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1092 震電が後退翼なのは何故でしょうか?
アンサラー

  1.  まず、軽量化のために主翼主桁とエンジンマウントフレームの両取付点が同じセクションを共用していますので、主翼付根位置は前方に寄っています。
     しかし、先尾翼機の重心は、前後翼面積をそれぞれSc、Smとした場合、両翼の空力中心間を前方からSm:kScで按分した点(kは主に取付角の差で決まる定数。2〜3程度が多い)になければいけませんから、主翼の空力中心は最大の重量物であるエンジンの後ろにあるべきことになります。
     そこで主翼の面積を後方に配分して空力中心を後退させるために後退角を与えたというのが主な理由です。
     また、震電の垂直尾翼は主翼後半に取り付けられていますが、尾翼というものは期待の重心からなるべく後方にあったほうが操縦性・安定性ともによくなる、あるいは面積を小さくして抵抗を減らせるので、後退翼にすれば垂直尾翼を後に送れます。加えて後退翼には方向安定を高める効果もありますので、さらに垂直尾翼を小さくできます。
     さらに、三車輪式の降着装置の主脚は、「重心より少し後」に取り付けられるべきものなので、主翼桁に依存する主脚取り付け点を後方に送るためにも後退翼は便利です。
    Schump

  2. さらに補足しますと、後退翼は震電くらいの速度では揚力をロスする悪影響の方が圧縮性の影響による抗力発散からの回避よりも大きいです。
    しかし、もし直線翼を採用すると重量物であるエンジンをより前方へ搭載せねばならず、
    エンジンマウントを主翼桁に設けて軽量化することが出来ません。
    それどころか延長軸を(史実の震電では900ミリ)さらに長いものにせねばならず、
    ここでも重量が増します。
    直線翼を採用して空力上の効率を上げても、これらの重量増加に食われてしまって
    却って
    トータルでは性能が落ちるわけです。

    グランプリ出版の「戦闘機メカニズム図鑑」には「震電の後退角はMe262のそれより
    大きく、高速を狙ったデザインである」という噴飯ものの記述がありますが
    信じては駄目です。
    狙ったのは軽量化と、機構の簡素化なのです。


    たかつかさ

  3. ついでにMe262の主翼の後退角も高速を狙ってつけたものではなく、重心位置の補正が狙いです。
    たけぽん?

  4. >「震電の後退角はMe262のそれより大きく、高速を狙ったデザインである」という噴飯ものの記述がありますが
     だとすると、震電より更に強い後退角を持つカーチスXP−55(震電ファンにはクソメソに言われるアメリカの先尾翼試作機)は更に高速を狙った設計という訳になりますね。まぁXP−55の計画速度は815Km/hという凄まじいものではあったんですが、XP−55は震電よりも前翼の揚力配分が小さいので空力中心位置をずっと後方に下げる必要があったためです。
     搭載予定のエンジンがポシャッてアリソンでお茶を濁したせいもあり、XP−55の最高速度は627Km/hという情けないものでした。後退翼の副作用である翼端失速に悩まされ、翼端を延長したり境界層板を付けたり(場当たり的な)対策を重ねていますが、それでも低速時のエルロンの効きの悪さは最後まで付きまとったようです。また重心位置の悪さ?のためスピンに入ると回復が困難で、試作初号機は背面スピンから抜け切れず失われています(パイロットは無事脱出)。
    ささき

  5. >XP−55は震電よりも前翼の揚力配分が小さいので空力中心位置をずっと後方に下げる必要があったためです。
    う、ヘンなこと書いてる。「震電よりも重心が後ろに寄っている(主翼桁の上にエンジンの載った震電と異なり、XP-55 のエンジンは主翼付け根後方に出っ張って装備されています)ので主翼の揚力中心を下げる必要があり、一方前翼の揚力は小さくて済む」が正解(のはず)ですね。
    ささき


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