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749 WWIIで、よく戦闘機あたりが改型を出すとき,「排気管を推力式に変更した」なんて記事が出ますが,どの程度の効果があったのでしょうか?
また、最初から推力式にしなかった理由は何でしょうか?
勝井

  1. ロールスロイスのマーリンは推力排気管で150ポンドの推力を発生し,これは600km/h時なら正味出力で149hp,プロペラ効率を80%とすると軸出力187bhpに相当します。推力は速度に因らないので,300km/hならこの半分の出力に相当します(よって高速時ほど推力排気管の効果は大きい)。最大速力時で軸出力の10〜15%程度の推進力増加と考えれば良いと思います。ロールスロイスがマーリンにターボチャージャーを付けなかった一因は,この推力を失うことを嫌ったためだそうです。

    マーリンは最大出力時,燃料のエネルギーの約30%が軸出力に,約50%が排気エネルギー(エンタルピー)になります。この排気エネルギーが推力排気管で軸出力の15%相当の仕事(=燃料エネルギーの4.5%)に変わるならば,「排気エネルギー → 推進力」への変換効率は約9%ということになります。

    最初に推力式でなかった理由は,推力発生効果が知られていなかったためだと思います。列形も星形も最初は集合式が基本でした(恐らく排気管の取り回しが容易なためでしょう)。
    isi

  2. 単排気管のメリットは推力効果に加え「耐熱金属の使用量が少なくて済み軽量化につながり、しかも工作が楽になる」と言われていますが、これは形態によります。星型エンジンの場合、推力式にするとかえって排気系の引き回しが煩雑になる場合があります。
    Fw190 のように排気口を胴体側面に集めた場合、推力発生に加え乱流抑制の効果を得ることができるらしいです。だから零戦や雷電のように一本づつニョキニョキ生やすよりこちらの方が空力的には望ましいのですが…

    http://www.epsnet.co.jp/~f4u/crazy/images/jpeg/re04_15.jpg (Yak-11/R-1830)
    http://www.epsnet.co.jp/~f4u/crazy/images/jpeg/re04_18.jpg (SeaFury/R-3350)

    見ての通り、排気系の引き回しはけっこう複雑になります。

    またこの写真ではわかりにくいのですが、排気口を側面に集めた場合、オイルや煤煙を含んだ高熱の排気が胴体側面に沿って流れるため、塗装が激しく傷むと同時に汚れます。第二次大戦中の F6F や F4U の写真には、排気経路に沿ったネイビーブルーの塗装が焼け落ちて白っぽくハゲた機体が目立ちます。外見の事なんか構ってられない戦時中はともかく、平時には結構嫌な問題でしょう。戦後のレシプロ練習機 T-28 も同じ形式の推力排気管を採用しましたがグレー塗装の海軍機では特に汚れが目立ったらしく、排気経路に沿った黒帯を塗って汚れが目立たないようにしています。
    ささき


  3. ↑ 便乗
    大昔、単車を転がしていた頃は「集合管」は憧れでしたが、
    航空機の排気管に集合管を用いたのはその効果も狙ったの
    でしょうか?
    takukou

  4. ↑これはきっと「排気の脈動効果」の事だと思いますが、星型エンジンの場合については昔書いたこんなものがあります。↓
    http://www.platon.co.jp/~vought/text/takahasi03.htm
    (これ以下は上記ページを読んだと仮定して書きます)V型エンジンであれば自動車も飛行機も条件は同じなのでできますが(もちろん特殊な爆発間隔を採用しているものは除きます)、排気管をタコ足にすると横に大きく張り出して空気抵抗の元になりますので、判っててもたぶんやらないでしょう。
    胃袋3分の1

  5. 大戦末期の日本機の単排気管って本当にボコボコですよね。戦後四式戦をテスト,調査した米軍は「排気管の工作は最悪である」と言ったそうです。

    フッフール

  6. ↑↑ うぅ、読ませて頂きました。というか、だいぶ前に読んだのだけど
    忘れたのかな?
    成る程、航空機においては採用不可、又はメリットよりもデメリットが多
    きいのですね。
    takukou

  7. ↑↑そうなんですよね。排気管(つーか排気マニホールド)の形状と抵抗がエンジン出力に大きく影響するんですよね。現在のレーシングカーなんかマニホールドをステンレスにして内側をピカピカに磨いたりしてるんですけどねぇ。
    吸気管の形状にはやたらこだわったくせに、排気管までは気が回ってないのはどうしてなんでしょう?理論的に解ってなかったってのは考えづらいんですけどねぇ・・・。
    胃袋3分の1

  8. 上:「造れなかった」と言うのはどうでしょうか。
    大戦末期になると、排気管の製造方法は
    「軟鋼の薄板を突き合わせ熔接し、アルミ浸漬して耐熱性を与える」
    というものになっています。
    鋼管の曲げと熔接で組み上げるのに比べて内面粗度が悪化するのは
    やむを得ないかと……。
    たかつかさ


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