実在した例としては、ゲイリー・フランシス・パワーズ元米空軍大尉の操縦するロッキードＵ-２偵察機が、１９６０年の５月１日にソ連上空で撃墜されて、パイロットが囚われています。
パワーズはＣＩＡに誘われて空軍を退職、ロッキード社をトンネル会社として、ＣＩＡに雇われていました。なお空軍もこの経緯を承知していて、パワーズがＣＩＡとの契約を終えて空軍に復帰するときには、ＣＩＡでの活動の期間も現役にあったと同様に換算するとの約束も取り付けてあったそうです。
　パワーズはソ連当局に対してスパイ行為を認め、モスクワでスパイとして裁判にかけられ、有罪を宣告されました。
後にパワーズは、アメリカで逮捕されたＫＧＢのスパイ、アベル大佐の身柄と交換にアメリカに引き渡されています。
　これらのことからしても、パワーズは軍人としてではなく、ＣＩＡのスパイ要員として捕まり、拘禁されたと見ても良いでしょう。ソ連とアメリカは当時交戦状態にあったわけでもなく、戦時の捕虜と同列に扱うことは無理でしょう。
　またもしパワーズが元軍人でもなく、最初からＣＩＡの民間人（文民）の工作員であったなら、文句なくスパイとして扱われることになったでしょう。

便利少尉