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 ▼栗田健男提督の評価  ニルス曹長 02/9/26(木) 22:48
   ┣Re:栗田提督の評価  ロックマン 02/9/26(木) 23:59
   ┃  ┣提督・将軍の評価  タンジェント 02/9/27(金) 18:49
   ┃  ┗Re:栗田提督の評価  k-mine 02/9/27(金) 23:39
   ┣Re:栗田健男提督の評価  ミッドウェー2002 02/9/27(金) 23:57
   ┃  ┗Re:栗田健男提督の評価  月読 02/10/1(火) 23:49
   ┃     ┗Re:栗田健男提督の評価  ミッドウェー2002 02/10/4(金) 21:00
   ┃        ┗Re:栗田健男提督の評価  月読 02/10/4(金) 23:43
   ┗Re:栗田健男提督の評価  月読 02/9/27(金) 23:57

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 ■題名 : 栗田健男提督の評価
 ■名前 : ニルス曹長
 ■日付 : 02/9/26(木) 22:48
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   栗田健男提督の評価について質問です。
栗田提督はレイテ沖海戦で謎の反転を行ったことから一般的に「小心者」「無能な提督」という評価が定着しています。それ以外にも、バタビア沖海戦前に第三護衛隊の原少将からの協力要請を無視して北上を続け敵から逃げようとしたこと。ミッドウェー海戦で衝突事故を起こした<三隈><最上>の救援命令を受けたにもかかわらず南下してその場を離れたことも批判されてます。

本当に栗田提督は巷間言われてるような「無能な提督」なんでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:栗田提督の評価  ■名前 : ロックマン  ■日付 : 02/9/26(木) 23:59  -------------------------------------------------------------------------
   > 栗田健男提督の評価
 
レイテに関する限りをみれば責められる事は無いと思います。囮作戦に成功したと情報が入らず航空攻撃は止んでない以上がそのまま進んでも全滅すると判断して反転したのはごく常識的な判断で無能とは思いません。

ところがレイテ作戦は上層部は「全滅覚悟でやってくれ」と命令されながら結果的に(責められませんが)無視してしまったことが最大の問題でしょう。バタビアやミッドウェーでも何かと口実をつけて命令を無視して敵から逃げる彼は艦隊司令官としては不適当な人物であったと思います。

あくまで私論ですが…

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 提督・将軍の評価  ■名前 : タンジェント  ■日付 : 02/9/27(金) 18:49  -------------------------------------------------------------------------
    議論の本筋から離れるかも知れませんが一般論を少々。

 「無能な人間には大失敗は出来ない」、「出世する人間は『無能になるまで出世する』ものだ。」そうで・・・これからすると、栗田提督も普通言う意味で「無能」、ではなかったと思います。一時的に「無能」な状態で会ったかも知れませんが。

 チェザーレ ボルジアは、その人生最大の危機に、マラリヤの高熱で身動きひとつとれず、政治上ですが敗北し、没落の運命をたどりました。これほどあからさまな例は少ないでしょうが、実際この種の大失敗・大敗北を喫する提督や将軍について細かく前後の事情を知ると、多くの場合に情状酌量の余地が出てきて、声高に非難できなくなることが多いと感じます。

 が、その一方で彼ら提督や将軍は、幾千幾万の将兵の命と、国家や軍の将来に重大な責任を負うべき立場です。負けたら、いや勝ってさえ失われた生命や財産についての責任を問われるべきなのです。少なくとも「民主的」な体制のもとでは。(ホーンブロワーではありませんが、全くなんて「ひきあわない」商売でしょう。)

 ですから、これは小生の希望ではありますが、例えば栗田提督の失策や誤りを指摘・検討するのは当然であっても、栗田提督個人を「無能」とか断罪するのは避けて欲しいと思います。

 私個人としては、確かに不適当な配置に置かれた提督とは思います。「戦争」の立場からは消極的な指揮官と評価されるでしょう。

 でも、好い加減な思いつきの命令で文字通り幾万人を死なせ、なんの成果もあげず、しかも責任回避にだけは死に物狂い、あるいは責任を全く感じていないらしい指揮官ではないと思うのですが・・・皆さんはどう思われますか?

