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> > では、真珠湾を攻撃しなければどんな展開になっていましたか?
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> アメリカは日本との戦争に踏み切るか、ためらったでしょうね。
> 対独との二正面作戦になるからです。
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真珠湾攻撃を実行しない(もしくは対米戦回避する)場合、フィリピンが主戦場になります。戦争前にフィリピンにアメリカ海軍の主力艦が派遣されなかったのは、マッカーサーが戦力を十分だと報告していたことと奇襲回避などの意味があったものと思われます。戦争が始まってから派遣すれば余裕だと考えていました。
対独二正面になりえません。なぜなら日本軍は半人前で1.5正面になるからと考えられていたからです。戦争初期にマッカーサーが日本軍機のパイロットはドイツ人だと判断していた逸話の通りです。それに東洋一の要塞(海側のみだが)シンガポールが簡単に陥落することはないはずでした。フィリピンからの航空攻撃、シンガポールからの艦隊出撃で日本軍を撃破し、真珠湾の太平洋艦隊が完全に台湾沖の制海権を握る予定でした。
アメリカは満州→中国→仏印への進出から東南アジアの欧米植民地が次の目標であると考えていました。南シナ海に面するフィリピンを日本軍が素通りするのをアメリカは黙ってみているのでしょうか。36年の時点から大統領候補は民主党、共和党ともに参戦派が主流でボブ・タフトのようなモンロー主義者は姿を見せません。
それにアメリカは親中一色でした。(宣教師曰く)貧しいが勤勉なクリスチャンの国、中国。中世を抜け出し、高潔なクリスチャンの指導者(蒋介石)のもとで第二のアメリカになろうともがく悲運の国、中国。完全に間違った認識でしたが、ルーズベルトを筆頭に政治家は中国が重要なアメリカ寄りの国だと考えていました。対独戦ごときで中国を指を加えて失うのを見ているわけにはいかないのです(のちに現実を知ったトルーマンが見捨てるまでは)。
> >> 真珠湾攻撃は対米開戦するうえで、欠くべからざる作戦であったことは疑いようがありません。
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> いや、それが間違っているので。
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> 目的は、日本が必要とする物資を確保することで、対米開戦することではない。
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> 山本五十六は、この政治問題を、アメリカ海軍との対決という軍事問題に
> 矮小化してしまったのですね。
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山本五十六だけでなく、ほとんどの日本人が英米を見限りました。完全に中国に非がある(そうことになっている)にも関わらず、日本いじめをする彼らに我慢の限界を迎えていたからです。日本は欧米に負けないアジアの一等国で、それが面白くない英米は日本を潰そうとしていると思っていたのです。禁輸措置はほとんど大義名分を得たも同然でした。これまで何度も譲歩に譲歩を重ねてきた(と思っていた)日本は爆発寸前でした。東條英機がどうあがこう
がもう話し合いの段階は終わったと人々が感じていたのです。
> アメリカの主力艦をいくらか沈めても、大勢には何の影響もない。
> アメリカは、新しく戦艦を造るでしょう。
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その戦艦を造る金は誰が出すのか。攻撃の優位を全面に押し出して、初戦で一気に圧倒すれば出血を嫌うアメリカ国民は対日戦への意欲を失うはずでした。進歩的な欧米社会は精神的に脆弱だと考えられていました。国力はアメリカが勝っていても戦争継続力は日本に優位があるのです。
> わがほうはミッドウェイ大敗で背骨を折られて、ついに回復できなかった。
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珊瑚海では敵空母二隻、ミッドウェイで敵空母二隻を撃破し(戦果誤認)、アメリカも日本同様に大きな損害を受けているはずでした。この調子で戦えば、アメリカはどこかで出血多量から戦争への意欲を失うと考えられていました。
> 井上成美が言っていたように、「油が無ければ、買ってくればよい」のです。
ノーと言えるようになった大日本帝国は頭を下げることはできません。
アメリカと戦ってはいけないのは誰もが知っていることです。しかし、ベトナムやイラクの例もあるように信じる物の前では合理性など意味がありません。あの当時に対米戦を避ける方法を取ることは誰にもできませんでした。明治から築いてきた大日本帝国は欧米を超越しているはずでした。愛国者たちはそう考えていました。傲慢な人種差別主義者の白人とはもはや付き合えないと。目に物見せて日本の凄さを見せるつもりでした。そんな世の中では現代日本のような政策は取れるはずがなかったのです。
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