですもんね。
個人的にはデルタ翼+カナードはかっこいいと思うのですが(笑)
アオキ
- 結局は尾翼のほうが機能が上という事です。
デルタ翼のほうが無理がある? ヨーロッパのデルタ翼は機能というより「今までがそうだから」。>デルタ翼うんぬんじゃなくて、尾翼形式かカナード形式の問題です。デルタ翼で尾翼形式にすればMiG−21、A−4、F−5、F−16、F/A−18の様になります。F−22でさえクリップド・デルタです。ヨーロッパでカナード形式が流行した原因は、10で引用した本によると(一部、私が訂正)、「パイロットが操縦桿を引いて上昇しようとしたとき、尾翼付きの機体ではまず機尾が下がってしまうが、カナードでは忠実に機首を上げてくれるという点にある。ただ、カナード付きでも安定性という点ではあまり良くないが、FBWによってこの欠点が補正でき、1980年代の戦闘機はその上に成り立っていた。
また、カナード付きならば尾部が短くてすっきりと仕上り、主翼の乱流の影響がないので、主翼の利きは仰角が極端に大きくなるまで優れている。」 しかし、10と続きます。また、フランスは、ミラージュIIIとミラージュ2000の間に、通常の尾翼形式のミラージュF1も作ったりしてます。
ロシアも尾翼方式ですもんね。>ロシアのSu−27KやSu−37等はスリー・サーフェイス(三翼形態)、F−22の対抗機種、S−37もスリー・サーフェイスで主翼が前進翼。MiG1.44はカナード+デルタ翼です。
ザイドリッツ
- 12、追補。F−22は、主翼と尾翼が同じ水平面上にあっても、主翼の乱流の影響が無いように設計されています。しかも、主翼の一部を切り欠いて、尾翼を配置してます。
ザイドリッツ
- >10,12
その論は、クローズドカップルドデルタやコ・デルタ機における前翼の、尾翼としての役割を過大に見てないでしょうか?
これらの期待の前翼の主目的は大仰角での性能向上を主目的と捕らえるべきではないでしょうか?
結局は尾翼付き(クリップド)デルタと尾翼なしデルタの違いと言うことではないですか?
(N)
- >12
F/A-18やF-5はデルタ翼じゃないでしょう。
ありゃ、分類は直線翼じゃなかったですか?
Sparrow
- MiG−29 離陸距離 240m(!)>F−15の離陸滑走距離が275mですから、とりわけビックリするような値じゃないですよ。
14>本があり過ぎるので、今、見かける本からで失礼ですが、ちょっと古いですけど、ホビージャパン 現代の航空戦[戦闘機編]によると「ユーロファイター2000もラファールも、極めて高い運動性の獲得を主目的にしており・・・」「ラファールのカナードは主翼を覆う渦流を発生させるという役割を果たすが、可動式カナードが発生する揚力を直接利用して、機首の動きを素早く変更できる様にもしている。」 グランプリ出版の戦闘機メカニズム図鑑によると「ラファール、グリペン、ユーロファイター2000、X−31Aのデルタ翼は高速に有利だが、カナードはこれに操縦性、機動性を高める手段である。」とあります。10で引用した本は、大仰角での性能向上の点でも、運動性の点でも尾翼形式の方がいいと書いていると思うんです。
15>産業図書の航空力学の基礎や、酣燈社の航空用語辞典を読んで、直線翼やデルタ翼の解説を理解していたつもりだったのですが・・・。今、自分なりにネットで調べてみましたが、検索が引っかかり過ぎて、知りたい情報が乗っているサイトを探すのが大変で・・・。もしよろしければ、デルタ翼と直線翼の厳密な定義を教えてくれませんか?
ザイドリッツ
- >16
F-15の離陸滑走距離は軽荷じゃないですか?
>直線翼と後退翼
直線翼と後退翼を分ける厳密な定義は存在しないようですが「翼を輪切りにしていって、それぞれの中心(空力?重量?)を線で結んだその線の機軸に対する角度(ある程度の角度はOK)で決まる」らしいです。(デルタ翼は後退翼のバリエーション)
本とか見ると「前縁、後縁が機体の軸に対して直角」とか書いてありますが、厳密に言うとそんな機体無いんじゃないかな?
それに、いままで私はF/A-18、F-5を「デルタ翼」で紹介している本は一度もお目にかかったことはありません。
ザイドリッツ様がどういう分類で、F/A-18、F-5を「デルタ翼」にしたのか、お聞かせいただければ幸いです。
Sparrow
- F−15の離陸滑走距離は軽荷じゃないですか?> 軽荷かどうかは分かりませんが、ホビージャパン 現代の航空戦[戦闘機編]によると、「離陸の距離は滑走距離を示してあり、実際に作戦を展開するにはこれより長い滑走路を必要とする。」とありますが、MiG−29の離陸滑走距離が同じ240mだったので、F−15の離陸滑走距離を275mと書きました。
「前縁、後縁が機体の軸に対して直角」> これが矩形翼でしょう。 セスナとかで無いですかね?
厳密に言うとそんな機体無い>こっちがテーパー翼でしょう。 テーパー翼=直線翼じゃないのかなあ・・・。
どういう分類で、F/A−18、F−5を「デルタ翼」にしたのか>産業図書の航空力学の基礎(F/A−18まで載っています)の、直線翼の項に、「F−104の後に直線翼の超音速戦闘機が出現しない・・・」とあり、直線翼でないと判断し、酣燈社の航空用語辞典の、デルタ翼の項に、「左右の翼端を直線で結んで翼の平面形を三角形にすること。」とあるので三角翼と判断しました。
ザイドリッツ
- 18< ああっ、「産業図書の航空力学の基礎」と「酣燈社の航空用語辞典」が逆だ。
ザイドリッツ
- >18
なんとなく疑問を感じますが。
>F-104の後に・・・
戦闘攻撃機だから除外した?
そいつはよくわかりませんが
>左右の翼端を直線で結んで・・・
後縁が「直線じゃない」というのは置いといて、正しいようにみえるけどそれで分類すると、F-104もデルタ翼になりませんか?
私では、これ以上詳しくはわかりませんので、他の詳しい方の解説を待ちたいと思います。
(私が間違ってんのかな、F/A-18はデルタ翼?直線翼だと思うんだけどなぁ)
Sparrow
- 戦闘攻撃機だから除外した?>F−5が戦闘機ですよ。
F−104もデルタ翼になりませんか?>う〜ん、どうなんでしょう?
私も専門家の人を待ちます。
ザイドリッツ
- 17> 本屋に行ったついでにちょっと調べました。直線翼とは後退角がほぼ0度の翼だそうです。
ザイドリッツ