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 ▼「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その1)  如風 08/4/10(木) 17:23
   ┣Re:「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その2)  如風 08/4/10(木) 18:47
   ┃  ┗「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その3)  如風 08/4/10(木) 21:28
   ┃     ┗:「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その4)  如風 08/4/10(木) 23:29
   ┃        ┗:「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その5)  如風 08/4/11(金) 15:35
   ┃           ┗:「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その5の訂正)  如風 08/4/11(金) 17:02
   ┗雑談の部屋  如風 08/4/12(土) 12:03
      ┣悪いレスでもノーレスよりは良いかもしれない  ささき 08/4/12(土) 17:32
      ┣Re:雑談の部屋  SUDO 08/4/13(日) 0:06
      ┣Re:雑談の部屋  sinn 08/4/13(日) 1:23
      ┣応答有難うございました。  如風 08/4/14(月) 14:19
      ┗ニンニ非ずとは思いますが  青江 08/4/14(月) 20:01
         ┣千秋楽  如風 08/4/15(火) 19:40
         ┃  ┗Re:千秋楽  翼零 08/4/22(火) 18:10
         ┗Re:ニンニ非ずとは思いますが  HELLDIVER 08/4/27(日) 15:07

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 ■題名 : 「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その1)
 ■名前 : 如風
 ■日付 : 08/4/10(木) 17:23
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   初めて参加します。「如風」と申します。
福岡市生まれ、長崎市で30年余り開発設計に係わる仕事をして退職しました。

左捻り込みについてはここ2〜30年程興味をもっておりました。
5年ほど前、加藤寛一郎氏の「飛行の秘術のはなし」と「零戦の秘術」に出会い、加藤氏、坂井三郎氏を師と仰ぎ左捻り込みについて考えてきました。
最近具体的に考えはじめ、ようやく自分の言葉で語れる気がする程度になってきたのですが、不遜にも師の説とは一部異なる説を持つようになりました。しかもそれがあの有名な、左斜め宙返りの頂点の直前に「ポンと右を踏む」という操舵とその直後の操舵に対する機体の応答と操舵の意味についてなのです。

暫くもやもやした思いをもっておりましたが、ようやくネットに思い至り操縦経験のある方や技術的な面に詳しい方が多士済々のこのサイトにたどり着きました。
そこで過去のQ&Aをチェックしてみましたが、個々の操舵と応答とその意味についてまでは議論されていないようですので、いきなりで気が引けますがここに登場させて頂くことにしました。

ここでご批判を仰ぎ、左捻り込みへの理解を深化させることができれば、というのが願いです。

ところで書きたい内容はかなり長いので、今回を含め5回程度に分けて進めていきたいと考えております。次回は左捻り込みの全体を6つの部分に分け新説のキーワードを示すまで、3回目以降が本論との順で進めていきたいと思います。

このような場は初めてですし、ご意見に対する応答が遅れたりして諸々ご迷惑をかけることがあると思いますが、よろしくお願いします。
実際ツリーの分岐の操作などがうまくできるか心配です。

今回はご挨拶までとし、ここまでといたします。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p1-4.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その2)  ■名前 : 如風  ■日付 : 08/4/10(木) 18:47  -------------------------------------------------------------------------
   返信を利用してその2を始めますが、このような操作法でいいのでしょうか?
とりあえず先に進みます。

今回は議論の準備が主ですが、最後に議論の焦点となるキーワードだけは示しておきます。

1.左捻り込みの飛行経路の分解
 まずは今後旋回面における機体の位置を指定しやすくするため、時計の文字盤を利用することにします。勿論12時が頂上です。文字盤は地面から60度程度傾いているとご想像こださい。 斜め宙返りは、長円に近い軌道だとか、左捻り込みはひとつの平面からはみ出ていることについては、我慢して文字盤を使用することとします。

 また飛行経路や操舵の助けとなるよう、素直な斜め宙返りは約12秒で周回し、その長径は200m強程度と想定します。時計の文字盤1時間あたり約1秒で飛行することにご注意ください。(想定には多少の誤差がありますのでその点ご注意ください)

