QQCCMMVVGGTT
820 本日(6月26日/2000年)、「ミリタリー・エアクラフト」を
立ち読みしたらP−51の高性能の理由として
「層流翼は実際にはほとんど効果が無く、高速を出せたのは
ラジエーターで加熱された空気の推力のおかげ」であるとしていました。

まぁそんなトンデモはどうでも良いのですが、文中で語られている
「ノースアメリカンの担当技術者の回想」が気になります。
これはどこかから出版されているのでしょうか?
……しまった、肝心の技師の名前を忘れた……

たかつかさ

  1. 民明書房。
    どんべ

  2. こらこら。
    勝井

  3. じゃ、私のGPZ900Rもうまくやれば超高速がだせそうですね・・・
    Qwerty

  4.  これも立ち読みして来ました。
    まともなレスが無いのでいい加減な事を書かせて頂きます。
    たかつかささんが気にしておられるのは、
    「トンデモ話」と「ノースアメリカンの担当技術者の回想」の
    矛盾という事だと思います。

     P-51の高性能の理由と言えば、層流翼とラジエター配置(とダクトの設計?)と
    マーリンエンジンだと思いますけど、
    戦後「P-51の設計者」の栄誉をめぐって、
    「層流翼」派と「ラジエター」派が争った、
    と言うようなことは無かったのでしょうか?
    あったとすれば、「担当技術者の回想」が書かれている本は
    いわゆる「暴露本」のたぐいであって、…私も読みたいですね、これ。

    どんべ

  5. P−51のラジエータについては昔から色々言われてますが、航空ジャーナル別冊「第二次大戦の軍用機」の中にある鳥養鶴雄氏の解説が、個人的には一番当を得ていると思います。それは、
    「冷却器で加熱された空気は加速して噴出し、わずかに推力を出して、冷却器の抵抗を相殺する」
    というものです。
    胃袋3分の1

  6. >どんべさま
    ご指摘のようなことも考えましたが、もうひとつ
    「ミリタリーエアクラフトのライターが、技術者の回想を
    誤読している可能性」も考えています。
    P−51の場合、確かに層流翼が最高速に与える影響は
    顕著ではないでしょう。
    しかし、層流翼には「ドラグ・バケット」−ある範囲で抵抗係数が
    ほとんど変わらない−と言う効果もあります。
    B−29や我が国のキ77が層流翼を採用した狙いのひとつはこれで、
    つまり巡航状態での抵抗が減少します。
    (最高速だけ狙うなら、通常の翼形で薄くしても良い)
    また、通常の翼形よりも強度設計が楽になる(最大厚さの点が弦長の
    中心に近いから)と言う利点もあります。
    これらは当時から公知に近いことで、ノースアメリカンの技師は
    あえて強調していないのではないでしょうか。
    で、「最高速への影響はラジエーター設計の方が大きい」
    胃袋さんが指摘のように「わずかな推力の貢献」をライター氏が
    誤読した……。
    と言う憶測です。
    もちろん、原典を当たっていない以上は邪推でしかありません。
    ですから読んでみたいのですが……。




    たかつかさ

  7. 初めまして。回答というよりさらなる質問です。なぜ「P51のラジエーターだけが」多少のジェット効果が有るのですか。その他の全ての液冷機のラジエーターではそのような効果が無いということなのでしょうか。技術的なことは全くの素人なので是非ご教授ください。
    しーま

  8. ラジエータのジェット効果ですが、「無いとは言えない」程度の
    ものがどの機体でも発生するでしょう。
    ここで採り上げる主張はつまり、「そのわずかな推力と比べることが出来るほどに
    P−51のラジエータ抵抗は少ない」ということになるでしょう。

