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> 隼は、どうしても要求性能が出なくて、すったもんだしたあげく、「もう格闘性能はいいから、とにかく仏印からマレーまで飛べる戦闘機がほしい」ということで制式化してしまった。
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> どうせ妥協するなら、零戦でもかまわない。
> 零戦でも、九七式戦闘機にはかなわないかもしれない。
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> それでも自前の戦闘機が欲しい、というのは、頑迷固陋なる、わが日本陸軍の無用なこだわりじゃないでしょうか。
陸軍が零戦を採用したら、例えば主兵装の99式20ミリ機銃は海軍の出資管轄工場で造られていて、しかも当の海軍ですら生産が間に合わなくて右往左往しているくらいですから、陸軍に回してくれそうにはありませんね。
今からエリコンのライセンス買って生産設備立ち上げていたら戦争に間に合いそうにないし、かといってキ43に搭載予定だったホ103 12.7ミリ機銃を積むために改造しようと思っても海軍が三菱の堀越チームを陸軍の事情で貸し出してくれるはずもなく、中島なり川崎にライセンス買わせてそっちで改造させる必要があります。
現実には海軍も中島に二式水戦造らせたりしているのだから出来ない理由はないのですが、陸軍にとってはいろいろと余計な手間が増えるのを嫌ったのではないでしょうか。
・・・その「余計な手間」を嫌って自軍管轄メーカーに自軍仕様の兵器を作らせた結果が、似たような機体・似たような機銃の並行開発という、後世から見たら「何やってんでしょう」と思う事態を招いたのだとも思いますが。
> 陸海軍で共用したのは、九七司偵と百式司偵と四式重爆ぐらい。
輸送機や練習機はともかく、第一線機の陸海軍共用は他国にもあまり例がないのでは?英海軍のシー何とかは空軍機の派生型ですが全くの同型ではないし、米軍でも陸海軍で共用した機種はたかが知れています。戦闘機はおそらく皆無、ロッキード B-37(PV-1) やダグラス A-24(SBD)なんて「そんな奴いたっけ」という存在感ですし、PB4Y-1 は陸軍 B-24 の小改造型ですが、結局別機といえるほどの大改造を施した PB4Y-2 に化けていますし。
> やはり日本空軍があればよかったのになあ…
仮に日本空軍ができていたら、予算と生産工場の取り合いが更に激化していた可能性もありますね(それまでは航空兵力に割く予算配分を海軍内・陸軍内で調整できていたのが、省庁間の対立になってしまう危険が)。
また航空機の開発行政を一本化した場合も、海軍は少なくとも艦載機の開発能力を持ち続けることを主張したのではないかと思います(陸のヒコーキ屋の発言力が大きくなると、性能的に劣るゲタ履き機や空母艦載機の開発は優先度が下げられる傾向がありますから。昨今の F-35A/B/C にまつわるゴタゴタにもその気配を感じます)
私には結局、独立空軍の有り無しという話よりも、日本の近代工業が陸軍・海軍の出資でほとんど保護産業のように育てられた経緯があり、メーカー側から見れば「育ての親」、軍側から見れば「子飼いのメーカー」という関係が根強かったことが大きいのではないかと思います。それを変えようとすれば省庁の分割あるいは統合では済まず、近代日本工業史を書き換えるほどの歴史改変が必要なのではないかと…。
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