 飛行経路は次の6つの部分に分けられると思います。

 1) 6時→1時
   素直な左斜め宙返り期間
 2) 1時→12時
   有名な「右足をポンと踏む」操作(とわずかな待ち?)の期間
 3) 12時→10時半
   緩横転(エルロンロール)期間(背面近くから右翼を天に向けるまで)
 4) 10時半→9時
   垂直旋回(バンク角90°の水平旋回)期間
 5) 9時→6時
   純粋な「左捻り込み」の期間
 6) 6時→3時
   相手の捕捉と射撃の期間

 
 これを書くにあたり、手近の本を繰ってみたのですが、「図解軍用機シリーズ5 零戦 ハンディ版」p205に坂井氏が「私達が使用した「捻りこみ」の技は、宙返りと緩横転と一部に垂直旋回の技を加味した格闘技で・・・」と書いておられるのを見つけ経路の分解に自信を持ちました。

 なお垂直旋回期間は、相手との間合いを調整する期間だと考えております。
 相手との距離が近ければ少し大回りしてもよいし、逆ならばほとんど省略して捻り込みはじめればよい、と。


2.新解釈に至る過程
 左捻り込みはその旋回の下り斜面で、素直な旋回をした相手を操縦席の左前方に見ながら、高度差を利用して左に捻り込みながら(幅寄せしながら)その後ろに着く技です。

 捻り込む様子を考えているうちに、9時の位置の恐ろしさに気がつきました。
 その恐ろしさの要素とは、
  ア) 相手よりも上空に低速でいること
  イ) 相手を操縦席の左前方に見据えていること(主翼が邪魔にならない)
 この要素のおかげで、相手のどのような動きにも追随できる。
 ここなら、錬度の低い操縦者だってかなりのことができる。

 そこで9時の位置をお膳立てすることがもっと重要だと気付きました。
 そうすると、左に捻り込むためには、まえもってかなり大きく「右に捻り出す」ことが重要だということに気がつきましたが、左斜め宙返りの頂上付近の機動において操舵との関係で決まる機体の応答について、ほとんど解説されていないことに気付きました。
 
 こうしてこれまで提示されている操舵によって、有効に相手の右に出る機体応答が説明できないものかと探すようになったのです。

 そして見つけたのです。12時過ぎからの操舵で機体がバレルロール状に旋転し、これによって機体が有効に相手の右に出て行くことを。更に「頂上手前でポンと右足を踏む」ことの意味は、バレルロールとの関係で説明されねばならないことを。

この詳細を、次回からおうこととします。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p1-4.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その3)  ■名前 : 如風  ■日付 : 08/4/10(木) 21:28  -------------------------------------------------------------------------
   さて、ここからが本題です。

3.12時から10時半に至る緩横転期間の機動に関する新解釈
 機動の解釈に入る前に、先ずはこの期間の操舵を確認しておきましょう。

1) 緩横転期間の操舵
 この期間の操舵は、とりあえず加藤寛一郎氏の「零戦の秘術」p205によることとします。
 具体的には「背面で降下するあたりから左ペダルを踏み込む。 同時に操縦桿を右に倒し、主翼を垂直に立てる。胴体はほぼ水平」を使用します。
 なお、斜め宙返りの旋回を維持するため「操縦桿は終始引きになっている(p203)」ことは無論です。

 2) 操舵に対する応答
 先ずは、左踏みを無視し、操縦桿右だけを考えます。
 すると素直には、緩横転(エルロンロール)が浮かびますが、元々操縦桿を引いているのでバレルロールが対応する応答になるはずです。ほぼ背面で右翼を45度近く天に向けた姿勢から、右翼を真上に向けるまでの約1/8周のバレルロールになります。右翼が天を向けば、操縦桿を左右方向の中正位置に戻すのは当然です。

