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前口上:
先に、航空Ans&Qに関して、如風さん、零戦勉強中さんから、いろいろご指摘をいただきました。
そこで、どこから意見のちがいがでてくるのか、初めから見ていきたいと思います。
まずは循環から。
流れ場に微小閉曲線をとり、閉曲線上の渦線によって囲まれる面積をdAとすると、
dΓ=|ω|dA …(1)
ここで、ωは渦度ベクトルで、
ω=(ξ,η,ζ)
(1)を有限の閉曲線Sの内部の面積Aの範囲で面積分すると、
Γ=∫|ω|dA
=∫(ξdAx+ηdAy+ζdAz)
=∫{(∂w/∂y-∂v/∂z)dAx+(∂u/∂z-∂w/∂x)dAy+(∂v/∂x-∂u/∂y)dAz}
ここでストークスの定理を使って、面積分を線積分に書き直すと、
Γ=∫(udx+ydy+wdz)
=∫Vds
V:速度ベクトル(u,v,w)
Ax=面積Aのx軸方向の投影面積、Ay=面積Aのy軸方向の投影面積、Az=面積Aのz軸方向の投影面積
Γが閉曲線Sまわりの循環です。Γの単位は、[L**2/T]です。
Γの時間変化を求めてみます。
被積分関数のudx、vdy、wdzの時間変化は、
Dudx/Dt=Du/Dt・dx+uDdx/Dt
=Du/Dt+uDu
=-∂Ω/dx・dx-1/ρ∂p/∂x+ν∇**2udx+udu
Dvdy/Dt=Dv/Dt・dy+vDdy/Dt
=Dv/Dt+vDv
=-∂Ω/dy・dx-1/ρ∂p/∂y+ν∇**2vdy+vdv
Dwdz/Dt=Dw/Dt・dz+wDdw/Dt
=Dw/Dt+wDv
=-∂Ω/dz・dz-1/ρ∂p/∂z+ν∇**2wdy+wdv
Ωは流体粒子の回転角速度[rad/s]です。
まとめて、
DΓ/Dt=∫(udx+ydy+wdz)
=∫{d(V**2)/2-dp/ρ-dΩ}+ν∫(∇**2udx+∇**2vdy+∇**2wdw) …(2)
非圧縮性非粘性の理想流体なら密度ρ=一定、ν=0だから第一項、第二項ともに0、
DΓ/Dt=0 …(3)
で、循環Γの強さは変化しない。
これはヘルムホルツの定理と一致します。
しかし、実際の流体では、動粘性νがゼロではないから、式(2)で、大気と渦の摩擦で渦の強さは減少して、循環Γはゼロになります。
渦は、翼の表面との摩擦で生じて、大気との摩擦で無くなると思います。
渦の生成消滅については何も言えない。
これはヘルムホルツの定理の範囲外で、考えられていない。
それで、束縛渦と翼端渦と出発渦(後縁渦?)が、つながって、閉じた渦輪になるかどうか、これは現代でも意見が分かれていると思います。
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