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849  848番に関連して、以前から知りたいと思っていた事を質問します。
エンジンが同一だった場合、高高度性能の良し悪しは何によって決まるのでしょうか?
理屈で考えると翼面過重であるような気がしますが、
史実と照らし合わせるとアスペクト比でもあるようです。
あるいは、主翼平面形状・寸法以外にも何かあるのでしょうか?
どんべ

  1. まず大切なのは、希薄な空気の下で乏しい揚力を活用するためには、機体重量は軽い方がいいということです。
    もちろん、翼面積が大きくないと必要な揚力を得られません。
    すると、翼面過重が自然と小さくなります。

    空気が薄いと、発動機の出力が低下します(ロケット、電気モーター等を除く。)から、これを相殺する「機体にかかる空気抵抗力」は小さくなっています。
    揚抗比が大きければ、「機体にかかる空気抵抗力」のわりに大きな揚力が得られるので高空飛行には有利です。
    「主翼のアスペクト比を上げる」は、主翼について揚抗比を上げる手段のひとつです。
    主翼については、このほかに
    ・後退・前進角を小さくする
    ・翼型の改善(飛行速度や低空での性能との関係もあるので解は一つにならない)
    等の手段を講じることになります。

    揚抗比については、主翼以外の機体各部についても空力的洗練を施してやらねばなりません。
    究極的には、胴体も尾翼もなくしてしまった方がいいのです。

    (結論)
    高高度飛行に最も適した形態とは
    ・後退角のない全翼機
    ・超軽量構造
    ・重量軽減のため、燃料を積まない
    ・酸素を消費しない機関を使う
    ということになります。
    Schump

  2. Schump様
    追加質問させて下さい。
    翼面荷重とアスペクト比から判断して、
    零戦22型は52型より高高度性能が優れている、と考えてよろしいのでしょうか?
    また、空力的洗練はどの高度でも有利なはずですが、
    高高度だと、「より」有利に働くと考えればいいですか?
    どんべ

  3. 高高度飛行に特化した飛行機ということでしたら、ロッキードU−2や、ミヤシチョフ・ストラトスフェーラに特徴を求めることができると思います。
    軽量構造と、長大で細い(高アスペクト比の)直線翼で、グライダー並みの高揚抗比を得る設計になっています。
    Schumpさんも書いておられますが、軽くする、抵抗を小さくする、揚力を大きくする、の三点がキモだと思います。

    なんとなく、長距離記録機に要求が近いような気もしますね。

    まなかじ

  4. >2
    零戦各型の高高度性能についての詳細な資料が手許にないので、確たることはいえませんが、上昇限界高度や高高度での持続上昇率等では22型が優っていたのではないかと推測されます。
    陸軍一式戦にいたっては、エンジンの過給性能が劣るにもかかわらず、アスペクト比が大きく翼面過重の小さい1型が最も上昇限度が高くなっています。

    なお、1で私が最後に挙げたような理想的機体は実在します。
    http://www.dfrc.nasa.gov/Projects/Erast/pathfinder.html
    をご覧あれ。
    Schump

  5. ありがとうございました。難しい話ですね。
    どんべ


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