 そこで、ひとまず置いていた左踏みですが、強く踏んでいたら、左へのヨーが強すぎてロールに先行して顕著に機首を地面方向に向け、最終的に上記の「主翼を垂直に・・・胴体はほぼ水平」の姿勢にはならないことは明白です。
 低速で機首を地面に向ける舵はよく効くことを思い出して頂ければ納得頂けると思います。
 結局、方向舵は軽く左に踏んでいるか、中正ぐらいのはずです。なお補足すれば、このときの方向舵の位置は「ポンと右を踏んだ」直後に踏み戻した位置のはずです。とすれば、常識的には斜め宙返りを維持する程度でしょうか。
 そこで軽く左に踏んでいることのバレルロールへの影響を考えればよいことになりますが、バレルロールの周に沿って機首を左に振り、従って旋転方向に機首を振るので約1/8周の背面バレルロールを早く終えるのに少し役立つでしょう。しかしバレルロールを終了したときを考えると、機首が水平よりも地面方向を向いている。これは、引き続く飛行が多少下向きに始まることを意味するのですが、頂上付近での飛行の目的である「高度と低速を保つ」に悪影響を及ぼすからです。
 私なら、この期間の方向舵は中正を選びます。

 ところでバレルロールにおいて、主翼の揚力は主としてバレルロールの向心力として使われます。その結果この期間は斜め宙返りの機動を維持するための向心力が無くなります。 まさしくハンマー投げ出選手の手から引き綱のハンドルが離れた直後の状態に相当します。
 これは、斜め宙返りの円軌道の頂点から直線軌道に乗った状態と見てよいでしょう。

 ところで、バレルロールで操縦桿の引きが弱いと期待の応答は緩横転に近づくことになりますが、同時に斜め宙返りの軌道を維持するための向心力が期待できるようになります。
 従って、斜め宙返り軌道から右に向かって出る方向は操縦桿の引き具合で調整できることになり、相手との位置関係によって微妙な使い分けが可能となります。
 この辺にも左捻り込みの自由度の高さと奥深さを感じます。
 私はここまで向心力の問題を明確にするため、バレルロールを強調してきましたが、実態はバレルロール気味のエルロンロールであっただろうと考えています。

 結局この期間は、適切な量だけ相手の右且つ上に出るための重要な期間だということになります。
 
 ところで加藤氏はこの部分の機動を、前著p205に坂井氏の言葉を引用して「飛行機は螺旋状に(素直な宙返り経路から)右に急速に向きを変え・・・」(括弧内は如風の補足)と書いておられますので、坂井氏はバレルロール気味の緩横転であったことをご存知だったはずです。なお、上記に引き続く「相手より小回りする」はこの期間に対しては意味不明ですが、おそらくこの期間に引き続く垂直旋回に関する説明だと思われます。
 加藤氏はこの期間にバレルロールの要素があったことには気付いておられないと考えます。もし認識されていれば、操縦桿の引き具合の微妙さに言及されていたでしょう。

 なお、加藤氏、坂井氏は私の大切な師匠です。弟子である私があれこれ御託を並べることができるだけの教材を準備し、教育して下さったのだから。

 次回は、有名な「右足でポンと踏む」の意味を追いたいと思います。
 

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p1-4.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : :「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その4)  ■名前 : 如風  ■日付 : 08/4/10(木) 23:29  -------------------------------------------------------------------------
   今回は難しい。 むしろ筆者が、期待して批判や助言を待つ状態です。

4.1時頃に「右足でポンと踏む」ことの意味
 この時期は、前回検討した時期の直前の時期です。
 
 加藤氏は、これ以降の操舵全般を念頭において、「はじめに右を踏んだほうが、あとに左をより大きく踏み込むことができる」と説明されております。
 広い意味では私もそう思いますが、このような説明は「右足でポンと踏むのは左捻り込み全体にとって重要な操作だ」と言うのと大して変わりがないと言えそうです。
 また坂井氏もこの操舵の意味を「隠し味」と説明しているだけで、難しい。
 結局よく分からないと思っている方が多いはずです。

 ところで、私が前回のバレルロール説の後に「右足でポンと踏む」を取り扱うのは、この操作がバレルロール機動(マニューバリング)と直接関係していると考えるからです。 そのほうが説明しやすい。
 
 先ずは、「右足でポンと踏む」操作によって機体はどう応答するかの復習です。
 当然機体は機首を右に振り、左に滑る。急な操作だから、また低速だから、ジャイロ効果で機首を下げる、しかもかなり強く。
 これらの応答は背面で右翼を45°程度天のほうに向けた姿勢に対しては、地上から見れば機首持ち上げとなります。ここまでは普通の解説を辿っているだけです。

