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> 127mm砲などは第二次大戦当時と比べて格段に性能が上がっていますが現在の技術力で46cm45口径の火砲を製造した場合、望みうる射程や貫徹力はどれぐらいになると思いますか?
> レールガンなどは火砲ではないので無しでお願いします。
どなたも回答なさらないので・・・
戦艦の大砲というのは、打ち抜くべき敵艦の装甲を想定して開発されます。
主砲の口径も口径長も精度も、砲弾の形状や材質や重量も、どの砲弾をどの角度でどれくらいの速度で打ち出してどれくらいの距離にいるどんな目標をどう撃破するのか?
その敵艦が存在しない以上、開発目標そのものが存在しないので開発のしようがありません。
単純に砲弾の初速をあげれば砲弾の初速が上がって貫通力が高まるか?というと・・・戦車砲の場合はそのように単純に考えて問題ありませんが、戦艦の場合はそれほど単純に考えられない事情があります。
戦艦の大砲は大きく放物線を描いて上空から落下するように目標に砲弾を命中させるものだからです。
例えば・・・単純に初速を上げると決戦距離にいる敵艦に命中させるためにそれまで40度の仰角で打ち上げていたのが35度の仰角で打ち上げるようになってしまう⇒砲弾も目標に対して45度の角度で落下して命中していたのが40度で落下するようになってしまった⇒敵艦の水平装甲に対する命中角度が浅くなってしまったので決戦距離での貫通力が却って低下してしまった・・・などという話が出てきてしまうのです。
戦艦大和が50口径ではなく45口径を採用したのは、初速がより高くなる50口径より45口径の方が決戦距離での装甲貫通力が高くなるからだ・・・という話もあります(ホントかどうかは未確認ですが)。
また、初速や仰角をあげて砲弾飛距離を伸ばしても、散布界(狙った地点を中心に砲弾が飛び散る範囲)も目標までの距離に比例して大きくなりますから、有効射程距離も砲弾飛距離に比例して伸びるというわけではありません。
それに、極端に有効射程距離が延びると、今度は遠すぎてねらえない(目標が水平線の向こうにいて直接見れない)という話も出てきます。
結局、命中が期待できる範囲以遠の飛距離は無駄でしかないのです。
砲弾の質量を高くして貫徹力を高めたいと思っても、単純に砲弾にタングステンや劣化ウランを使って比重を高めることができるかというとそういうわけでもありません。
なぜなら、戦艦の大砲は榴弾も撃たなければならないからです。
戦車の場合は直接照準での射撃しかしないから、砲弾の質量が弾種によって多少違っていても問題はあまりありませんが、大きく放物線を描いて水平線の彼方まで砲弾を送り届ける戦艦の大砲にとって、弾種によって砲弾の重量が極端に違うと一々射撃諸元が変化してくるので実用的ではなくなってしまいます。
榴弾(炸薬を詰めるための空洞が内部にあるのであまり重くできない)と徹甲弾で砲弾飛翔特性が同じになる様にする都合上、どうしても限度が出てきます。
このように戦艦の大砲は戦車砲などよりも複雑なバランスの上に成り立っています。
どのくらいの距離にいるどのような敵を攻撃するか?が分からない以上、そうしたバランスのとりようがありませんから、あなたが期待する答えは大砲開発に第一線で携わっている研究者であっても答えることはできないでしょう。
なので、このスレッドにもどなたも回答なさらないのだと思います。
それで突き放してもちょっと可哀そうなので・・・
アイオワ級に使われている高質量徹甲弾を単純に46センチ砲にサイズアップさせて、砲弾の飛翔特性を大和の46センチ砲と同じように調整できたとしたらどうなるか、単純に計算してみます。
口径16インチ(40.6センチ)を46センチに単純に拡大するとサイズで約1.13倍。質量は1.45倍になります。
16インチ砲の徹甲弾が1.225トンなので、拡大46センチ砲だと徹甲弾質量は約1.75トンに達します。
大和の46センチ砲の徹甲弾が1.46トンなので1.22倍重くなります。
運動エネルギーは速度の二乗と質量に比例しますから、単純に考えると史実大和の主砲は1.2倍程度は貫徹力を高くできる余地があると言えるかもしれません。
それ以外の威力に関する性能については素人では計算も予想もできません。
劇的に変化することが期待できるのは命数(主砲を何発撃てるかを表す寿命の数値)でしょう。アイオワ級は砲身内部に表面処理を追加することで命数を1000発以上に増加できたという話がありますから。
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