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第一次世界大戦の頃の飛行機のエンジンで、回転空冷式(?)という形式が あったと思うのですが、誰かこのエンジンの動作を(混合気の供給オイルの循環等)教えてください。 tim |
空気はパイプ状のクランクシャフトを通して供給されますが、このパイプが防火壁を貫通してからT字に分岐して左右に吸気口があるタイプと、プロペラ軸を貫通して機首先端に開いているタイプがあります(前者が多い)。この軸内に燃料が噴霧されて混合気を作ります。
潤滑油は普通の空冷星型エンジンのようにクランクシャフト内の経路を通って供給されることもありますが、WW1当時は混合気内に噴霧されたり、最初から燃料に混ぜてあったりするのが普通でした。
混合気を燃焼室に取り込む方式としては、主に
・ピストン面に吸気弁があり、ピストンが下死点付近にくると開く(グノム式)
・クランクケースからシリンダライナ下方に混合気の通路が切ってあり、ピストン
が下がってくるとクランクケースと燃焼室がつながる
・クランクケースからシリンダ上端まで吸気管がつながっており、ふつうの吸気弁
を用いる
という方式があります。
ディストリビュータは、クランクシャフトが固定子、エンジン本体が回転子になることで構成されます。
排気弁は普通にシリンダ頭部にあり、焼けた潤滑油もろとも遠心力で排気をぶちまけます。
Schump
蛇足。第一次大戦当時の複葉機に見られるカウリングは、空力的な意味はほとんど無く回転エンジンから飛び散るオイルを受けるのが目的だったりします。
ささき
なわけで、オイルが飛び散ってしまってもかまわない下半分は切欠かれているタイプのカウリングも多いわけですね。
まなかじ
フランスのグノーム(ノーム)・モノスパブがこのタイプ。
>・クランクケースからシリンダライナ下方に混合気の通路が切ってあり、ピストン
が下がってくるとクランクケースと燃焼室がつながる
フランスのクレルジェ、イギリスのベントリー(ベントレー)がこれ。
>・クランクケースからシリンダ上端まで吸気管がつながっており、ふつうの吸気弁を用いる
フランスのル・ローヌ、およびそれのコピーのドイツ製オーバーウルゼルがこのタイプ。
で、ジーメンス・ハルスケはどのタイプだったのでしょうか??
まなかじ
手許にあるジーメンス・シュッケルトD.3の写真を見ると、ジーメンス・ハルスケSh.3は、シリンダ後面側のクランクケースからシリンダ頭部に吸気管が引かれており、各シリンダ前面に位相のずれたバルブロッドが確認できますので、「ふつうの吸気弁を用いる」タイプでしょう。
Schump