 ところで、普通のバレルロール操作では、バレルロールに先立ち機首上げ操作を行います。これにはバレルロール終了時の機首下げを前もって補正してやる意味があると思います。
 そうであれば、左捻り込みにおいて背面から始めるバレルロールでは、事前に地上から見た頭上げ操作をしておけば、バレルロール終了時に機首が下がるのを防げる。 ここに、「右足でポンと踏む」操作の意味がありそうです。
 バレルロール終了時に機首を下げないことは、これに引き続く垂直旋回で小回りしながら機首を上げることは難しいから、9時の位置の凄み(高度と低速)を稼ぎだすためには、バレルロール終了時に機首が下がらないことが極めて重要だからです。
 この説に対しては、それなら「操縦桿を前方に押すあるいは引きを緩める」操作のほうが良さそうだがとの反論もありそうです。
 この場合、機首下げで主翼が揚力を失う率が「右足でポンと踏む」場合に勝りますから、旋回の頂点を越すまでの時間ロスが多少気になるもののそんなに悪くない。
 ひょっとしたら、このような操舵で左捻り込みをする人もいたのではないかとも思うぐらいです。
 
 ところが、「右足でポンと踏む」にはあと2つくらいの利点が考えられます。
 その一つめ、またまた緩横転期間の考察からはじまります。
 緩横転期間は、素直な斜め宙返り旋回に対して効率の悪い旋回なので、適度に相手の右に出るのに都合の良い進行方向さえ決まれば早めに終了したいはずです。またロールの遅さを考慮すれば無条件で早く終わらせたいのではないでしょうか。
 そこでロールを加速することに大きな意味が生じてきます。
 右ロールを加速するには、左滑りに対する上反角効果を利用できますが、ロールに先立ち左滑りを開始しておけば、ロール期間中より大きな左滑りが期待できます。だから「右足でポンと踏む」意味があるのだと思います。

 その二つ目は、「右足でポンと踏む」ことで追跡してくる相手を惑わす効果があること。 これは坂井氏が、新米時代にこの不思議な姿勢の変化にひっかかって見事に惑わされた様子を書いておられることは皆様ご存知のとおりです。

 最後は、坂井氏が「右足でポンと踏む」ことで相手の軌道と交角がつくことを強調されていますが、これは単に機首を振る意味が強く、飛行経路を曲げる効果はこの期間直後の緩横転期間に得られるものに比べて小さいことを蛇足ながら付け加えておきます。


 この部分は難しかった。助け舟待ってます。

 新たな解釈の部分は、これでおしまいです。 なお、緩横転期間はスナップロールではないかとの説もあるようですから、次回(最終回)はスナップロール説に言及し、締めとするつもりです。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p1-4.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : :「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その5)  ■名前 : 如風  ■日付 : 08/4/11(金) 15:35  -------------------------------------------------------------------------
    今回を最終回とするつもりでしたが、まだ皆様からの反応がありません。 従って、これらに対応して見解の補足をしたり、自分の見解を修正したりの時間が不要で暇があります。
 そこで次回に、特に新説なんか含んでいないのですが、垂直旋回→9時→捻り込みの部分を書いてみようかな(まだ未定)と考えております。そこでとりあえず今回は、最終回ではなく単なる5回目とします。最終回かもしれません。


5.再び12時から10時半に至る緩横転期間−スナップロール説について

 坂井氏の左捻り込みにおいて、この期間がスナップロールではないかとの説がありますのでそれに触れておきたいと思います。
 
 一般的なスナップロールの解説のを利用することから始めます。
 スナップロールは失速間際の水平飛行で、方向舵を左に踏み、操縦桿を右に倒し、更に操縦桿を引くとエルロン操作で失速間際の左翼が操縦桿の操作で失速する。このため左翼の揚力が急減し、且つ抗力が急増し、操縦桿を右に倒したにもかかわらず(機首を左にふりながら)左に急速にロールする、と言うものです。
 このときの舵の使い方が(順序はほぼ同時とみると)左捻り込みの舵と同じだから左捻り込みでも機体の応答はスナップロールになると考える人もいるはずです。

