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> > 4月に今年度予算で、「ちよだ」の後継の「多目的新型潜水艦救難艦」を292億円で三井造船が受注しました。どんな状況を想定して設計しているのか、全く理解できませんが、本職の海上保安庁がお手上げの大規模海上災害に対して、2000トンほど大きくした「多目的」潜水艦救難艦が、どんな活躍ができるのか、ぜひ知りたいところです。
> 防衛省の公開資料を見ればきっちり書いてありますが。
> ・大規模災害等に対応する為、手術用寝台2床と病床約10床を設置するなど、医療機能を強化し、医療支援、被災者生活支援、入浴支援等の拠点として使用。
阪神大震災後の補正予算で、旧国立病院に地域災害拠点病院が整備されましたが、大量放射性物質漏洩や放射線障害にも対応していて、非常時には、待合室や廊下から講堂まで、ベッドが敷き詰められて、全部の枕元には酸素や吸引などの配管があって、小手術までできますが、大規模災害には、全く無力です。毎年、トリアージから始まる本格的訓練(大規模電車事故のシナリオでもやりました)を続けていますが、尼崎の事故では、マスコミに取り上げられるような活躍は出来ませんでした。しん
そんな費用をかけて、2台の手術室と10床の病床で、なんの役に立つのか、シナリオが全く思い浮かびません。東京にまだ多く残っている、救急指定の有床診療所(素人のアルバイト当直のレジデント1人)を何とかするほうが、先だと思います。
新型の大型になったDSRVは、少しは役立つでしょうが、増やした減圧チェンバーは、どんな状況で役にたつのでしょうか?治療用の減圧チェンバーは、以前は各労災病院や、国立大学病院に設置されていましたが、低い稼働率と、一時期脚光をあびた高圧酸素療法のさんたんたる治療成績に加えて、厚労省に合併されて隣同士の厚生年金病院と一緒にされたりして、日本からはドンドン減っているのに、1器増やして、どうするのでしょうかね。多目的と名付けられても、納税者はたまったものではありません。
潜水艦救難に特化するのなら別でしょうが、防衛省に多目的な余分な予算をつける必要は無いと思います。ただでも、多目的な防災予算は、警察庁を始め、総務省(消防)、国交省(海保)など、取り合いです。そこに防衛省まで入る余地が、この破産寸前の日本に有るのでしょうか?
また、潜水艦救難に特化するのなら、チェンバーやDSRVなどを、空輸出来るようにしておかなければ、意味がなさそうです。ちなみに、どの労災病院にも、潜水病対策に設置されていた減圧チェンバーは、事故率の急激な低下と、拠点病院への迅速な患者搬送が可能となったために、急速に減少・非稼動になっています。海保のヘリコプターの充実により、各地に点在していた、稼働率が低くて、操作出来る臨床工学士不足の、老巧化したチェンバーの意義を無くしてしまいました。
潜水艦救難には素人ですが、潜水病を起こした職業潜水士と同様の対応が重要なのではないでしょうか。違うのは、まず遭難した潜水艦と、一刻も速くメイティングして、閉じ込められたクルーを確保してからですが、それにもメイティング機材の迅速な空輸が必須でしょう。
潜水艦救難に、多目的などとの枕詞を付けないで欲しいのが、我々の本音です。
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