QQCCMMVVGGTT
1928 ヨーロッパの新型機はのきなみデルタ翼+カナードですが、これには何か理由があるのですか?。この形態はそれほど優れているのでしょうか?
ABCD

  1. エアバスA400Mも同380もDo728/928もアエロAe270も通常形式ですが?
    Schump

  2. >1
     というボケはさておき、質問の対象はEF2000タイフーンとラファールとJAS39グリペン(とMIG1.42?)のことだと思われますので、その範囲で。
     デルタ翼には、失速しにくい、強度の割に軽く作れる、翼面荷重を小さくしやすい等の利点がありますが、無尾翼デルタ(F1を除くミラージュシリーズのような)場合、

    1)離着陸時等に通常翼よりも大きな迎え角を取らないと揚力が稼げない
    2)機首上げに翼後縁の舵面を使ってしまうのでフラップが使えない
    3)重心移動に対するトリム調整の幅が少ない

    という欠点があります。そこでカナードをつけることにより、

    1)カナード翼端から出る渦流が主翼上面に張りついて気流を整える(あるいは
     過流が主翼を吸い付ける)ことによる揚力の増大/失速防止
    2)機首上げはカナードに任せて主翼後縁をフラップに使う
    3)前後に翼面が分散しているためにこのバランスでトリムをとる

    という効果を得て欠点を補ってやるわけです。
     なお、近年の戦闘機のカナード(ビゲン以降)のものは、伝統的な「カナード(先尾翼)」とは違い、主翼であるデルタに近接して取りつけられるデルタ型のカナード=クロース・カップルド・デルタといい、上記の1)の効果を特に狙っている点が画期的とされるゆえんです。この効果はドラケンやらSu-27やらF-18やらの主翼内縁前方の張出し部分(ストレーキあるいはLEX:Leading Edge eXtension)でも得られるものです。

     クロース・カップルド・デルタの意外な欠点としては、機首の線図が複雑な分、特に前方からのレーダー波を反射しやすく、ステルス性能を高めにくいというのがあります。
    Schump

  3. 解答ありがとうございます。ついてはデルタ翼についてもう一つ質問です。
    ある本ではデルタ翼がこてんぱんに叩かれており、いわく、最大揚力係数の極貧・揚力特性は極悪・揚抗比は最悪であり、これほど劣悪な特性の主翼形式は他にはなく、こんな形式を新世代機に採用したヨーロッパが信じられねー、といった内容なのですが、どんなもんなのでしょうか?

    ABCD

  4. >3
     まさにそこが問題で、迎角の割に揚力が増えないために、余計な迎角をとらないと必要な揚力が得られないのです。おかげで着陸時の視界が悪くなるのもデルタ翼の欠点です。
     ただし、迎角を増して抵抗が増えても、なかなか失速しないで、揚抗比が下がりまくっているのに失速はしていないという状態が生じます(急旋回能力はあっても旋回後の速度低下が大きい、等のデメリットになる)。よってカナードの過流を使って揚力係数を引き上げてやる工夫をすることが考えられたのです。
    Schump


Back