 なお前々回の私説の機体応答を振り返れば、方向舵の左踏みが僅かまたは中正だから(更に失速に余裕があるからと追加すべきでしょう)バレルロールになるというものです。 また左の踏み込みが強ければ、について多少言及していました。
 そこで、前々回に書いたことも含めスナップロールに言及する必要がある。

 先ず、スナップロール(と一括してしまいますが)には2種類あるということです。一つめは上記のとおりです。
 二つ目は、揚力の迎え角に対する失速特性が緩慢なものであったらという場合です。この場合上記のスナップロールの説明で、左翼の揚力が多少減少し、と読み替えることになる。抗力の増大はほぼそのままでよい。 この場合、ロールはそんなに速くなく方向舵と左翼抵抗で機体は大きく機首を左に振ることになる。
 この実例は、加藤氏が「飛行の秘術のはなし」で服部省吾氏の文を引用し右捻り込みを説明している部分に見られる。なおこの場合右捻り込みであるから操舵方向は昇降舵を除いてすべて上記の逆である。このとき背面に近いが右翼が(地面からみて)下にあるので、「低速において機首を地面に向ける舵はよく効く」から右機首振りが容易に経路変更に結びつく。
 ここまで書けば、前々回に左を強く踏めば、機首を下げるから次のステップの垂直旋回につながらないと言う意味のことを書いたのには更に深い意味があったのに気がつかれるだろう。
 
 そうなのです。坂井氏の捻り込みと服部氏の捻り込みは全く違うのです。
 坂井氏の左捻り込みは、この期間に、相手より大回りしてでも高度を保って相手を主翼の邪魔にならない位置におくこと(またバンクの方向と最終的な捻り込みの方向が矛盾しないこと)を主眼にし、9時の位置からの捻り込みにすべてを託すものなのです。
 一方服部氏の右捻り込みは、この期間スナップロールさせ、ここで小回りするメリットが大きいというものです。(服部さんごめんなさい、勉強していないのでバンクの方向と最終的な捻り込みの方向の問題をどう解決されているかが分からず、凄いと言えないのです)
 結局前々回の段階では正しくは、左を強く踏む意味はあるがそれは坂井氏の捻り込みではない、と書くべきでしたが、納得していただける材料の量がかなり大きすぎたので、ようやくここで解決です。

 なお、私は零戦の翼型(B9+NACA23012)と主翼-胴体の揚力、抗力特性を知りませんので、零戦で服部氏の捻り込みの左回りバージョンが実行できるかよく分かりません。 なお、零戦では既に主翼の捻り下げも実施されていたので翼端失速しずらくなっているから出来るような気もします。 実行できた場合、例の「ポンと右足を踏む」は不要でしょうね、スナップロール操作の直後は、機首が地面に向くほうが良さそうですから。

 ここで、第一の純正スナップロールに戻ります。
 これは、ロールを止めるのが難しいと言うだけでほぼ使えないと言えそうです。 ロールを止められるとしても、次の垂直旋回に繋ぐためには、ロール方向が不都合な右回転だから、約1回転のロールを必要とするので益々ロールが止めにくい。 また、左翼の抵抗大の影響でロールを止めたときに機首が地面を向くので、坂井氏の左捻り込みと相性がよくない。
 
結局この期間の坂井氏の操舵に対応するのはスナップロールではなく、バレルロールだ、との結論になります。

 
 ここまで書けば、私の最大の疑問を皆さんと共有できる。
 実は、坂井氏の左捻り込みは旋回時間の短い飛行か?という問題です。
 純粋に捻りこむ部分は、小さく、短時間で回れるのは当然。
 しかし1周ならば早いかがよく分からない。
  
 元々この疑問はあって、未解決だったのだが、再度「飛行の秘術のはなし」を見ていたとき、p153に坂井氏が半田一空曹に空戦を教わる部分(続大空のサムライ)があり、「宙返りに近い縦の運動の格闘をやっているうちに、いつのまにか、私の機がひょろひょろと前にはみ出してしまうのである。」を見つけたときに、益々疑問が大きくなった。
 
