1773 |
ハリアーのペガサスエンジンって、前方のノズルからは圧縮空気が吹き出しているのでしたっけ?それとも燃焼ガスが? satoski |
正確にはターボファンエンジンのファン気流が前方ノズルから、コア部分の燃焼ガスが後方ノズルから噴射されています。
ペガサスは戦闘機用としては例外的な高バイパス比(すまん。数字忘れた。調べとく)のターボファンで、コア推力に対して大きなファン推力(重心位置から考えたらファン推力の方が大きいはず)を発生させて、VTOL/STOVLに必要な「大推力の低速噴射」を得ています。そのかわりに速度性能は捨てているのですが。
さて、実はペガサスの前方ノズルから「燃焼ガス」を出すという研究が行われたことがありまして、各ノズルにアフターバーナーを取りつけて高速の噴射ガスを得て超音速VTOL機用エンジン化する「プリナム・チャンバー」という装置が試作されています。
さて。ペガサスは高圧系と低圧系のシャフトが反転する2軸ターボファンなのですが、この構造には理由が2つあります…考えてみましょう。
Schump
kazz
ガンヘッド
他の戦闘機用ターボファンは0.25(スネクマM88)〜0.87(GE F110)程度。例外的に藩陽WS-6やRB199、R-79Vが1.00という値をとっていますが、これは低空性能重視(西安JH-7及びトーネード)とかVTOL(Yak-141)という低速流を必要とするエンジンであるせいです。
で、ペガサスが2軸式な理由その2は「ファンをなるべく低速で回して低速噴射が必要な垂直離着陸時の効率を上げつつ、コア部の回転数を上げて圧縮比をかせぐため」であります。
Schump
satoski
便乗すみません。JSFのX-32・STOVL型もペガサスエンジンと同様のシステムになっているのですか?
ガンヘッド
X-32の垂直ノズルは重心付近に左右2基で、ここから噴出されるのはファン気流とコア噴射の両方が混ざったあとのものです(垂直推力だけ使用するときは機尾のメインノズルは閉じる)。よって機体の支持は、ハリアーが「テーブルの足」であるのに対して「竹馬」になります。X-35の「リモートファン方式」に比べると、
・CTOL型とSTOVL型の共通性が高い
(X-32は兵器倉が若干狭いのと下面開口部の追加くらい:X-35はメイン燃料タ
ンクの容積激減とファン収納バルジ・上下面開口部の追加に及ぶ)
・メカニズム的なリスクが小さい
(X-35には「容量5〜10万馬力のクラッチとギアボックス」が必要とのこと)
・最大離着陸重量の増加の余地が小さい
(高速ガスを噴射するので、エンジン出力を上げれば上げるほど効率が低下。
X-35ならギア比変更でファン気流の速度を最適化して出力向上分を効率よく
垂直推力に変換できる)
・垂直飛行中のピッチ安定制御が難しい
(「竹馬」なのでピッチノズル必須。X-35の方式ならば、ファンのブレード角や
前後噴射口の調整だけで前後のバランスを変えられる)
といった得失があります。
Schump
どうも個人的に好きなハリアーの血を引くX-32が気になるもので(笑)。
X-32リフトノズルは混合ジェットなんですか。前からF-119エンジンの推力が大きいからと言って2本のファンジェットだけで足りるんかいなと思ってました。
ガンヘッド
>http://www.af.mil/photos/images/0443a.jpg
ガンヘッド