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空の黒死病と恐れられた。イリューシンI1-2M3ですが、 20mm機銃でも容易に撃墜できなかったと言われてますから、 当時の戦闘機の中では、もしかして、最恐? 富嶽 |
あれは地上攻撃に特化したが故の重防御ですから。
要するに逃げるための重装甲。
あいつをメッサーやフォッケに立ち向かわせるのは厳しいんじゃないですか?
勝井
さて、Il-2系列の防弾性能ですが、最大8mmの鋼板ですから、いくらソ連の冶金技術が優れていても、この程度なら12.7mmでもスポスポ抜けます。
ただし、理屈どおりに貫通させるためには、近くから・なるべく垂直に撃ちこまなければならないので、超低空を400km/h以上(参考値:資料によってばらつきがひどい)でかっ飛ばし、(m3から)後方機銃をばりばり撃ちまくる機体にきれいな射撃を決めようとする困難を考えれば、「かするようにしか当てられない」ために20mm機関砲弾といえども貫通できなかったことは考えられます。
Il-2は装甲と火力のためにかなり重い機体ですので、運動性能はダメダメです。つまり「よける」代わりに「耐える」道を選び、少しくらい撃ちこまれても地上目標にたどり着こうというわけです。で、避けが苦手な分、被弾が多いので、限界を超えればいくらなんでも落ちます。そもそも防弾されているのはエンジンと胴体内タンクとパイロット(後部銃手は「バスタブ」の外)だけですから、翼や尻尾が穴だらけになってもげてしまう危険については普通の機体と同じです。また、運動性が低いということは敵機への積極的な反撃もできないので、空中戦ではやはり「弱い」と思っておいた方がいいでしょう。
Schump
ドイツ空軍戦闘機隊の撃墜記録を見ればすぐわかります。
シュトルモビクは、カモなのです。
勝井山指摘のとおり、装甲は下面に集中しており、上方からの攻撃には弱い。それ故に初期には単座だったのを、複座に改造して後部に旋回銃座を追加したのです。
しかし、この旋回銃座には装甲がなく、しかも真っ先に狙われるので懲罰配置とさえ言われる始末。
やはり、編隊を詰めて防禦火網をはるというオーソドックスな方法で身を守るしかないのです。
また、下面にも弱点があります。エンジンや乗員は厚く装甲されているのですが、なぜか、ラジエータは無防備にむき出しになっています。ここに射弾を集中すれば、数発の小口径弾でも撃墜できます。
超低空を飛んでラジエータを敵機から遮蔽すると上部の弱装甲部を撃たれるし、中高度を飛べば低空から突き上げてくる敵機にラジエータを狙い撃ちにされてしまいます。
まなかじ
迎撃には「1.5倍速の法則」というのがありまして、目標機に追いつき、適切な射撃位置に占位するためには、迎撃機は目標機の1.5倍以上の速度を出せなければいけません。で、もしIl-2の海面高度での速度が400km/hだったとすると、これを確実に迎撃するためには海面高度最大速度600km/h以上の機体が必要になりますが、この条件を満たすWW2戦闘機はタイフーン、テンペスト、モスキート、グリフォンスピット、Yak-3、La-7ぐらいしかありません。また、急降下で速度を稼いで追いつこうとしても、超低空での引き起こしをミスればこちらが死んでしまいます。
てなわけで適切な射撃距離・位置ではないところから撃たれたタマに対しては8mmの装甲でもなんとかなっただろう、ということです。
Schump
PT