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局地戦”震電”のプロペラはあんなに大型にしなくてはいけなかったのでしょうか?もっとサイズダウンすれば離陸しやすくなったのでは? kyo |
1)プロペラの回転数を大きくして遮二無二空気を取り込み、吐き出す
2)プロペラ直径を大きくして1回転あたりの空気取込み・吐出し量を大きくする
という2つの路線があります(どちらを取ってもプロペラの仕事の対象となる空気の量が増えますから、大出力エンジンが必要となるのは同じ。)。
ただし、1)には以下のリスクがあります。
a)いわゆる「翼面過重が大きい」状態になり、ブレードのピッチを大きめにとらなくてはならない(=揚抗比低下)こと等による効率低下が懸念される。
b)反動推進部分について、反動推進の効率は、機速をVa、噴射ガス(この場合プロペラ後流)の速度をVjとしたときに(Va+Vj)÷2Vaに比例する(無論、Vj>Va。)ので、Vjが「速過ぎる」ことによる効率低下が生じる。
よって、大馬力を吸収させるプロペラとしては(プロペラ機としての機速の設定も考慮して)、2)を取った方がいいということになります。
Schump
(Va+Vj)÷2Vaに比例する
↓
2Va÷(Va+Vj)に比例する
分子分母が逆でした。
Schump
した軸動力を推力に変える場合の翼ピッチ角度についてですが、Shumpさんがいわれるピッチを大きくするという意味が翼の回転面に対し羽根角度を立てるということでしたら、私の考え方は次のようなものです。
ブレード入口の周速度、絶対流入速度、羽根への相対速度による速度三角形を考え
ると、回転数の増大により周速度が増え、結果として吸込み風量が増大すると速度
三角形は相似的に大きくなるか、むしろ羽根ピッチが寝る方向になると思っていま
す。この周速度増加効果により、羽根出口では周方向成分速度がやはり増加します
ので運動量の増加をさせることが出来、羽根を立てて負荷を増加させる必要はない
のではないかと思います。もし回転数の増加に対し、羽根を立てると入口の向え角
は著しく大きくなり、しかも羽根内での相対速度の低下が甚だしく、可変ピッチで
の運転としては不利になると考えます。
しかしながら回転数の増加による羽根の負荷は、Shumpさんがいわれるように羽根面での相対速度の増加により、羽根枚数が同じなら1枚が受け持つ負荷が大きくなりすぎると思います。この点を考慮して、震電では多数枚の翼で1枚当たりの負荷を小さくさせてると思っています。ただ、多数枚にしても、あまり外形を小さくとると
周速度の不足により羽根で必要な後流速度を得れないので小径化にも限界が有ったと思います。
羽根の流体に作用する推力についての考え方については、私は設計時に運動量理論による設計の方を好んで使用するほうなので、流体に羽根が回転による運動量を与えた結果が推力だと考えています。
プロペラなどの翼形状を持つ回転機械に翼理論を持ち込む考えは、翼列のデータを設計に利用すると、羽根での転向角などの推定が高い精度で出来るからだと考えています。
mamoha