    私はこの件(ラジエータ推力説)は聞いた瞬間に笑い飛ばすことを繰り返していて、
    具体的な推力を検討したことはまだ無いので、濁した回答をしました。



    たかつかさ

  9. ゴミれす。
    P-51のラジエタ―を覗くとあっと驚くくらい向こうが良く見えますね。
    SHI

  10. マーリンエンジンの熱勘定(燃料エネルギーが何に変化したかの比率)は出力約30%,冷却水熱約12%だったと思うので,軸出力1500HPとすると冷却水の熱出力は約600HP。ラジエター通過後の空気温度が100℃(373K),外気温度が-20℃(253K)とすると,ラジエターの推進効率(熱エネルギー→推進仕事への変換効率)は理論上最高(カルノーサイクルと同等)としても 1−(253/373)=32% になりますね。このときの推進力は600HP×32%=192HPで,どんなに設計が良くてもこの値以上には成り得ません(実際はエンジンでもカルノーサイクルの半分以下の熱効率)。

    推力排気管の場合,排気エネルギー→推進力への変換効率は,排気温度が400℃(673K)とすると理論最高値で62%になるはずですが,実際には5〜10%程度ですので(→749番),温度の低いラジエターの推進効率はおそらく2〜3%程度,したがって推進力は馬力換算で12〜18HP(プロペラ効率75%とすると軸出力換算で16〜24BHP)位でしょうね。
    isi

  11. レシプロ機の推力構成を試算してみました。
    出力と熱勘定(エネルギー比率)はマーリンのものを元に,推進効率はプロペラ以外は勘です。
    「推進力=エネルギー×推進効率」です。
     [推進方法]             [エネルギー比率]   [推進効率] [推進力]
    ●プロペラ(エンジンの軸出力)     30%(1500HP)  75%   1125HP
    ●推力排気管(排気エネルギー)     50%(2500HP)   7%    175HP
    ●推力ラジエター(冷却水熱エネルギー) 12%( 600HP)   3%     18HP
    isi

  12. おおっ^^;>11
    isiさま、ありがとうございます。
    うーん、12PSも得られるなら、ラジエータ系統の設計によっては
    抵抗のかなりの部分を相殺できそうな感じですね。
    わたしのカンではラジエータ通過による空気の温度上昇は
    最大で50度程度かなと思いますが、その前にラジエータの
    抵抗値を考察してみようと思います。
    ……って、P−51のラジエータエアインテークの面積は
    どの程度だったでしょうか?
    すみません質問ばかりで^^;
    たかつかさ

  13. 10と11の計算はご指摘通り温度効率が高すぎますので,ラジエターの温度上昇50℃,外気温-20℃とするとカルノーサイクルで16.5%ですね。これを元に,推力排気管のデータを参考に計算し直すと下のようになりました。

             [エネルギー] [理論効率] [実効率] [推進力] [推 力]
               (HP)   (%)    (%)   (HP) (kgf)
    プロペラ       1600          75.0  1200  469
    排気管(400℃)  2540   62.4    6.8   174   81
    ラジエター(30℃)  600   16.5    1.8    11    4
    合  計       4740                1385  554

    (ラジエターの実効率・推力は,排気管とラジエターの理論効率の比から推定。推力・推進力は700km/hとして計算)

    これから以下のことも推測できますね(700km/hが最高速度として)。
     ・全推力の合計は554kgfで,よって最高速における全空気抵抗もこれに等しい。
     ・全推力(または抵抗)に占めるラジエター推力の割合は0.7%で,最大速度にほとんど影響はない。
     ・P-51の機体重量を3500kgとすると(今手元に資料がありません)最高速時の揚抗比は約6.3
    isi

  14. 推力説をとなえる人・本のP-51の評価が異常に高い
    のはなぜなんでしょう?
    ところで

  15. P-51のラジエターダクトの入り口側の流路の拡散加減が流入空気の圧力回復を効率よく行っており、その回復した圧力で推力を得ている(SR-71のショックコーン裏側と同じ理屈)とする見解もありますが、どんなもんなんでしょうか(定量的な話ができるほど知識がない)?
    Schump

  16. >拡散部分での推力
    これは確かに発生しますが、SR−71のショックコーン裏側と繋げるのは
    短絡です。
    なぜなら、ラジエータを通過してからの収束部分で後ろ向き推力が
    発生してしまうからです。
    収束させたくない(後ろ向き推力を減らしたい)ならば空気を加熱して膨張
    させねばなりません。
    この差し引きしたものが正味推力となります。

    たかつかさ


Back