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@補助ロケットを装備したロケットとそうでないロケットがあるのは何故? A単純に補助ロケットの数を増やせば容易に打ち上げ重量を増やせるのでは? B衛星が大気圏再突入する際、パラシュートを使えば高熱にさらされないで済むのでは。そうすれば耐熱タイルも不要になるはず…。 以上、ご存知の方いましたら回答宜しくお願いします。 Gorbachyov |
丸囲みの数字文字は機種依存文字だから使用しない方が宜しいかと思います。
>1.補助ロケットの有無について
要は一段目の推力が必要なだけあるか無いかの違いです。
一段目に装備するロケットエンジンの能力が足りず、推力増強でも追いつか
ない場合に装備する訳です。
装備していない場合は、一段目の能力が必要十分を満たしている事になります。
>2.補助ロケットを増やせば打ち上げ重量を増やせるのでは
えー、それは単純にそうとは言い切れませんが、実際行なわれている事です。
H−2の能力増強案にも個体ロケットブースターの増強は検討されていました
し、日産は実際それを可能にするようなブースターの切り離し方法を開発してま
す、それにH−2Aの能力増強型は液水液酸ブースターを必要に応じて増やす予
定です。
>3
うーん、大気圏突入時の速度は秒速7キロ以上です、大気圏上層部との摩擦熱
がなくなる訳じゃないですし(^^;
パラシュートが使える速度まで減速して突入できるかってーと(^^;;
だから何らかの耐熱装備は必要では無いでしょうか。
ooi
2>この様な計画は実際にあります。H2Aの計画では静止トランスファー軌道への投入能力が、H2A202(通常型)では4トンなのに対しH2A222(最強型)では9.5トンになります。
しかし、これにも問題があります。補助ロケットが多いということは、故障の元も多いということにもなります。また、補助ロケットでよく使われる固体燃料ロケットでは、宇宙開発事業団の調べによると最強型並の出力を得ようとすると、整備作業の増大やコスト高を招くそうです。
そのためか、H2Aでは補助ロケットを追加するといっても、最強型のように大規模な能力強化には小型の固体燃料ロケットを追加するのではなく、LRB(液体燃料ロケット)を2基追加(LE-7Aは4基追加)しています。
しかしながら、液体燃料ロケットを使っても多少の追加なら効果を上げるが、あまり過剰な追加になってしまうと整備作業の増大と製造コストの増大と成功率の低下につながると思います。
なんだか、少し余談気味になってしまいました。スイマセン。
シャムネコ2
http://www.bekkoame.ne.jp/~smatsu/ariane/arian5.html
の場合、巨大な補助ロケットで初期の推力を稼いでいますね。
メインエンジンは推力よりも燃焼時間のほうを優先しています。
日本のM−V
http://www.isas.ac.jp/docs/ISASnews/No.194/ISASnews194.html
は姿勢制御用以外の補助ロケットはありません。
旧ソ連ではロケットの推力を上げるため、複数のエンジンをクラスター化して
ました。そのため、下のほうが広がったスカートみたいな形になってました。
(今はどうなんでしょうか?)
アオキ
固体ロケットは液体ロケットに比べ比較的簡単(低コスト)に大推力が出せます。
その為 離昇時の補助に良く使われます。
ただあまり大規模にすると、低比推力の為 システム全体の重量増を招き、打上げ効率(コストパーフォーマンス)が低下します。
それでもタイタン3Cに始まり、スペースシャトル、ミュー3C、アリアン5と、大規模な固体燃料ブースターを持つ物が多いです。
打上げシステムの基本型は、要求に対しもっとも効率的に成る様に設計します。
が 少々基本要求を外れた(超えた)要求にも応えないとなかなか商売にはなりません。
(一般的に要求そのものも、当初想定された物よりも年々増大する傾向にあります。)
そこで 比較的簡単な固体ブースターの追加による打上げ能力の増大が計られる事が多いのです。(アメリカのデルタ系列なんかが著しい)
>3.
空力加熱は大気の断熱圧縮によって起こるので、大気圏外で完全に減速して突入しない限り、防ぐ事は困難です。
パラシュートでその様な減速を行なう事は出来ません。(大気圏外ですからね)
ただ現在の大気圏突入よりもはるかに低動圧環境で大気を使った減速を行ない、
空力加熱の影響を低減する、「バリュート」の様な解は有り得ます。
グリーネマイヤ智久
木星大気上層でバリュートで減速していましたね。
便利少尉
先にも書きましたがH−2初期案についてのお話。
H−2の初期案については、各メーカーからも売り込みがなされていますが
その中の日産案と言うのが固体ブースター(SRBね)を増設可能な設計にす
る事により打ち上げ能力の向上を図ると言う案でした。
この場合、単純に増設するだけではなく、切り離しの方法にも工夫を凝らし
切り離したブースターが互いに衝突しないようにされていました。
この案は採用されるのですが、後にH−2A(増強型)では液酸液水ブース
ターを装備することになり、固体ロケットブースターは従来通り2本のみの使
用となりました。
また、三菱案と言うものも存在します、これは全段液酸液水ロケットで、二
段目のエンジンを一段目に5基クラスター装備し、全段の直径を5mに統一す
る(ちょうどシャトルのカーゴスペースの直径に相当する)と言う、合理的な
案ではありましたが、エンジン関係で2つの新規開発技術(液酸液水ロケット
と、それをクラスター化して使用する技術)が同時に動く事になる等、NAS
DAの基本方針と相容れない所があり、採用されませんでした。
詳しい事は「H−IIロケット上昇」(日経BP社刊)と言う本に載ってい
ます、この本は絶版(版元在庫切、再販見込無)ですが、比較的大きい図書館
には入っている様です。
ooi
Gorbachyov
大気圏外から大気圏内に突入する場合、角度が浅すぎる(十分に減速しない場合)と大気に跳ね返されてしまいますし、角度が深すぎる(十分以上に減速した場合)と大気との摩擦が大きすぎて燃え尽きてしまいます。
再突入可能な角度と速度は結構タイトな設定の様ですね。
パラシュートが効いて来るような高度に達する前に燃え尽きてしまうんじゃ、どうしようもないですよね。
ooi