 整理する。これまでの私の解釈をたどれば、むしろ上記の実例のほうが分かりやすい。 
 即ち相手に直後に食いつかれたとき、頂上付近でゆったり相手をやり過ごし、次いで上空から捻り込みながら相手を捕捉するストーリーだ。
 この場合、1周当たり相手より長時間、せいぜい同等で周回している。

 そこで、相手を追っている場合、1周目は上空での垂直旋回を早めに切り上げて差を詰めて、2周目に相手に追つく飛行が可能か?が重大な問題となる。
 
 これが可能なら、万能技だ。 
 出来そうな気もするがなんとも言えない。

 
 これで、操舵に対する機体応答が掴みずらい部分を全て取り扱ったと思うので、とりあえず書きたいことは書き終えました。
 実際のところ、操縦経験がないので、想像力だけを頼りにずいぶん背伸びして書いております。 
 素人がよくやったとの意見や、ご批判、操縦経験のある方の直感と合わないなどのご意見、諸々頂ければ幸いです。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p2-31.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : :「左捻り込み」の機体応答に関する新解釈(その5の訂正)  ■名前 : 如風  ■日付 : 08/4/11(金) 17:02  -------------------------------------------------------------------------
   >
>  ここで、第一の純正スナップロールに戻ります。
>  これは、ロールを止めるのが難しいと言うだけでほぼ使えないと言えそうです。 ロールを止められるとしても、次の垂直旋回に繋ぐためには、ロール方向が不都合な右回転だから、約1回転のロールを必要とするので益々ロールが止めにくい。 また、左翼の抵抗大の影響でロールを止めたときに機首が地面を向くので、坂井氏の左捻り込みと相性がよくない。
>  


訂正させていただきます。

上記で、「ロール方向が不都合な右回転だから」を「左回転」と訂正します。

                                以上

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p2-31.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 雑談の部屋  ■名前 : 如風  ■日付 : 08/4/12(土) 12:03  -------------------------------------------------------------------------
    悲しいよ〜。(その2)が300hit目前なのに誰も何にも言ってくれないよ〜。

 素人が頭を絞って言いたい放題書いたので、専門家でも専門家レベルでの真偽の検討をするには時間がかかるのかな?と自分をなぐさめつつ。


 と言うことで、雑談の部屋をつくりました。


 1) 12時に向心力消失を利用して相手の右に出るとのバレルロール説

 2) 坂井氏と服部氏の捻り込み技での舵の使い方の違いと目的の違い

 などは、左捻り込み愛好家にとって大発見?だと思うのですが。どうでしょうか。


 宣伝ですが、(その5)は推理小説の最後の謎解きみたいな意味もありおもしろいデス。 全体の構成にはかなり苦労したんですヨ。
 それにしても(その4)の終わりに、新説はこれでおわり、と書いたのは拙かった。でも坂井氏の飛び方の解説は(その4)で終わりなのは事実だし。

 「坂井氏の左捻り込みは、1周回るのに速いか?」についても、誰か反応してくれないかな〜。 私も少々隠し球をもっているのにな〜。


 面白かったの一言でもいい〜、何か反応をくださいマセマセ。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p2-81.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 悪いレスでもノーレスよりは良いかもしれない  ■名前 : ささき  ■日付 : 08/4/12(土) 17:32  -------------------------------------------------------------------------
   と思いましたので書き込みます。

他の人がどう思っているかは判りませんが、私個人に関していえば、こういう話をWEB上で議論したくない状態にあります。
それは本業多忙で肉体的に疲れているという意味でもありますし、戦闘機を飛ばしたこともなければ特殊飛行をやった事もない身で果たして有益な意見が出せだろうかという自分自身の資格に対する疑念でもありますし、何かといえば「また常連が」と言われることに対する絶望でもあります。

…というようなことを私が書くと「あぁ、常連のささきさんが言うんだからきっとそうなんだ」という誘導を招いてしまったり、「また常連が新人潰しの新手を考えてきた」とか言われそうな気がします。そんな被害妄想的な連想に至ってしまうこと自体、疲れていることの証左なのかも知れませんが。

