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ワタクシ今、「米軍が恐れた『卑怯な日本軍』」という本を読んでいます。そこでは太平洋戦争中に米軍が兵士向けに作った対日戦マニュアルが紹介されていますが、そこには日本軍が作った数多くのブービートラップについてかなり項を割いて説明すると共に兵士に警戒を呼び掛けています。
興味深いことに、このブービートラップは中国国民党軍が日中戦争でも多く使われていたようで、またあのノモンハン戦でもソ連軍がブービートラップを仕掛けて日本軍に損害も発生していたようです。著者は「ブービートラップは弱者の戦術として有効だったので、中国戦線では中国軍が、太平洋戦線では日本軍が多用したのではないか」と指摘しています。何より、ブービートラップといえばベトナム戦争中にベトコンや北ベトナム軍が対米戦に使って米軍が苦しめられたというイメージが強いと思います。
それでふと思ったのです。今現在、アフガニスタンからイラク、シリアにかけて広範囲で内戦状態となっていますが、これらの地域の戦線で「ブービートラップが兵士に大きな心理的負担を与えた」という話を聞いたことがないな、と。
中東域でも「仕掛け爆弾」はよく使われます。しかしその多くは比較的大型のもので、仕掛け爆弾で戦車を吹き飛ばすような話も聞きます。また体に爆薬を巻き付けた自爆テロ形式の仕掛け爆弾の話も聞きます。しかし、対人向けのいわゆる「ブービートラップ」はあまり話を聞きません。
現在の屋内のような狭い空間でのCQB戦術では、兵士が一塊になって前進します。変な話、廊下に地雷一発仕掛けるだけで数人の兵士の足を吹き飛ばすことも可能なはずです。
また部屋に突入した敵兵に対し、その隣(あるいは上)の部屋から手榴弾を投じるだけで相手に大きな被害を与えることもできるはずです。中東の家屋はレンガやブロックを鉄筋を入れずに積み上げるだけだそうなので、床でも壁でも手榴弾を放り投げるにちょうどいい穴を開けるのは簡単なはずです。
中東戦域は砂漠地帯なので、面ではなく市街地や村といったような点と点を巡る争いになるケースが多く、ネット上で見られる戦闘動画の多くも市街戦です。
しかしそれらの動画や写真などで見かける兵器といえば、AK銃にRPG。RPG7は対戦車ロケットとしてばかりではなく、銃眼潰しから果ては対空(!)ロケットとしても使われますが、同じく市街戦ならば手榴弾もかなり有効な兵器だと思うのですが、あまり見かけません。さらに、そこにいかにもブービートラップ的な仕掛けというのはもっと見かけません。
なぜ彼らは、手榴弾やブービートラップを活用しないのだと思いますか?民族性でしょうか?
ひょっとするとサッカー文化圏である中東の人々は、「ボールを投げる」ということができないのでしょうか?
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