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素人質問です。 航空機(戦闘機)の主翼前縁につける『フラップ』と『スラット』ってなにが違うんですか? (下に折れ曲がるのが『フラップ』、スライドするのが『スラット』なんでしょうか?) 機能上の違いや、なんで装備し分けるのか教えてください。 Sparrow |
フラップもスラットも共に高揚力装置で、前者は主翼の前縁又は後縁を下方に曲げてカンバーを大きくすることで揚力を増すもの、後者は主翼前縁に隙間をつくって主翼上面の気流の安定させ失速防止を図るものです。ちなみにスラットは固定式とスライド式があります。(もっとも今はスライド式が圧倒的)
このような説明ですが不足分はどなたか補足を。
JK
全部下ろすと今度は抵抗も大きくなってきます。そこで離陸時と着陸時で角度を変えて運用しています。
離陸時>揚力は欲しいし速度はもっと欲しい>フラップを半分くらい下ろす
着陸時>揚力は欲しいが速度は出来るだけ落としたい>フラップを全部下ろす
ってな事をしてるみたいですね。
ちなみに前縁フラップはB747に装備されていますが前縁下面の平らな部分がうまい具合に曲面になる様子は
いつ見ても見事な動きです。
jas1
高揚力装置の内、翼前縁に隙間を作る物が「スラット」、翼後縁に付いるものや、前縁に付いていても折れ曲がる形式の物はフラップと呼ばれるようです。
(クルーガー・フラップには隙間を作る物もありますが)
(N)
(N)
また、スラットの中には「翼下面より下にヒンジのある前縁フラップ」とでも形容すべき形態のものもあります。これは前縁を下げつつ隙間(スロット)を作るので、高揚力装置としての効果が非常に高いものです(ハンドレペイジHP.42の装備例が有名)。
スラットは低速・大迎角での効果が大きい反面、固定式では空気の通り抜けによる抵抗(可動式でも完全閉鎖ができてなければ同じ)、可動式ではヒンジやレールが突出することによる抵抗が大きいため、高速機向きではありません。
最後に極端なスラット(固定式)の例をば…
http://aviation.pol.pl/jpg/80/80152.jpg
Schump
大変勉強になりました。ありがとうございます。
ついでで申し訳ないんですが。
最近の航空機のフラップとスラットの装備は主翼の後退角で決まるのでしょうか?
後退角45度以上のラファール、EF2000、グリペン、F-14などがスラットで、それ以下のF-16、F/A-18、F-22がフラップになっているように思うのですが、どうなのでしょう?
Sparrow
これって16がフライバイワイヤ機で静安定が低い事と何か関係あるのでしょうか?
ハンプデン
後退角によるというより、デルタ翼機や艦載機ならではの問題によるのではないかと思います。
通常低速飛行時にはフラップを下げるとともに機首上げ姿勢で揚力を稼ぎますが、デルタ翼の場合主翼後縁が即ち通常機の水平尾翼位置にあたる為、ここにフラップを持ってくると機首下げモーメントが発生してしまいます。
逆に言えば機首上げ姿勢を維持する為には後縁の舵面(エレボン)を上げる必要がある訳ですが、これは当然フラップ下げと逆の状態であってその分揚力を減衰させるという悪循環になり、結果充分な揚力を得るためには相当の機首上げが必要になります。
この為単純デルタ翼の場合かなりの高迎角飛行を行う事になり、翼上面気流剥離防止に関してより積極的効果のあるスラットが好まれるのではないかと。また先述の通り後縁には高揚力装置を付け難いが故に、前縁により揚力発生効率の良いものを装備するという理由もあると思われます。カナード装備機でもスラットを採用している積極的理由は後者の方ではないでしょうか。
F-14の場合は艦載機であり、陸上機と比べてよりシビアな低速安定性が求められる為かと思います。
ハンプデン
ザイドリッツ
オンブー
ありがとうございました。
Sparrow