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> 長距離作戦の為の燃料搭載量や陸軍機の航空撃滅戦の
> 為に小型爆弾多数積むのはなんとなく分かりますが
> 大型爆弾の搭載能力が無いのではないか?と考えた次第で
飛行機が爆弾を搭載し、敵頭上に投下するのは言ってみれば砲兵の代役を務めているにすぎません。実際に最初期の航空爆弾は砲弾に尾翼とプロペラ付の信管をつけて航空機運用に適するように改造したものでした。
単純に地上に散開している敵歩兵を掃討することを考えると、250kg爆弾1発よりも50kg爆弾5発のほうが制圧可能な加害面積が広くなるので、航空機で砲兵の代役を務めさせるという目的を果たすのであれば、大型爆弾は必要ありません。
大型爆弾が必要になるのは、小型爆弾では破壊できない目標物が存在する場合だけです。
たとえば、日本陸軍はコンクリートで固めたトーチカを破壊するためには、研究の結果、50kg爆弾では不可能で100kg爆弾でも不足すると考えたようです。
また、世界で最初に開発された大型(250kg以上)爆弾は、敵の工場に投下して生産設備を破壊しようというものだったようです。
しかし、日本陸軍が戦う相手である中国にそんなトーチカや破壊すべき工場なんてものは存在しませんし、ソ連であっても極東地域に限ってみれば、その数は限られています。
歩兵主体の日本軍では、ドイツ軍の電撃戦ようにトーチカを破壊できる重砲をもった砲兵が随伴できないという状況も考えにくいです。
陸軍の爆弾で大型のものは、ある時期までは基本的にトーチカや橋などを目標としたものしかなく、そして爆撃で破壊しなければならないようなトーチカや橋はそんなにたくさんあるわけでもない以上、大型爆弾は1度の飛行で1発つめれば十分・・・複数の大型爆弾を搭載する必要はない・・・と考えるのは自然なように思えます。
で、海軍ですが、かなり早い時期から(たぶん、世界で一番最初に)航空爆弾で敵艦を撃沈することを具体的に目指していたわけですが、陸軍の大型爆弾の目標と違って軍艦は動き回るものです。
目標が目標だけにある程度以上の大きさの爆弾が必要なのは言うまでもありませんが、それを動く目標に命中させるとなると、急降下爆撃等で一発必中を目指すか、高高度からの公算爆撃を行うかの二通りの方法が考えられます。
ここで、ようやく「大型爆弾をばら撒く」という必要性が生じます。
しかし、資源に乏しい日本では敵艦の装甲を貫くような頑丈なボディを持った爆弾を惜しげもなくばら撒くなんて贅沢ができません。敵の装甲に負けない鋼板を作るために必要なニッケルやクロムは、エンジンや砲身等ほかの生産に優先的に振り向けねばならず、使い捨ての爆弾なんかには振り向けられないのです。だからこそ、日本海軍は対艦用の徹甲爆弾と陸用爆弾を別々に用意しなければなりませんでした(米軍は対戦中期まで汎用爆弾一本体制)。
で、一発必中に傾倒せざるを得ないのですが、急降下爆撃では敵の防御火力圏内に飛び込まねばならず、一度の攻撃で何度も反復突撃はできません。移動する目標に一度の突撃で必中を狙うとなると、運動能力は維持されなければなりません。
航続力は犠牲にできませんし、運動力も犠牲にできない・・・となると、搭載する爆弾に制限が加わるのは必然と言え、大型爆弾は1発積めればいい・・・という風に考えられるようになったとしても、そこに批判すべき材料は見出せません。
大型爆弾は(少なくとも日本軍にとって)本来一発必中できれば十分なものだった。
一発必中が期待できない場合に「ばら撒く」必要が生じるが、日本軍はそれ(対艦公算爆撃)を濫用できるわけではなかった。
結果、1機の爆撃機に大型爆弾を多数搭載する能力は求められなかった。
・・・と、考えます。
> 低品質なマグネシウム合金で造られた脆弱な爆弾懸架装置と
> それを支えるまた脆弱な骨材のせいだと考察しています。
限られたエンジン出力で求められる速度と運動力を発揮しようと思ったら、搭載力は限られたものにならざるを得ません。その搭載力から燃料と防御火力分を差し引けば、それが爆弾搭載量になります。つまり、乱暴な言い方ですがエンジン出力と機体の爆弾搭載力は比例に近い関係にあるのです。
エンジン出力が限られているから爆弾搭載力も限られ、限られた爆弾を搭載するのであれば懸架装置もそれを吊れる程度のもので十分です。それ以上の懸架装置を装備しても、ただの「無駄」にしかなりません。
また、陸軍は前線基地での航空機用爆弾の運搬や搭載作業を人力で行っていました。大きすぎる爆弾は人力では扱えないので、航空機に大型爆弾を搭載する能力を付加しても前線の野戦基地では活用しきれなかったという事情もあるようです。(大型爆弾がなかったから人力で扱ってたんじゃないかとも思えるのですが)
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