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1572 旧日本軍において、ジャイロ駆動の航空機用射撃照準器が実用段階にあったと言う話を聞いたのですが、どのような物だったのでしょうか?タイプはいくつかあったのですか?
よろしくお願いいたします。
チャッピー

  1.  私の知る限り、日本で実用化されていたのは射撃用のジャイロサイトではなく、
    射爆照準器であり、爆撃時にそのジャイロによるデータを使用するものです。射撃
    用と爆撃用ではジャイロの向きが異なり、日本のものはその原理図から明らかに爆
    撃用です。
     まず一つは二式一号射爆照準器があり、これは眼鏡式でありながら眼鏡内のプリ
    ズムをジャイロ内蔵の官制器とカムを内蔵した計算機によってコントロールするも
    のです。
     さらに二式一号の官制機を利用し、照準器を眼鏡式から光像式(反射式)にして、
    計算機を照準器本体と一体化した三式一号射爆照準器、これを量産性向上のため改
    良した三式一号射爆照準器一型、それをさらに改良した三式一号射爆照準器一型改
    一、があります。
     なお日本では、ジャイロの駆動は真空ポンプによる負圧による駆動でしたので、
    ドイツやイギリス(アメリカのものはイギリスのライセンス生産)のものより、ずっ
    と大がかりで、システム全体が重くかさばるものでした。
     詳しくはスケールアビエーション2000年3月号(Vol.12)の木村氏による陸海軍
    拾遺集を読むことをおすすめします。
    国江

  2. 国江さん、丁寧なご回答本当にありがとうございます。
    早速、スケールアビエーションを見てみます。
    チャッピー

  3. 陸軍はジャイロ式の照準器を実用化し、飛燕に搭載してB29邀撃に使用しているようです。日本のジャイロ式照準器は爆撃用のみではないようですよ。二四四戦隊の飛燕の数機が操縦席左舷前方に装備したベンチユリー管がその駆動用ではないかと言われています。
    BUN

  4. 書き忘れましたが、この情報はwarbirdsのリンクページから行ける「二四四戦隊ホームページ」にその考察が書かれています。実に真摯な姿勢で本格的に検証を試みた良質のサイトですので、ぜひ一読をお奨め致します。ここで広告されている戦隊史(5000円)も読むに足る内容の立派な著書です。
    BUN

  5. このあいだちょうど図書館で借りてきた本、「陸軍実験戦闘機隊」(渡辺洋二著 グリーンアロー出版社)によると、日本でもジャイロ式照準器は昭和19年秋に「自動照準眼鏡メ一〇一」の名称で試作され、一式戦に装備されて審査部でテストが行われたそうです。吹き流しを射撃した結果では、普通なら大半がはずれるところ、射撃の下手なパイロットが撃って60%、うまいパイロットで80〜90%の命中率が得られたそうです。ただ、戦局の悪化に伴って、生産計画は放棄されてしまったらしいです。(あと、「陸軍飛行第244戦隊史」も借りてきました。大阪市立図書館はミリタリー関係の蔵書が結構豊富です。二四四戦隊ってそんなに精鋭ではなかったとか、クローバーのマークの付いた三式戦、あれは戦後進駐軍の米兵のいたずら書きだとか、いろいろわかりました。)
    NX

  6. >クローバーのマークの付いた三式戦
    アイルランドのシンボルである三つ葉クローバーが何故244戦隊の飛燕に描かれているのか不思議で仕方なかったので、以前一度ここで質問したのですがその時は回答を得られませんでした。進駐軍の落書きだったとはっ!(・◇・)/
    ささき

  7. ささきさんすみません。5000円払って得た情報だったんで「惜しくて惜しくて」今日まで黙っておりました。
    コテカ

  8. 3,4に関して
     244戦隊のジャイロ式射撃照準器らしいものの話は知っておりましたが、質問が
    実用段階ということでしたので、ここでは除外しておきました。
     海軍のものはで原理図、実物が現存し、生産数、搭載機等もわかっており、実用
    だったことは明らかです。
     これに対して、陸軍のものは実物、写真等で確認できていないようなので試作だ
    ったのではないかと判断して、実用段階には含めませんでした。これが実際どうい
    ったものだったのかは興味のあるところですが、日本機の研究者に是非とも事実を
    明らかにし、照準器そのものの実体を解明していただきたいものです。
     ところで、ベチュリー管によるジャイロの駆動についてですが、旋回計の駆動に
    は実際に戦前から使われていますが、射撃、爆撃用のジャイロの駆動にベチュリー
    管を使用している例はしりません。ドイツ、イギリス(アメリカ)は電動で、また
    日本海軍は真空ポンプで駆動して、一定の安定した回転をさせています。
     これにたいしてベンチュリー管による駆動では、速度の変化に応じてジャイロ
    の回転数も異なり、安定した一定の回転が得られないのではないでしょうか。それ
    ゆえ、原理としては負圧による駆動という同じものを用いながら、海軍では真空ポ
    ンプによってその負圧を得ることにしているのでは、と思いますが。
     また、ベンチュリー管が見られる機体は、244戦隊以外にもないのでしょうか。
    もし、それ以外の三式戦にも確認できれば、それは旋回計のジャイロ駆動のための
    ものと区別できなくなります。手元に日本機の資料は、ほとんどありませんので、
    日本機の研究者の方にこれらも考察していただきたいものです。
     
    国江

  9. この質問、実は「244戦隊ホームページ」を見て思い付いたんです。はっきりメ101って何ですか?と聞けば良かったですね(国枝さんごめんなさい)。公刊戦史の中にこの名称が出てくるとのことでしたが、公刊戦史とはいかなるものなのでしょう?
    私も「陸軍飛行代244戦隊史」を著者の櫻井 隆さんに問い合わせて購入しました。とても素晴らしい内容の本です。残念なことに版が廃棄されており増刷が不能なため積極的に宣伝できない状況だとのことでした。この中には主翼前縁の味方識別帯を赤く塗った小林戦隊長の飛燕も出て来るんですよ。
    チャッピー

  10. 訂正「陸軍飛行代244戦隊史」>>「陸軍飛行第244戦隊史」すんません。
    チャッピー

  11. 何度もスイマセン。
    3式戦の計器用のベンチュリ管は発動機補機の後方にもともと装備されており、何かの理由で旋回計や定針儀を追加するにせよ後付けの必要はないようです。(「陸軍飛行第244戦隊ホームページ」より)
    チャッピー


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