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大戦中ドイツの航空機に搭載されていたレーダーは何年くらいから開発がはじまり何年くらいに実用化されたのでしょうか? なー |
ご存じのようにドイツでは戦前に、艦船搭載用と地上用のレーダーは実用化されていましたが、航空機用は次のような理由で実用化が遅れていたようです。
まず、小型化をしなければならなかったことでしょう。使用波長が艦船用や地上用ではメートル波長でもいいのですが、航空機用となるとできればデシメートル波やセンチメートル波を使ってアンテナを小さくし、さらには装置全体も小型軽量化しつつも出力を大きくしなければならないためです。
つぎに、イギリスやドイツにおける研究では、ゲーリングをはじめとする空軍の上層部の不理解があったようです。かれらは第一次世界大戦の当時の考え方でとらえており、敵に知られないように電波でさぐるのは戦士としてふさわしくないとか、電波を出して敵をさぐるのは暗闇でランプをともしているようなもので、敵に見つかってしまう、というような考え方があったようです。
また、最初の件と関連しますが、3つ目には空軍自体が、アンテナが外部に露出するのは速度低下につながるため現段階でのレーダー搭載は認めない、という事情がありました。
これらの理由で航空機搭載用レーダーの実用化は少し遅れ、すでに開発されていた電波高度計「リヒテンシュタイン」(これが後にレーダーの名前になる)を利用して、まず「リヒテンシュタインA」を開発したのが1940年初期でした。
しかし、ドイツ空軍が先ほどの理由から実際に搭載を認めたのは1941年2月とされており、このため対艦用レーダー「アトラス」の研究用モデルの搭載が1941年7月、同じく対艦用レーダー「ネプツン」の搭載が1941年終わり頃、また対航空機用の実用レーダー「FuG202リヒテンシュタインBC」の搭載が1941年8月が最初だったようです。
国江