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TMTと申します。
社会科学研究が熱心に行われている米国では、ご存知のとおり
ダッチ・カイザー様の疑問にまつわる研究がおこなわれています。
最近の意思決定ではなく、ケネディ政権時のキューバ侵攻時ですが、
英書になりますけれど、心理学者ジャニスの"Groupthink:
Psychological Studies of Policy Decisions and Fiascoes."
(ジャニスの日本語の訳書で近いのは『リーダーが決断する時:
危機管理と意思決定について』くらいでしょうか)のなかで、
なぜ、優れた知性を持っている筈の人たちが、集団で検討したうえで、
残念な結果に終わる意思決定に至ったのかを心理的相互作用から
分析しています。いわゆる「集団浅慮」です。
逆に、同じメンバーがキューバ危機の際には、
ある程度の成果を得たというのも好対照にされていたかと思います。
これらの題材は、政治学や経営学にまたがる意思決定論で
よく取り上げられ、MBA課程でのケース教材にもなっています。
やや題材が異なりますが、NASAによるチャレンジャー号事故に至る
意思決定のメカニズムも参考になるかと私は考えます。
英書になりますが、興味深く斜め読みさせていただきました。
Vaughan(1996)"The Challenger Launch Decision."
我が国組織の意思決定にまつわる研究では、
戸部他『失敗の本質』程度しか思いつかないのですが、
日本企業に働く者が「そうそう」と思いやすい結論ではあるものの、
そこに至る分析が上記研究書に比較して、あまりに情緒的・
物語的すぎる、と考えます。
むしろ、「合理的な意思決定」は難しく、我々はいかに
直感に左右されているかという研究も興味深いかもしれません。
英書ですが、Kahneman&Tversky(1982)"Judgment Under Uncertainty:
Heuristics and Biases."
日本語で類似内容のものは印南『すぐれた意思決定』
『すぐれた組織の意思決定』でしょうか。
ハルバースタム『ベスト&ブライテスト』を積んでいるだけで
いまだ読んでいない私がご案内申し上げるのも恐縮ですし、
本件のご案内内容をすでにご存知の方も多いと思いますが、
以上、何かのご参考になれば幸いです。
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