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あと、もう1つ。 映画「紅の豚」に登場するサボイヤS−21ですが、改装後のエンジン「フォルゴーレ」っていうのは、イタリアのマッキの戦闘機「フォルゴーレ」(MC??←番号わすれました・・)に載せられているエンジンとは違うんですか? 斎藤はじめ |
http://www.warbirds.nu/data/ita/htm/mc202.html
S−21の「フォルゴーレ」:エンジン名
マッキの「フォルゴーレ」:機種名
masa
映画に出てきたフィアット「フォルゴーレ」エンジンですが、これはどうやら架空のエンジンです。
シリンダカバーに「GHIBLI」の文字が鋳込んでありますよね?
これだけでも十分かと思いますが、いちおう検討してみましょうか。
ピッコロ親父の台詞によれば「1927年のシュナイダー・カップ」のレースで、この「フォルゴーレ」を装備したイタリアのレーサーは、アメリカはカーチス製のレーサーに敗れたそうです。
そもそも、シュナイダー杯は「トロフィー」で「カップ」ではない(おそらく故意の間違い)のですが、1927年のシュナイダー杯レースにはアメリカは参加していません。
27年のイタリア艇はマッキM.52で、フィアットAS.2 800馬力またはAS.3 1000馬力を装備していましたが、どれもエンジントラブルで途中脱落、イギリスのスーパーマリンS.5(スピットファイアのレジナルド・ミッチェルの設計)に敗れました。
このへん「メカニックがヘボだったからだ」という台詞にも合いますが、競った相手は英国艇です。
カーチス氏のカーチスR3C-2が参加して優勝したのは1925年のレースで、このときアメリカ艇を操縦していたのは、第二次大戦中に空母ホーネットからB-25爆撃機を飛ばして日本本土初空襲をやったときの隊長ジェイムズ・ドーリットルでした。
25年のイタリア艇はマッキM.33、エンジンはなんとアメリカ製カーチスD12A 500馬力、ポルコの飛行艇に似ていて、特にエンジンまわりはカーチスに撃墜される前のバージョンとそっくりです。
また、翌26年のレースで早くもイタリアは国産エンジン(その、フィアットAS.2)を積んだマッキM.39でカーチスR3C-2を破って優勝し、雪辱を果たしています。
ちなみに、このときのイタリアのパイロットにアルツーロ・フェラーリンの名がみえます。
えーと、つまり、
1.カーチスに負けたときは「カーチスのエンジン」を積んでいた
2.フィアットAS.2はカーチスを破った
3.フィアットAS.2が敗れたのはイギリス機である
4.1927年のレースにアメリカは参加していない
5.シュナイダー杯は「カップ」でなく「トロフィー」である
以上の点から、フィアット「フォルゴーレ」に該当するエンジンはありません、というのが結論です。
まなかじ