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1692 WWII期の戦闘機の場合、過給器の変速(よく2段2速とか見ますが)ってのは操縦手はどのように行うのでしょう?疾風のマニュアル和訳を見た感じでは高度ごとに設定ってあったような気がするんですが、手動で設定するってことでしょうか?手動だとしたら空戦中、めまぐるしく変わる高度ごとにシフトチェンジしなきゃいけないんですかね。酸素少ない脳みそでそんなんできるのかとても疑問です。
たつを

  1. ダイムラーベンツ DB601/603/605 は無段階の流体変速器(トルクコンバータ)が高度に連動して、常に最適な圧縮比となるように動きます。
    Fw190 の場合はコマンド・ゲラーテと呼ばれる集中型コントローラがあり、過給比・混合比・プロペラピッチなどを自動で設定します。
    P-51 は気圧スイッチと連動した自動モードと、高・低の固定ポジションを三択できるようになっていました。
    参考:http://barella.en2.ehime-u.ac.jp/~kumac/P51/
    日本機でこのような自動切り替え機構を持った機体があったかどかは寡聞にして知りません。

    >酸素少ない脳みそでそんなんできるのかとても疑問です。
    実際スーパーチャージャーの切り替えを忘れてエンジンを焼き付かせたりの事故は少なくなかったようです。だからこそ上記に挙げたような自動制御装置が開発されたのでしょう。
    ささき

  2. 日本機の場合は手動で切替えますが、実戦投入されたものは最大で1段2速ですから、要するにある高度で1回切替えるだけです。切替え時にエンジン回転数を一旦落とす操作なども必要でしたが、それほど手間なことではないと思われます。
    また、戦闘中の話ですが、それはそれこそその時の余裕によるのではないでしょうか?また、自動車なんかでは、それが最適のギアじゃなくても、シフトチェンジするタイムラグを考えたらそのままのギアで走った方が速かったりしますから、そのへんもケースバイケースでしょう。
    カーレーサーなんかを見ていればわかると思いますが、どんなに難しそうに見えることでも、慣れれば何でもなくなるものですよ。パイロットだってその道の「プロ」なんですから。このレベルまでくれば脳味噌で考えなくても体が勝手に動くもんですって。
    胃袋3分の1

  3. (参考)
     手許にF4Fの取説(復刻版)がありまして、それによると、高度14000ft(約4270m)を目安に変速することが推奨されており、手順は以下のとおりになっています。なお、5分以内の再変速は禁止されています(混合気調整装置が追い付かないためか?)。
    (1速→2速)
     ・スロットル開度を50〜60%にする
     ・混合気レバーを「AUTO RICH(自動・濃い目)」にセット
     ・予備燃料ポンプ作動
     ・プロペラピッチを調整して回転数を1600〜1700回転にする
     ・過給器変速レバーを素早く切り換える
     ・プロペラピッチを希望の回転数に合わせる
     ・スロットルを希望の出力に合わせる
     ・予備燃料ポンプ切・混合気レバーを任意の位置に

    (2速→1速)
     ・スロットル開度を50〜60%にする
     ・プロペラピッチを調整して回転数を1500回転付近にする
     ・過給器変速レバーを素早く切り換える
     ・プロペラピッチを希望の回転数に合わせる
     ・スロットルを希望の出力に合わせる

    Schump

  4. ありがとうございました。ご教示の手動での変速の手順見た感じ、とても細かい条件がありますよね。今も昔もパイロットって優秀な人がなるんだなと実感。
    たつを

  5. 1964 年アメリカ大陸横断エアレース「ハロルド・クラブ」に出場したチャールズ・レイフォードの駆る P-51 改造レーサー BARDAHL Special(N2869D) は、オーバーブースト使用しながら高々度への上昇途中にスーパーチャージャーが切り替わるとギヤを痛める可能性があったため、あえてスーパーチャージャー切り替えをマニュアルモードで飛んでいました。しかし巡航高度からの降下時に「自動」へ切り替えるのを忘れてしまい二速のまま低空に降りたので液温過昇でアフタークーラーの配管が溶け吸気口を塞ぐ状態となり、息も絶え絶えの状態で危うくゴールのリノに滑り込むインシデントを起こしています。彼の機体は15分差で二着でした。
    ささき

  6. 零戦(もちろん栄二一型系列搭載機)については、高度4500m以上で二速に切り換える、ブースト200mmに絞る、とありました。



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