 小生の個人的考えでは、その種の指揮官こそ断罪するべきであり、「戦犯」として、同朋殺しとして、裁くべきだと思います。(ドイツのナチス断罪には、少なからずこの意味があるように思います。)が、これはここの議論とは別の主題ですね、失礼しました。 

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:栗田提督の評価  ■名前 : k-mine  ■日付 : 02/9/27(金) 23:39  -------------------------------------------------------------------------
    やはりレイテに関してはあまり責められないと思います。艦隊をこのまま進めても無為に戦力を磨り潰すだけと判断したのはそうおかしな判断だったとは思いません。仮に突撃したところで、最悪の場合概ね空荷の輸送船をぼかすか沈めただけで、きっとそれはそれで後世批判されたと思います。

 しかし、バタビアとミッドウェーに関しては全く同情できません。会社でいえば仕事が非常に忙しくなった途端に行方不明になり、部下が不眠不休で頑張ってるときに突然帰宅してしまうようなものです。私なら部下になりたくない上司のタイプですね。恐らく当時から彼に対しては厳しい意見を持つ者が(特に部下に)いたと推察されます。

 しかしその後も彼は順調に「昇進」していきます。いうまでも無く彼が陽の当たるエリートコース上にいたからで、わが国に於いてはしばしばこういう「エスカレーター」の上に居れば何があっても出世してしまうものです。官僚、銀行なんかもそうみたいですね。この「硬直した人事」に私なんぞは日本海軍と現代日本の没落を重ね合わせてしまったりします。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:栗田健男提督の評価  ■名前 : ミッドウェー2002  ■日付 : 02/9/27(金) 23:57  -------------------------------------------------------------------------
    私も本筋から離れますが一言。

 レイテ沖海戦では護衛空母を追っかけまわして、正式空母を相手に奮戦と報告しています。米護衛空母は最大速度18ノット程度しか出ず、これを追いかけ回していれば速度差で相手が正式空母でないことくらいはわかりそうなものだと思うのですが。よほど勲章が欲しかったのでしょうか?まぁ、日本海軍の敵戦力誤認は偵察機の報告から台湾沖航空戦にいたるまで誤認のオンパレードともいえますが....


 レイテ沖海戦では、あのままレイテ湾に突入していれば、オルデンドルフ艦隊に叩きのめされていたかもしれないという説もあり、一概に定説どおりに栗田提督を批判できない面があります。オルデンドルフ艦隊の戦艦は10%程度しか主砲弾を消費しておらず、弾薬不足に陥っていたのは巡洋艦部隊だけだったことと、オルデンドルフ艦隊がレーダー射撃と煙幕を効果的に使った場合はありえない話ではなかったと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:栗田健男提督の評価  ■名前 : 月読  ■日付 : 02/10/1(火) 23:49  -------------------------------------------------------------------------
   >  レイテ沖海戦では護衛空母を追っかけまわして、正式空母を相手に奮戦と報告しています。米護衛空母は最大速度18ノット程度しか出ず、これを追いかけ回していれば速度差で相手が正式空母でないことくらいはわかりそうなものだと思うのですが。よほど勲章が欲しかったのでしょうか?まぁ、日本海軍の敵戦力誤認は偵察機の報告から台湾沖航空戦にいたるまで誤認のオンパレードともいえますが....

