海軍の場合は末期の本土での整備環境の良い一部の部隊のみ実用し、陸軍の無線電話は海軍より少しマシで何とか通話できることも多かったようです。

加えてデータを示すと、九六式空一号無線電話機改一で飛行機間で電話で１３〜２０浬、三式空一号無線電話機で２０〜３０浬の電話による交信ができるはずでした。電信だとその２〜３倍程度の交信が可能、ということになっていました。

９６式空一号は出力１５ｋｗで対地通話距離５０海里、三式空一号は出力１００ｋｗで対地通話距離３００海里との資料もあります。ただし要求値かメーカのカタログ値の様で、実際に３００海里も通話した話しは伝わっていません。陸軍は古い９４式飛三号が通達距離５ｋｍ、９９式飛三号が対地通達距離100kmとなってます（ただし、こっちも要求性能値）。（T.S）

運用は、海軍では３４３空の無線活用が有名ですが、その他は欧米と比較すれば「全くダメ」と言えます。陸軍の空中無線電話は海軍よりマシでしたが、これには無線の天敵、エンジンの点火系統や発電器で発するノイズを、これらの機器にシールドを施して受信機固有雑音の５倍以内に抑制するよう航空機メーカーに指導したからだそうです（海軍は無線の為に艤装に手を加える発想がなかったので、いくら無線の発信出力を上げても受信の雑音が酷くて使えず、この点でダメでした（後に捕獲機のアースの取り方を真似てようやく改善）（T.S）

大変、参考なりました。回答ありがとうございます　（質問者）　ところで　ＷＷ２当時　米軍の空中無線は日本とは段違いの性能だったと聞きます。やっぱり無線の要素部品（クリスタルやコイルとか）からその性能が違ってたんですかね？　　

「旧Ans.Q(398)」を見てね･･と言いたかったけど消えてる＾＾;。それで空中無線電話は品質や性能で相当な差がありましたが、その差をもたらした最大の主因は用兵者側の無線活用に対する熱意の無さです（下記の様にモノはあったし343空の様に活用した例もありますから）。用兵サイドが単機から編隊戦闘へ移り変わりの中で空中無線の果たす役割を理解出来なかった事が一番の原因です。米軍では無線不調の機体は戦闘不能機として出撃させませんでしたから、空中無線に対する彼我の意識の差は工業力以上のものがありました。（T.S）

（追記）日本の戦車もノモンハンまでは車長が砲塔から身を乗り出して手旗信号でやっていましたが、ノモンハンの「鉄の嵐」を多大な血を流して経験してからは、初期には不備もありましたが南方作戦が始まる頃には、一応は97式中戦車の砲塔上にはアンテナ線が装備され手旗信号はなくなりました。戦闘機も用兵側の熱意と強い要求があれば欧米と性能差はあっても「全くダメ」なレベルまでは行かなかった筈です。（T.S）

下のほう、電信でその程度しか届かないんじゃ「敵空母発見」の報告が出来ないっすよ。(N)

電子部品について言いますと、当時はMILやらJISやらの規格が無かったため、同じ型番の真空管の端子一個とっても材質や腐蝕防止のメッキの有無がバラバラ。振動の多い海上でそんなブツの集大成を使えばどうなるかは想像に難くありません。

（下）Ｎさん＾＾m、下の距離は電鍵使った「電信」じゃなくてマイクでやる「無線電話」の方ですって＾＾m（無線自体は余り詳しくないのだけど交信距離はトン・ツーと音声じゃ相当に違う筈です）、便乗質問になるけど「トン・ツー」の電信と「もしもし」の無線電話って周波数違うんでしたっけ？（T.S）

下から２番目の「電信だとその２〜３倍程度」と言うところに反応したのじゃ（基本的にツッコミ性質なのだな）。(N)

ゴ、ゴメンm（_ _）m()

「ツッコミ体質」と言うのは（T.S）氏のことでなく(N)のことなのだな。(N)

あの下から２番目を書いたものなんですが、無線電話機要目表に依っています。残念ながら敵空母発見の報は届きません。書いてある通り飛行機間では。条件の良い地上局は、例えば、柱島の長門がトラトラトラを受信していましたよね。

（ゴメン）僕が書いた「対地通話距離」は「無線電話」じゃなくてモールス信号の「無線通信」の方みたいで、かつ、メーカー要求値らしいので、実際の無線電話の通話距離は最初に書いた人の数値が実際的な筈。（たまにウソを書くT.Sでしたm（_ _）m）

インド洋作戦のとき、セイロン島攻撃直後の淵田機の機上で、偵察機の敵発見の通信を受け受信しているのはたまたま状態が良かったと言うこと？(N)（飛行機間と言うのは読み落としていました。失礼しました。）