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87 過去このコーナーで、「空冷エンジンは効率的な機械式(排気タービン式ではなく)過給器を装備できない構造上の理由があるのか」との質問があり、回答は忘れてしまったのですが、例えば、2連式過給器装備のベアキャットやコルセアは、7000m程度の高度でムスタングやスピットファイアと互角に戦えたのでしょうか。模擬空戦の結果などご存知の方教えて下さい。

  1. (設問前半について)液冷・空冷エンジンの決定的な差は冷却能力です。液体は気体に比べはるかに分子密度が高いので,同面積から吸収できる熱量が大きく,シリンダおよびヘッドの限られた表面積から効率的に冷却を行えます。また冷却面は冷却液の温度より高温にはなりません。また,高々度では空気の密度が小さくなるため空冷式はさらに冷却能力が低下しますが,液冷式はラジエータ容量を大きくすれば済みます。高過給により高出力化する際,制限要因となるのが冷却問題なので,液冷式の方が高過給しやすいはずです。


  2. 2段過給式の場合,ターボ式はインタークーラーで中間冷却しますが,機械式は通常IC無しなので吸気温度・燃焼室温度はより高くなり,冷却能力の違いが大きく影響します。そのため空冷エンジンは機械式(というよりIC無し)2段過給機では過給圧を上げにくいでしょう。結局,空冷は(1)もともと冷却能力が低い,(2)高々度では更に冷却能力が低下,(3)機械式2段過給はICが無い分燃焼温度が高く冷却能力を要求する,という理由により,高々度での高過給・高出力化には不適と言えると思います。


  3. 空冷式で高過給・高出力・高々度飛行を行う場合,冷却能力の不足を補うため,オイルによる冷却や水・メタノール筒内噴射(の気化熱)への依存が液冷式より大きいと思います。冷却能力以外でも,各気筒の温度が均一,冷却量や温度を調節しやすいなど,限界性能追求には液冷式が有利なようです。ホンダの第1次F1参戦の際,宗一郎氏は「水冷も最後は空気で冷やすんだから,空冷の方が良いに決まってる」と空冷マシンも作らせましたが,結局うまく行きませんでした。


  4. (↑2つ下訂正)機械式でもマーリンは液冷式アフタークーラ付で,F6Fなどもインタークーラを付けていたんですね。よって理由(3)は抜きにして下さい。(いい加減なこと書いて済みません)



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