というわけで、御免なさい。今の私には積極的に議論に参加するどころか、一言の感想を述べることすらできません。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)@adsl-76-246-210-213.dsl.lsan03.sbcglobal.net>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:雑談の部屋  ■名前 : SUDO  ■日付 : 08/4/13(日) 0:06  -------------------------------------------------------------------------
    個人研究の発表の場は、ここWarbirdsなら鳥町という個人用スペースが提供されております。
 また熱心なご研究なのだろうといううことは想像できますが、図等を用いないで文章だけで延々と説明されても、悪いけど良く判らないというのが本当のところかと。

<Opera/9.27 (Windows NT 5.0; U; ja)@221x116x237x197.ap221.ftth.ucom.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:雑談の部屋  ■名前 : sinn  ■日付 : 08/4/13(日) 1:23  -------------------------------------------------------------------------
   >  面白かったの一言でもいい〜、何か反応をくださいマセマセ。

⇒それこそ若き日の坂井氏のように、模型を手にして論議すれば楽しいかもしれませんが…文章ではホント、分り難いデス
それこそ、「雑談」ということで、よろしくお願いします。

しいて言えば、同型機による訓練での表現(説明)と
実戦を想定(回想)しての、その説明ニュアンスは異なるような気もします。


私が多少なりとも?自信のあるクルマの運転で類推すれば

・条件が同じでも、ドライバーによって速さは違う
・それはトップスピード(ストレートでのアクセルベタ踏み)では差は出にくい
・(もちろんコースによるが)コーナリングで、その差は顕著となる

この「左捻りこみ」とは、ドライビングテクニックでいえば…
「ドリフト」と称される動きにニュアンスが似ている。

・失速直前〜フラットスピン
・タイヤのグリップ限界〜駆動輪の限界オーバー
つまりコントロール不能になる手前でのトリッキーな操作法と言う点で似ている。

さて、そのドリフトを定義するのは難しい。
「速く回る!ために、そういう姿勢に持ち込む」のは確かである。
そして(クルマで言えば)
「その姿勢に持ち込むためのテクニックは説明も出来るが・・・」

『その姿勢中(ドリフト中)の挙動と、コントロールは一口には説明出来ない』

う〜〜〜〜ん
やっぱ、上手く文章には出来ませんデス

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1)@softbank221084130141.bbtec.net>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 応答有難うございました。  ■名前 : 如風  ■日付 : 08/4/14(月) 14:19  -------------------------------------------------------------------------
    ささき様、SUDO様、sinn様ご返事有難うございます。

 ご返事、遅れて申し訳ありません。

 いずれも、私が内心恐れていたことと同じ反応でした。
 やはり、左捻り込みのレベルは高く、難しい。 まじめに取り扱おうとすればするほど、難しい。 残念ですが、一方でこのサイトの真面目さと真剣さを感じて嬉しい気持ちです。

 sinnさんの例示、私も実感としての実例を持っています。
 野球で、センタープレーヤーが打球から一度目を離して壁際まで走り、壁に背をぶつけながら振り返って捕球する。 私もプロより確率は低いが、これができた。
 打たれた瞬間に捕球できるかどうかは瞬間で分かる、比較的易しい。 壁際での若干の減速と走路の曲げ具合、振り向くタイミング、振り向くときのスピンの掛け方、誤差の補正。これらは難しい。 また、昔やったことを今説明することが難しくもなっている。
 これを捕球を目的とした最適制御問題とすれば、問題を最も単純化すれば、全力で直線に追って振り返るが解だが、そんなに単純ではない。 自分でプレーできるのに、要素が多すぎて私は問題を数学的に定式化することさえできない。

 結局今回の投稿は、まだレベルが低かった。 
  
 特に問題は、自分の書いたことを3人の自分が読んでもそれぞれ解釈が異なるだろうと思う程度の説明しかできていない。 従って、真面目な議論に耐えない。

 でも、バレルロール説は美しい仮説だと思う。
 この件については、いつの日か機体運動シミュレーションと共に皆様に提示できる日を夢見つつ店じまいと致したく。 (でも、機体データひとつをとっても、主翼翼根のフィレットと揚力特性の関係などを自分で取り扱うことになれば、早お手上げですが。)


