459 |
剣の尾翼ってシロートが見ても小さすぎるんですけど、なんであんなに不良な機体になったのでしょうか?(だからこそ実用化されなくて良かったわけだが、、) navy |
むしろ剣でこわいのは、あの主脚と地上静止角ではタキシング中にグランドループの可能性が大きさと、明らかにアンダーパワーかつ翼面荷重の大きい(確か練習用の取外し式フラップでしたっけ?記憶モード失礼)離陸時の危険性でしょう。つまり、「出撃できずに死ぬ」・・・
Schump
横から見て尾翼容積が小さくてすむのでは?
1000馬力で800kgの搭載量で500km/hrを達成しようとした剣は低いアスペクトル比で小面積の主翼しか
もたないのに前後方向にわたる重量が大きいので、小さい主翼自体では中長期振動に対して減衰効果が少ないので
風見安定を受け持つ尾翼面積はむしろ大きくしないといけないと思います。
Navy
詳しいです。設計の立場としてはキ115の主任設計者だった青木邦弘氏の例の手記ですね。
(ここで読めますが->http://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/)
私、剣の設計を従来機と同列に考えちゃいけないと思います・・・手記を読むと風洞実験は省いているし、殆ど過去
の経験だけ(言うなればカン)で設計してるし、図面を引いたのも勤労学生達で複雑な計算は出来なさそうだし。
ただ、青木氏の手記を読む限りは「いままでわれわれの経験した戦闘機を参考に、基本的な寸法、重量、配分、
舵面の大きさなどを決めたら、普通の一般的操縦性は十分確保できると考えた」としていて設計に困難を感じて
いる様には見えないし「設計は思いのほか早く進んだ」としているのでスケジュールが遅延して細部の検討が
不十分なまま実機製作に移った訳では無いようだし、「製造部にとって、この素朴な小型機を造ることは、きわめて
容易なことであった」としているから試作機の製造も順調であった様に思えるし・・・・図面や出来上がった実機を
見ても設計の人間は手直しの必要を感じなかったんだろうか?
手記にある「基本的な寸法、重量、配分、舵面の大きさ」をどうやって決めたのか根拠が知りたいですね。
なんか「剣」は異様な姿は設計の基本を無視したベテラン設計者の慢心が具現化した姿の様に思いますが。
佐藤利行
(主翼)
面積 12.40sq.m
スパン 8.60m
アスペクト比 5.96(参考:キ44は5.95)
空力平均翼弦 1.43m
(水平尾翼)
面積 2.53sq.m
テイルアーム 5.19m
(垂直尾翼)
有効面積 0.98sq.m(オーバーラップする胴体側面積含む)
テイルアーム 5.43m
以上から計算すると、水平尾翼係数=0.74(通常値=0.6〜1.2)、垂直尾翼係数=0.05(通常値=0.05±0.005)となり、「計算上は手放しで直線飛行が可能なほど」十分な尾翼面積があります。しかし、気になるのは胴体の上にろくにフェアリングもせずに水平・垂直尾翼を「乗っけて」いることで、胴体表面の乱流との干渉が心配です。また、高い位置にある水平尾翼は(アクロ機でわざとそうしている機体があるように)引起し時に主翼乱流の影響で効きを喪失、きりもみ等にはいりやすいものです。このへんは風洞試験をしないととてもじゃないが分からないでしょう。
また、500kg以上の爆弾を積んだときの重心交代の影響をトリムする措置が何もないのも怖いです。
なお、航空力学上の常識では、アスペクト比が大きくなると方向安定は悪くなります。
Schump
2.50キロ以上の爆弾を搭載しての離陸は、投棄する脚の緩衝不良のため、バウンドするとの
舵の効き不十分で、操縦が難しく、転覆のおそれが多い。
3.翼が小さく、翼面荷重が大きく、安定板面積、舵面が小さいので、空中操作、旋回、航進、
攻撃ともに難しく、特に爆弾搭載時甚だしい。
また飛行中の感想としては「・・200キロ/時以上の速度を保って上昇する、上昇しながらも、
横にフラフラする。横の安定性が悪い・・」「・・水平、方向、横の安定性が悪く、常に三舵を
激しく使って姿勢を保たねばならない・・」「・・操縦桿とフットバーを動かさずに置くと、機は
横滑りを始める。自分で安定する力がない。」とあります。
高島氏の総評は「空気力学的な検討を欠いた未熟な飛行機」のようです。
佐藤利行
中島内部でも「落ちるのが前提の飛行機なんか作れねーよ」という設計陣の不満があったということですから、意図的な、すくなくとも未必の故意による駄作機なんでしょうか。
Schump