追いかけまわしていれば・・・と、おっしゃいますが、この時栗田艦隊はスプレイグ艦隊の護衛駆逐艦による突撃を受けたり、護衛空母から発進した艦載機に邪魔されたりして、悠長に追っかけまわす余裕はなかったと思うんですが。
それに、燃料もかなり危険な状況にあったと記憶していますが。

後、台湾沖航空戦ですが、あれは夜戦であった為に事実誤認が生じたのはある意味仕方がなかったでしょうし、それに海軍側も現地部隊の報告をかなり割り引いて行動をしています(もっとも、それも過大評価であり、尚且つ陸軍部隊などには当初報告のまま、訂正を伝えなかった点は多いに問題ですが)

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:栗田健男提督の評価  ■名前 : ミッドウェー2002  ■日付 : 02/10/4(金) 21:00  -------------------------------------------------------------------------
   > 追いかけまわしていれば・・・と、おっしゃいますが、この時栗田艦隊はスプレイグ艦隊の護衛駆逐艦による突撃を受けたり、護衛空母から発進した艦載機に邪魔されたりして、悠長に追っかけまわす余裕はなかったと思うんですが。

 そもそも正規空母ならば逃げられたら追いつけるはずがない。また、元来空母は脆弱であるから敵艦艇に出会えば逃げるのが原則です。にも関わらず、栗田部隊は護衛空母隊に対し距離32千メートルから砲撃を開始し、接近に成功しています。追いついたこと自体が不自然で、正規空母ではないと気付く十分な理由があります。


> それに、燃料もかなり危険な状況にあったと記憶していますが。

 護衛空母部隊を追い掛け回したため、燃料不足になったのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:栗田健男提督の評価  ■名前 : 月読  ■日付 : 02/10/4(金) 23:43  -------------------------------------------------------------------------
   >そもそも正規空母ならば逃げられたら追いつけるはずがない。また、元来空母は脆弱であるから敵艦艇に出会えば逃げるのが原則です。にも関わらず、栗田部隊は護衛空母隊に対し距離32千メートルから砲撃を開始し、接近に成功しています。追いついたこと自体が不自然で、正規空母ではないと気付く十分な理由があります。

あくまで推論ですが、砲撃によって敵空母に何らかのダメ−ジを与えたのだと判断したのならば、接近できた事に対しても疑問点を抱かなかったのでは?
もしくは、砲撃を逸らす為に之の字運動を行った為に、船速が鈍ったと判断したのかもしれませんし、カレイジャスがシャルンホルストによって撃沈された事も頭にあったのかもしれません(戦闘詳報と言った一次史料を読んでいない為にあくまで推論ですが)

それに、栗田艦隊は、優勢な敵空母艦隊等と遭遇した際には、そちらの方を撃滅すると言う方針を立てていましたから、それもスプレイグ艦隊に攻撃を加えた一因かもしれません。

> > それに、燃料もかなり危険な状況にあったと記憶していますが。
>
>  護衛空母部隊を追い掛け回したため、燃料不足になったのです。

これに関しては私の表現の間違いです。
私が言いたかったのは、速度を測るために、敵空母を悠長に追い回してなんぞいたら、燃料を馬鹿食いした挙句、以後の作戦行動に支障をきたすのでは? という事です。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:栗田健男提督の評価  ■名前 : 月読  ■日付 : 02/9/27(金) 23:57  -------------------------------------------------------------------------
   > 本当に栗田提督は巷間言われてるような「無能な提督」なんでしょうか?

「栗田提督が無能だと言われる様になったのは、高木惣吉少将が、自著で、「レイテの敗将を海軍兵学校長にした」と批判めいた事を紹介した事にあった」と、奥宮正武氏は、自著の「真実の太平洋戦争」(PHP文庫)と述べ、従来論において栗田提督は、片寄った批評しかなされていないと主張しておられます。

私の意見としては、レイテ沖での反転はあの場合当然であったと思うし、バタビア沖やミッドウェイ沖での行為を非難するのならば、同時に、彼が第三戦隊司令官であった時のガタルカナル沖におけるヘンダ−ソン飛行場砲撃戦を無事になしえた事にも言及しなければならないと思うのですが。

乱筆乱文失礼致しました。

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