 追伸:つぶれたりしませんよ。 技術の世界は、真偽の前提として、明確さ、追検証の可能なことが必要。 皆様の真面目な気持ちがよくわかりました。 
 これからも、ときどきこのサイトをチェックします。
 
 
 

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p2-107.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : ニンニ非ずとは思いますが  ■名前 : 青江  ■日付 : 08/4/14(月) 20:01  -------------------------------------------------------------------------
   基本的に「左捻り込み」というやつは、全て似て非なるものと思いますよ。
共通するのは、エンジントルクを利用しフットバーを蹴ると言う操作だけ、
その時の機体の角度、タイミング、操縦かんの角度、蹴り込み深さ、
スロットル操作によるトルクの加減の利用、機体の滑らせかた等々

「私の場合は、」書いていたと記憶してますが、いみじくも、坂井氏が、書いていた通り、
いくつかの主なグループに分けられはするでしょうが、十人十色の戦技で、同じように見えるだけなのだというのが、私の感想なのですがね。
実際に、教えられないので、自分で身につけさせるのだとも書いてあったと思います。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1)@p7126-ipad44hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 千秋楽  ■名前 : 如風  ■日付 : 08/4/15(火) 19:40  -------------------------------------------------------------------------
    青江様ありがとうございます。

 優等生の振りをして店じまいしたもので、何を書こうかと暫く悩んでおりました。
 そこで、次のフレーズを引用させていただき、最後と致しましょう。

> スロットル操作によるトルクの加減の利用
>
 この部分、スロットルに対してパワーで受けるのがふつうですが、恒速プロペラを考慮して、トルクで受けている。しかも機体への外力モーメントも連想させる。
 
 こんなことをサラッと書きながら、もっと議論したかった。

 それだけが残念ですが、終了、終了。

 

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@SCOfi-01p2-107.ppp11.odn.ad.jp>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:千秋楽  ■名前 : 翼零  ■日付 : 08/4/22(火) 18:10  -------------------------------------------------------------------------
   如風様

終了宣言されているところをなんですが...
捻り込みのご研究大変興味深く拝見いたしました。

実は私も捻り込みに大変興味を持って10年以上研究しているものです。
ここの皆さんがご指摘しているようにやはり実際に飛んでみないと分からないことも多く今ではどんな飛び方だったのかその実相を掴むのは困難ではあります。

そこで一度是非コンピューター上のフライトシムでお試しになっては如何でしょうか?
実際私も8年以上シムで試していまして最近ようやく「シムの上で捻り込みは可能」という感覚を掴んできました(私のシム上の飛行時間は約5000時間です)。

お勧めなのはAces HighとIL-2(1946)です。
私がメインに飛んでいるのはAcesHigh(AH)で、これは実際にP51やYAKにも乗ったことがあり自家用機(RV8)でスタントもこなすプログラマーが作ったものです。
またIL-2はこれもやはりパイロットでもある作者が実際の飛行機の挙動をよく取り込んだ秀作です。
IL-2のグループでは実際に動画として記録したものがあります。

こちらに私の飛行隊のBBSページをご紹介しておきますので是非一度ご訪問ください。ご訪問の際にそちらで同じく捻り込みの研究をしているプレーヤーのページをお知らせいたしたく思います。

AcesHigh 343航空隊のBBS
http://hidebbs.net/bbs/343ku?sw=4

失礼いたしました。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@kddi012679-2.clients.easynet.fr>
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:ニンニ非ずとは思いますが  ■名前 : HELLDIVER  ■日付 : 08/4/27(日) 15:07  -------------------------------------------------------------------------
   > 基本的に「左捻り込み」というやつは、全て似て非なるものと思いますよ。

捻り込みについて、そんなに深く調べたわけではありませんが、私もほぼ同じ考えです。
同好の友人などは、「零戦搭乗員一人一人に、それぞれの捻り込みの方法を聞き取って、まとめられたら凄いだろう」などとのたもうておりました。

<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)@10.212.24.1>
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