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B−2爆撃機の側面形はかなり曲線を多用していますが、 ステルス理論上問題ないのでしょうか? 勝井 |
この点に関する記述は今のところミリタリーエアクラフト誌上で
「F−117以来の技術進歩がこのような曲面構造を可能にした」
というのしか未だ読んだことがないので。
もう少し詳しい情報を得られないものかと思った次第です。
勝井
まず、ステルスに曲面を多用するといけないという根拠はなんざんしょ?
小笠原
ステルス性があるという事が言われているんですよ。
以下、いつもの「考察」です。
ブレンデッド・ウィング・ボディは、容積の割に表面積が小さく、
空力的に有利であるという理由で採用されています。
表面積が小さいということは、
わずかなステルス性があると考えることも出来ます。
で、平面と曲面の反射の差です。
球体と六面体(ボールとサイコロ)を暗い部屋に置き、
懐中電灯で照らしてみます。
球体の中心に向かってまっすぐ光を当てると、
「中心の1点」のみ、電灯に向かって光を反射します。
六面体は、「偶然角度が一致した時」のみ、
面全体で光を反射された光がまるまる電灯に戻って来ます。
以上のことから、レーダーサイトにとって、
球体の飛翔物体は、「常に見えるが、常に見えにくい」ものであり、
多面体の飛翔物体は、「普段は見えないが、偶然はっきり見えることがある」と
考えることが出来ます。
どんべ
詳細を知りたいだけであります。
もっと言うなら、前述の「技術進歩」の内容てところですか。
航空関係の情報は主に週刊ワールドエアクラフトとミリタリーエアクラフトから得ているんですが、
いずれも突っ込んだ解説はまだしてないと思われるんで。
勝井
ですから、「おかしいのはF-117」ということで話をさせていただくと、F-117の設計時点では「面を法線ベクトルごとに要素分解してそれぞれの電波反射を計算する」手法のメッシュが、コンピュータの能力不足で粗くしか設定できず、平面で妥協しています。B-2になると計算制度が(一説によると3桁)向上したため、曲面についても電波反射の制御ができるようになったとのことです。
また、側面形は平面形に比べて著しく「薄く」、ゆえに接線を考えると電波の進入方向(ほぼ水平と見てよい)に対して大きく後退角をとっており、進入方向へはほとんど反射をしないことが、側面形について電波反射の制御をうるさく言わない理由になっているかとも思われます。
Schump