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P-51は胴体内燃料タンクに燃料が残っている場合に、アクロバット飛行を禁止されていたそうです。それは、重心の影響だと思うのですが、やはりP-51独特のラジエーター配置のせいなのでしょうか。そうでないとしたら、ほかに胴体内に燃料タンクを持つ飛行機はどうなるのでしょうか?どなたか教えてください。 Takky |
余談ですが、読まれたのはMA増刊ですか?でしたらそのすぐ側に載っているP51の翼内燃料タンクの配置は零戦21型に似ていると思いませんか?「日本機は燃料タンク配置が悪く・・・」といった話が俗説だというひとつの証明の様な気がします。
BUN
そういえば、もともと重心後方に全燃料を収容するMe109の場合、当初から燃料残量にともなう重心移動に対処しなければならず、可変式の水平安定板をつけていますね。これと同様の処置はWW1のイギリス戦闘機(SE5等)やGeeBeeレーサー等にもみられます。
Schump
「胴体内タンクの残量が25ガロン以上のときは、操縦桿の操作に特別の注意を要する。この状態での飛行機の飛行特性は残量が多ければ多いほど変化する。
40ガロン以上の燃料があるときは絶対にアクロバットをやってはいけない。この状態では重心位置が後退し水平直進飛行以外では不安定になる。
どんな運動をするに先立って満タンの胴体内燃料タンクの状態の飛行特性に慣れておく様にすること。あなたが慣れるためには少なくともこの状態で1〜2時間飛ぶ必要がある。
逆特性胴体内燃料タンク満タン
胴体内タンクが満タンの状態では、手放しの水平飛行にトリム調節がほとんど不可能なほど重心位置が後退する。また、急旋回や引き起こしに入ると直ぐに操作力が逆転する。
例えば、旋回は操縦桿を引くことで自然に開始できる。その直後から機体はどんどん急旋回方向に動き出す。したがってこれを押さえるために操縦桿を押すことが必要になる。
急降下でも同様なことがおきる。機体は急な機首上げ方向に動く傾向が出る。従って引いていた操縦桿を適切な機首上げが続くように操縦桿を押すことが必要になる。
これを逆特性という。胴体内タンク内の燃料が比較的多いときにのみ発生する。この現象に備えておくこと。対処方法は簡単なので、この現象が起きたときに驚かないこと。
胴体内タンクの燃料を消費するに連れ安定性は急速に改善する。胴体内タンクの残量が半分になるとこの現象はほんのわずか感じる程度である。この状態でも手放し水平飛行にトリムを調節することはまだ無理であるが、残量が半分以下に減っていくとこの状態は急速に消滅する。
P-51のこの逆特性は、エレベータの操縦系統のベルクランクに20lbのボブウエイトの追加により改善された。このウエイトは、逆特性に打ち勝つために出さなくてはならない前方向の力を減少させる。」
ちょっと長かったかな?このマニュアルはスミソニアンあたりで市販されているそうで、同じ内容のものが丸メカニックだったかに掲載されています。
舞弥
まさか、ジェット機まで悩まされていたとは・・・
もう一つ、質問したいのですが最初から胴体内燃料タンクしかなかったAD-1スカイレーダーなんかも、やっぱり重心問題には悩んだのでしょうか。
AD-1については、胴体内の燃料タンクを納めたことによる利点ばかりが強調されているので。どうかよろしくお願いします。
Takky
トリム変化は殆どなかったと言う事です。
大塚好古
http://barella.en2.ehime-u.ac.jp/~kumac/P51/
ささき