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> 「明らかに多すぎ」かどうかは私には判断しかねます。ドイツにもメッサーシュミット、ハインケル、ドルニエ、ユンカース、アラド、ブロムウントフォス、ヘンシェル、フォッケウルフがありますし、イタリアにもマッキ、フィアット、レッジアーネ、カプロニ、ピアッジオ、アンブロッシーニ、サボイア、IMAMがあります。日本の航空機メーカーがとりわけ多いとは私には感じられません。
欧州各国と日本の航空機メーカー数を単純に比較できるかどうかは疑問です。
欧州の場合は航空戦力を整備できるだけの経済力はあるが国内に高性能な軍用機を自力開発できる航空機メーカーを持たない国が複数存在します。
つまり、輸出が見込めるわけです。
自国の軍に制式採用されなくても、外国に輸出することで航空機メーカーは活路を見出す可能性が残されています。実際、ドイツ空軍が消滅した戦後もしばらくはBf109は外国の空軍に配備されていました。
しかし、日本の場合はそうした国外市場がほとんど期待できません。せいぜいタイと満州国ぐらいです。
もちろん、戦時下では国内や隣接する友好国/中立国しか市場は確保できませんから、実質的には欧州であっても輸出など見込めなかったと言えるかもしれません。
> 縦割りにデメリットがつきまとうことは確かですが、何でも統合すれば良くなるというわけでもないと思います。戦争中だからといって民間会社には権利がありますし、政府の強権で「立川航空機は明日から中島飛行機の1事業部にするから、人事・資産をうまく処理してやってくれ。よろしく」というわけにはゆかないでしょう。
おっしゃることは分かります。
航空機の開発にはコストがかかります。そしてその1機種当たりの開発コストは機体の性能が高くなるほど増加していきます。高い開発コストを回収するためには数を捌くか、単価を引き上げるしかありません。
ところが、1つの軍が必要とする機種数も1機種当たりの配備数も、いくら戦時下とはいえ無制限に引き上げられるわけではありません。軍が抱えることができる企業にもどうしても限度が出てきます。
航空機メーカーが民間企業である以上、経営者たちはその時の戦争の趨勢にかかわらず戦後も経営し続けることを考えます。
現に軍のお抱え企業ですら、ミッドウェー海戦後の増産要請には二の足を踏みました。増産に応じることで増えてしまった設備と人員が、戦後の経営の足かせになってしまうことを恐れたからです。
輸出という新規の市場開拓が見込めない東アジアで、どんどん開発コストが嵩んでいく航空機という商品を商う日本の民間企業が、戦時中はもちろん戦後も経営を安定させたいと考えている。もちろん、軍の側でもそれを望んでいます。
今は戦争特需があるからいいとして、戦後も軍は自分たちを養ってくれるのか?軍としても子飼いの企業を養い続けることができるのか?
彼らは皆、軍縮条約を受けて八八艦隊計画が中止された時の造船業がどうなったか知っています。
仮に戦争特需が史実より10年長く続いたとしても、基礎研究や技術開発の設備投資を継続できる航空機メーカーは限られるでしょう。
基礎研究や技術開発を空技廠主導で官民一体で共同でやったとしても、航空機開発コストは加速度的に上昇していきます。ジェット機が実用化するあたりから、コストの上昇についていけなくなる企業が出始め、扱う機種を限定(輸送機のみ扱うことにするとか)したり、独自の開発を断念して生産に特化あるいは自ら身売りする企業も出てくることは予想できます。
1個の軍が養うことができる企業は1分野あたりせいぜい2〜3程度、そして民需や輸出が(少なくとも当面は)期待できない以上、業界の統廃合は(実施される時期はともかく)必然であろうと考える次第です。
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