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航空機の黎明期には逆ガルならぬガル翼の飛行機がありましたが、 これの利害得失はいかなるものでしょうか? 逆ガルはずいぶん議論されてますんで、少し視点を変えてみました。 勝井 |
質問の主旨は解る、解るけれども、惜しい、実に惜しい。惜しいです。
BUN
1)複葉機・パラソル翼機の変形
1930年代までは、単発小型機(特に戦闘機や軽飛行機)の形態として複葉機(運動性良好)及びパラソル翼機(安定・下方視界良好)が選ばれることが多かったのですが、これらの形態の欠点として、「上翼が前上方視界(急旋回中なら進行方向!)をふさぐ」ということがありました。
かといって上翼を胴体上面にまで下げてしまうと、下方視界がなくなったり(ソッピース・ドルフィンやブリストルM.1)、上下翼間が狭くなって空力的に悪影響が出たりするのです。そこで、上翼本体は高い位置に置いたままで、内翼を胴体に向けて急激に下げる、つまりガル翼が選択されることがあったのです。なお、おまけの効果として、胴体面から垂直に近い角度で翼が生えるので干渉抵抗が少なくなり、また、胴翼間支柱(カバネ支柱)が不要になるので空力的に有利、というのがあります。
採用例としてはポリカルポフI-153やPZL P.11系などがあります。
欠点としては前側方視界がなくなること、構造・空力的欠点(これは逆ガルも同じ)等がありますが、歴史的にはこういう屈曲した構造を作れるようになったころには低翼単葉機が登場しはじめていて、徒花に終わったというのが大きいです。
2)胴体を低く細くしたい場合
これは主に飛行艇に見られるもので、エンジンの水滴・塵芥吸入防止やプロペラのクリアランス確保のためにエンジンナセル位置を高くしたいがそのために胴体を高くするのはいやだ、というときの解決法です。
採用例としてはベリエフBe-12を挙げておけばよいでしょう。
空力・構造的な欠点は上述のとおり。
Schump
そうなんですよね。上記の私の1)後段をお読みいただければ分かるように、ガル翼を「作れるようになった」のは1920年代後半以降だと考えたほうがいいですね。
Schump
なんて主張は反則技ですか(笑)?
勝井
BUN
ささき